百日紅と書いてサルスベリと読む不思議な木
- 公開日
- 2012/08/27
- 更新日
- 2012/08/27
中川校の自然
上の写真は庭木として植えられている夏の植物,サルスベリです。サルスベリとは不可解な名前ですね。音のごとく「猿滑り」となります。この木の樹皮はめくれやすく,つるつるした新しい物になるので,さすがの猿も滑って登れないだろうという理由で名前が付いています。実際はというと,猿は苦労することなく簡単に上ってしまいますので名前倒れです。さて,この木を漢字では「百日紅」と書きます。これをサルスベリと読むのは不可能です。当然なのです。百日紅は中国での呼び名ですから。咲き出したら,百日は赤い花が咲き続けることから,「百日紅」となったのです。中国へ行った使節が日本のサルスベリと一緒の木じゃないかとして,この漢字を当てたのです。ですから,この木の呼び名については漢字は中国名,音は和名ということになります。ところで,白花やピンクの花は,なかったのでしょうかね。なぜ紅なのでしょうか。
下の写真を見てください。花のつくりが変わっています。がくから長い柄が伸び,その先にひらひらと縮れた花びらが6枚付いています。一枚一枚が,まるで,一つの花のように見えます。虫を寄せ付けようとたくさん花があるかのように目立たせているのでしょうかね。さらによく花のつくりを見ていくと,真ん中に雄しべがたくさん集まっているのがわかりますし,中央からのびた雌しべは,街灯のように下向きに柱頭をつけています。また,雄しべの周りに同じく街灯が中央を照らすかのごとく下に向いたもう一つの雄しべが写真では6本伸びています。つまり,上向きに集まっている雄しべと下向きに並んでいる雄しべ・雌しべがあるということになります。
これは,サルスベリが考え出した実に不思議な見事な子孫繁栄(受粉)作戦なのです。花粉を求めて飛んでいるハチやアブ,ハナムグリなどに,たくさんの花が集まっているかのように長い柄を伸ばした花びらを見せつけます。そして,真ん中上向きの目立つ花粉を見つけさせ,せっせと花粉や蜜を集めさせるのです。このままだと花の出入口が開けっぴろげで狭くないために花粉を持ち去られてしまうだけとなり,受粉できません。そこでもう一工夫,虫たちが真ん中の雄しべに乗っている間に虫の背中に別の花粉を付け,背中に付いた花粉をめしべの先(柱頭)に付けさせようと考えたのです。そう考えた結果,真ん中の目立つ花粉を受粉用から食用のものに変えていき,大切な受粉用の花粉を虫の背中にこっそり付けられるように柄を伸ばして下に向け,めしべの柱頭も下向きにするように進化していったと考えられています。