京都市立学校・幼稚園
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『“てっぺん”獲りにいこうや!』〜Catch the top !〜

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「テニスに関わってきて」
「今年は節目の年を迎えてるやろ。紫郊(大学のテニス部の同窓会誌)に寄稿してえや。」
 テニスの試合会場で先輩の先生からそう依頼されました。確かに今年,定年退職の年を迎えています。『これが最後の文化祭か』とか「これが最後の修学旅行か」とかと,そういえば何度か考えました。しかし,今のところ,自分が教師生活から退くことに対して何故かあまり実感が湧かないのです。
 思い返せば,今年度は春の大会も夏の大会も中止になりました。昨年度,ソフトテニスの全国大会を京都で開催し,大変な忙しさを経験しましたが,それでもそれを貴重な体験だと感じることができました。だから,今年はお世話になった方々へお礼を言いがてら,京都府大会・近畿大会・全国大会とすべての試合に顔を出すつもりでいたのですが,結局のところそれも出来ずじまいでいます。
 近いところでいえば,秋の新人戦については,開催はできましたが「密」状態を避けるという理由から開会式は行ないませんでした。中体連ソフトテニスの専門部長になって5年,各試合の開閉会式でする挨拶の内容については毎回何日も前から考えてきました。プレッシャーはありますが,それを遣り甲斐に感じ,楽しみにもしてきました。最後の年のそれらがなくなったことは,少なからず「今年で退職をする」という気持ちを薄れさせることに繋がっているのではないかと思っています。
 祖父と父の影響で始めたテニスです。中学生になって本格的にやり始めました。登校前に友人と京都大学のテニスコートで練習をしました。初めての試合のベンチ入りでは緊張でガクガクと脚が震えたのを覚えています。そういえばその試合はなんと3回ゲームで,アッという間に終わってしまいました。
 高校と大学では朝から晩までテニスをしていたように思います。テニスに関わらせてもらったことで人間関係が広がり仕事の範囲も拡大していきました。
 私は現在この肩に,二条中学校の他に中体連ソフトテニス専門部と中学校人権教育研究会を担いでいます。二条中学校だけでも十分重いのに,『我ながらようやっているなあ』と思うこともあります。しかし,それらを降ろすことに対しては残念な気持ちもあります。それほど,テニスと人権教育とは仕事というか,私の人生の一部になってしまっているのだと思います。
 近い将来,教師の仕事から部活動の指導がなくなるかもしれません。学校が何もかも丸抱えしてきた時代は終わっていきます。一方,生徒の背景まで知った学校の教師が部活動の指導をしてきたことの意味は大きいと思っています。
 部活動の目的は「人格形成」であって,「京都で一番!」とかというものは目的に向かう為の具体的な目標だという考え方は今も変わっていません。生徒の「人格形成」を助けることは,これまでもこれからも,教師にとって重要な役割だと思っています。

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「うちの生徒のいいところ」
 先週の修学旅行を通じて,本校の生徒の良いところをたくさん再発見しました。外部の方にすれば「なんや,自慢かよ」と思われるかもしれませんが,敢えて書きます。私は校長として,本校に関わる全ての人に自慢して頂ける生徒や教職員,保護者や地域の皆様,学校をつくることを目指して取り組んでいます。だから今回は,先ずは私が思いっきり生徒の自慢をさせてもらいます。
 まずは集合時です。前に先生が立った瞬間からおしゃべりをする生徒は居ません。縦だけでなく横の列まで整えることにも慣れてきました。常に話し手の目を観て頷きながら聴くことができます。当たり前のことのようですが,なかなかどこの中学3年生でもできることではありません。
 次に代表生徒の話の内容です。これまでは事前に考えた文章を丸暗記してそれを言葉にするのが普通でした。しかし,今年度に関しては「話す内容」だけを考えており,そのとき頭に浮かんだ言葉で話していました。この方が聴く側には届くことを経験から知っており,本校に赴任して以来あらゆる場面で取り組ませてきました。準備期間が短かったこともあるでしょうが,修学旅行で実践できてよかったです。
 更に,規律正しいことです。特にそのことが映えたのが2日目の夕食の場面でした。100人近い生徒と教職員が大広間で食事をします。マスクをつけてやってきた生徒たちは,奥から詰めながら次々と全員が同じ向きで着座していきます。「誰々の隣はイヤ!」だとかと言う生徒は居ないようでした。自分たちの置かれた状況を察して黙々と食事をしている姿は愛おしかったです。
 対照的だったのがレクレーションの場面です。こちらは大いに「楽しんでよいとき」です。誰一人しらける者がおらず,全員が楽しもうとして臨んでいるので自然とよいムードが出来上がりました。チョットしたことが楽しく,些細な発言や行動で大笑いができました。個々が考えてきた出し物も全て面白かったです。
 最後に,もっとも素晴らしかった(いや,「凄かった」と書きたい)のが,2日目の午後に行ったラフティングの場面です。2日目はあいにくの天気で午後になっても寒く,ラフティングに向けて気持ちが上がっていかないのが正直なところでした。体調がすぐれない女子生徒も居たと思います。「見学させてください。」そんなことを言い出す生徒が居ても決しておかしくない状況だったのです。一人が言い出せば一人,また一人…と増えていくものです。ところが,全員がそうすることが当たり前のように参加し,寒さも忘れて大いに楽しみました。「一人残らず参加した中学校は珍しいですよ。」添乗員さんがそう言っておられました。
 これらの行動ができるのは,卒業生たちから引き継いだ精神があるからで,それは2年生以下にも既に備わっていると思います。『この子たちを大切にしたい』改めてそう感じています。いいえ,私のもてる力のすべてを尽くして大切にしていきます。

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「心に残る信州の旅」
 修学旅行から無事に帰りました。「家に帰るまでが修学旅行だ」というフレーズはこれまで何度も使ってきました。遠足などの校外学習も含めると,生徒の方も小学生の頃から聞き飽きるくらいに聞かされてきたことだと思います。でも,今年ほどこのフレーズの重みを感じたことはありませんでした。3日目の朝,養護の先生から「発熱の生徒はいません。」という報告を聞いたときには,『これで何とか修学旅行を終えられる』とホッとしたことを思い出します。
 『もし感染者が出たら…,そのクラスだけ置いていくのか全体を中止にするのか。』『もし濃厚接触者が出たら…』判断するにあたって,修学旅行の前には考えれば考えるほど不安な気持ちになったことを思い出します。生徒も同じような気持ちでいたことを実行委員長のあいさつの中で知りました。前日の下校時,「校長先生,今日まで熱を出すこともありませんでした。明日から楽しみにしていた修学旅行に行けそうです。」と6組の生徒が校長室に寄ってそう声を掛けてくれました。生徒たちの全員が健康管理に気を使っていたことを知って,改めて彼らを愛おしく思うと同時に保護者の皆様方の気苦労に思いを馳せもしました。
 松代市での平和学習は初めて経験しました。「この史実を知ってもらうところから活動を始めなければなりません。」ガイドさんの言葉が今も心に残っています。ペンションのオーナーのおもてなしには今回も感激しました。2日目はアクティビティが中心でした。白馬五竜のトレッキングでは絶景は望めませんでしたが,その代わりに「雲の中を歩く」という貴重な体験ができました。白馬ジャンプ台を訪れた際,女子は泣きながらも全員がラージヒルのスタート地点まで行ったのに,男子の4人が行けなかったことは何とも可笑しかったです。ラフティングは寒さのために気持ちが上がらなかったのですが,始めるとこれが楽しく,水の冷たさを忘れるくらいでした。学年揃っての大広間での夕食は懐かしかったです。今はバイキング形式が主流になりましたが,今年はコロナでそれが難しく,『そういえば,教師になった頃の修学旅行はこんなだったな』と当時を思い出しました。今回の修学旅行で一番の思い出になったのがレクレーションです。学年全体で楽しく盛り上がったのは久しぶりだったと思います。『この時間が永遠に続けばよいのに…』と思ったりもしました。また,豪華な大浴場と畳の上のフカフカのお布団はアクティビティで疲れた体を十分に癒してくれました。そして最終日,秋晴れの下での松本市内班別研修は修学旅行気分を満喫できました。
 準備の時間が足りなかった修学旅行でしたが,生徒も教職員も規律正しく,予想外のことが起こった際にも臨機応変に行動ができました。「いい生徒さんですね。」行く先々で生徒たちが褒めてもらうたびに,我が子が褒められたようでとても嬉しかったです。修学旅行に行けて本当によかった。すべての人に感謝の気持ちで一杯です。

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「いざ,信州へ」
「校長先生,急な話で申し訳ないのですが,修学旅行の栞の最初のページに載せる文章を書いていただきたいのですが…。」今朝,3年の学年主任から聞かされました。常に用意周到な彼をして失念させるほど,教職員には忙しい毎日を送らせていたことを反省させられました。早速,書きかけていたこのエッセイの文章の一部を転用することにしました。
 修学旅行が1週間後に迫ってきました。今年度は方面が信州に変更になっています。気候や景色が京都とは大きく異なるのでとても楽しみです。秋の信州は,身が引き締まるような空気に加えて紅葉がさぞかし美しいだろうと思います。
 今年度は、新型コロナウイルス感染拡大のため沖縄への修学旅行を断念しました。今回が教師生活最後の修学旅行になるので,これまで何度も訪れた伊江島でお世話になった方々へお礼を言いに行こうと思っていただけに個人的にも残念な思いでいます。
 本校は,早い時期に方面と時期の変更を行いました。ぎりぎりまで実施できるのかどうか心配でしたが何とか決行できそうです。2学期になってからは,文化祭や体育大会の取組をはじめ,部活動の大会もあって,大変な忙しさの中で今日まで過ごしてきました。全員が体調管理に努め,みんな揃って楽しく元気に出発したいものです。
 以前に一度,信州方面への修学旅行を経験しました。当時の学校では,毎年ディズニーランドと東京都内班別研修をメインにした修学旅行を行っていました。ある年,信州への修学旅行を経験した先生が学年主任となって方面の変更を提案しました。生徒の中にも教職員の中にも反対意見がありましたが、学年主任の強い思いに押されて行ってみると,その素晴らしいことに反対したことを後悔した者が多くいました。
 日ごろ,京都の街中に暮らす私たちにとっては自然の素晴らしさや美しさ,迫力に魅了された感がありました。また,長野オリンピックが間近に迫っていたこともあって,完成したばかりのジャンプ台を訪れたのですが,その際には『選手はこんなところから滑り降りるのか!』と,足がすくむような高さのスタート地点に立って驚いたことを昨日のことのように覚えています。ペンションでのクラスごとの分宿も楽しかったです。おいしい料理とマスターご夫婦の温かいおもてなしにすっかり癒されました。
 実は,この修学旅行の感動を妻や子どもたちにも伝えたくて,その年の夏休みには同じ行程で家族旅行をしたくらいです。まだ歩き始めたばかりの下の息子を“しょいこ”に載せ,背負って高原ハイキングをした際の写真は今も飾られています。
 3年生は今、心身ともに成長の真只中にいます。今回の修学旅行でまた一回り心と身体を成長させてくれるだろうと楽しみにしています。修学旅行の3日間は,受験のことなどもしばし忘れて大いに学び、大いに楽しみたいものです。
 信州の大地よ,そして自然よ,待ってろよ。来週には二条中の3年がそちらに行くからな!

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「行事で感動する心を育てる」
 今年度も半分が終わりました。とは言え,4月5月が新型コロナウイルスのために休校となり8月の3週間が夏休みだったので,実質的には約3か月しか本格的な教育活動を行っていないことになります。しかし,実のところ本当に忙しい上半期でした。
 9月29・30日に行われた文化祭,そして昨日の10月1日に行われた体育大会は,最後の最後まで実施できるかどうか心配しましたが,こ3日間は実に楽しく盛大に行うことができました。最終的に保護者の方には参観をご辛抱いただきましたが,これも成功裏に終えることができた要因の一つであると学校の取り決めに従って頂いたことに感謝しています。
 さて,学校には行事がつきものです。入学式や卒業式などの儀式的行事の他,修学旅行などのように学校が主体的に計画し実施する行事と生徒会が主催する行事もあります。文化祭や体育大会はその中間にあたるといえます。大筋は学校が決めますが,企画や特に運営に生徒が多く参画します。
 これらの行事に求める一番大きなものは「感動する心」です。入学式や卒業式に感じる感動と修学旅行や文化祭,体育大会などで感じるそれにはそれぞれ違いがありますが「感動する心」を育てることは学校教育の大変重要な営みです。
 かつて中学生が荒れていた頃,彼らがよく口にした言葉に「ショーモナイ!」「どうでもええ!」「関係ない!」がありました。当時の彼らの関心の多くはバイクやたばこやシンナー,窃盗や暴力など学校教育の外にありました。また,校則に反発し簡単にはそれを守ろうとしませんでしたし,各教科の授業や学校行事などに対しても簡単に心を開きませんでした。そんな彼らに対して,体育大会で応援合戦に力を入れたり一緒にリレーを走ったりなどして,学校行事で盛り上がる楽しさを伝えようとしてきました。卒業生を送る会などを盛大に行い,部活動に力も入れてきました。生徒と一緒に涙することも少なくなく,徐々に荒れる生徒たちの心が柔らかくなっていったように思います。今50代の教職員は多かれ少なかれそんな経験をしているはずです。
 「保護者の方の参加はなかったけれど,先生方には私たちの成長した姿を観てもらうことができました。このような機会を設けて頂きありがとうございました。」
 昨日の体育大会の閉会式で,健康委員長の坂本さんが声を詰まらせながら言ったことばです。この3日間には様々な感動の場面がありました。合同劇や手話劇,ダンス&楽器演奏や展示発表,合唱では当日が一番うまくいったクラスや,『あれっ,なんで?』と感じながら歌ったクラスがあったかもしれません。悔しい思いも含めて心を動かすことが大事だと思っています。学校祭の3日間で生徒はまた一つ心を成長させてくれたはずです。これを機に下半期の教育活動も益々充実させていきたいと,今決意を新たにしています。生徒・教職員の皆さん,一緒に頑張っていきましょう。

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「学校祭前夜」
 「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったもので,お彼岸を過ぎて一気に過ごしやすくなりました。近頃では寝るときのエアコンは必要なくなりました。早朝の愛犬の散歩は快適です。まだキンモクセイの芳香は漂ってはきませんが,それももう時間の問題です。
 さあ,学校にもよい季節がやってきました。来週には文化祭,引き続き体育大会が行われます。今年度に限っては敢えて両方合わせて「学校祭」と呼びます。今,午後からは文化祭に向けての取組で大忙しです。また,体育の時間は体育大会に向けての練習が主になっていますが,この3日間を楽しく盛大に過ごしたいと思っています。
 私も若い頃からこの時期の雰囲気が大好きです。劇や合唱に取り組んでいたとき,本番の前夜は,ワクワクとドキドキでほとんど眠ることができなかったことを思い出します。『これだけ練習してきたのだからもう大丈夫!』そう思おうとするのですが,『あのセリフはこう変えた方が効果的やなあ。』『あの道具はちゃんと用意できてたかな?』『あの子は,大きな声であのセリフが言えるやろか?』などと考え出すと不安や心配ごとが次々と頭に浮かんできます。自分がやるのではない“指導者としての悩み”がここにあります。多分,今年も合唱指導をしてきた先生や劇を指導してきた先生,文化祭や体育大会を統括してきた先生は同じような気持ちで前夜を過ごすのだと思います。しかし,敢えて書きますが,この悩みは決して不快なものではなく,どちらかというと最終的には『あの子たちはやってくれた!』という満足感と幸福感に変化するもので,“教師の遣り甲斐”の中の代表的なものです。
 新型コロナウイルスは,「学校祭」の在り方を大きく変えました。文化祭や体育大会は,生徒と教職員,保護者の方が一体になって楽しめる数少ない機会ですが,今年度は保護者の方に参観を遠慮して頂くことにしました。文化祭に至っては,全校生徒が一堂に会することも避けます。講堂に入るのは2・3年生だけで,1年生は階下にある2つの音楽室と美術室とでライブ映像を視聴します。教職員が知恵を出し合い,何とか実施できるよう工夫したつもりです。保護者の方に優れた映像を観て頂くため,プロの業者を入れてDVDの販売を決めもしました。PTAの役員会では,販売価格の一部を負担するという決定もして頂きました。有難いことです。
 例年と比べて規模が縮小されるとはいえ「学校祭」がやってきます。担任をはじめ深く関わってきた教職員は今年も眠れない前夜を迎えるでしょう。生徒の間では練習の過程で様々な葛藤や対立もあったでしょう。それらのすべてが学習です。こうした学習が生徒の「人間性」を育てます。この場面こそが学校の良さであり価値であると考えます。生徒諸君には,正義を重んじ,正義を貫き,仲間と一体になる充実感を体験してほしいです。そして,そのために教職員は生徒の背中を押し続けます。

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「教育実習に思う」
 私の教育実習となると,もう40年程前になります。今は4年生(回生)が実習に来ますが,私の頃は3回生で行ったように記憶しています。教師を目指して大学に入学した私にとって,実習の毎日は刺激的でとても楽しかったです。ただ,学習指導案の作成に対しては指導教官がとにかく厳しく,一緒のグループになった女子学生は何度も泣かされていました。「この指導案で,一体何を教えるつもりなんや!指導意図や指導の過程が全く分からん!」そんな一言で,何時間もかけて書き上げた指導案を突き返されていました。
 今はそこまではしませんが,実習生に対しては厳しく指導しています。というのも,教育の現場は決して甘くないからです。いい加減な気持ちの人が教師になったとしたら,おそらく授業や学級経営が全く上手くいかないでしょう。実際のところ,毎年,決して少なくない新規採用教員が不調をきたしています。そうなれば,その本人が傷つくのは当然ですが,それ以上に不利益を被るのが児童や生徒たちです。彼らはある意味ではとても正直です。授業や学級経営が下手だとまず必ず荒れます。今はあまり聞かれなくなりましたが「学級崩壊」などで学級が荒れるのは児童や生徒のせいだけではありません。往々にして教師の方にも大きな責任があるものです。
 1つの学級が荒れだすと,それを治めるために他の教師に負担がかかります。疲れが溜まってくると,不平や不満が聞こえ出します。そうなると一学級の問題ではなくなります。学年,学校全体で時間と労力を掛けて対応しなければなりません。こういう不幸を引き起こしてはならないから,教師を目指す若者には厳しく接するのです。
 技術は学べばよいのですが,心構えとか情熱,特に人間性を人から学ぶことはできません。教育に対する熱が低い人,教師としての心構えの甘い人,何よりも豊かで魅力的な人間性をもっていない人は教師に向かないと思ってよいでしょう。
 私は,教師は素晴らしい職業だと思っています。しかし,もう一方で決して楽な仕事だとは思っていません。仕事とプライベートの境界線が明瞭でない部分も多くあります。深夜に及ぶ家庭訪問や休日を返上しての部活動指導など,一般のサラリーマンからすれば「ありえない」ことでしょう。近年,就職活動を行う大学生からは“ブラック(企業)”とされてもいるようです。
 それでも私は,教師を素晴らしい職業だと思っています。生徒と一緒に楽しんだり,生徒の成長を喜んだり,授業で生徒に「分かる喜び」を感じさせることが出来たり,時にはことが上手く運ばず,悔しい思いや悲しい思いをすることもあったり…。
 教育実習ではこれらのことも少しですが学びます。今年度本校に来た3人の教育実習生が,教師は素晴らしい職業であると思ってくれたこと,子どもたちのために頑張って素敵な教師になろうと決意してくれたことを期待します。

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「教師の幸せ」
 土曜日,遅まきながら今年度の「休日参観」を実施しました。毎年6月に行う行事ですが,授業再開後まもなくということで9月に延期しました。新型コロナウイルスの感染が収束しきらない中で不安はありましたが,今年度はこれまで生徒の学校生活を保護者の方に一度も観て頂いていないことと,今後の文化祭や体育大会も無観客で行うことを既に決定していますので,何とかこの機会にご来校頂こうと決断いたしました。
 「密」状態を避けるためにクラスの生徒数を半分に分け,2教室で授業を行うように工夫しました。また,保護者の方に対しましても,検温とマスクの着用の他,お子達の同伴についてご遠慮頂くことと致しました。小さなお子達がおられる保護者の方には,ご夫婦や祖父母様と交代でご来校頂くなど,ご不自由をお掛けしたことと思いますが,ご協力頂きまして誠に有り難うございました。
「校長先生,参加の状態を心配しましたけれど,例年と変りなく来て頂いて安堵しました。多くの保護者の方から“子どもの学校生活を観られてよかった”という言葉を聞いています。思い切って実施して頂きありとうございました。」
当日の午後,PTA役員の方からそんな電話を頂きました。
 さて,教師が幸せを感じる場面はいくつもあります。最も大きな場面はやはり卒業式でしょうね。そのほかにも同窓会や結婚披露宴に呼んでもらった時も嬉しいです。日常的な場面でいえば,問題行動の指導や部活・生徒会指導などの生徒指導が上手くいって,生徒との信頼関係が上手く結べた時やそれが強められたと感じるときも幸福感を感じます。もっとよくあることが毎日の授業の中で,『今日の授業は上手く生徒に届けられた!』と感じた時です。教師ですから,授業を生徒に上手く届けるのは当たり前ですが,その中でも特に上手くいったときに多くの教師は“細やかな喜び”を感じるものです。勿論,反対もあります。『今日の授業は上手くいかなかったなあ』という時には案外へこむものです(笑)。
 ところで土曜日の4時間目,3年生を対象に私がさせてもらった「学年道徳」では久々にこの喜びを感じることができました。「今日の授業を思い出に残るものにしよう!」という冒頭の言葉を子どもたちも教職員も大切にして自覚し協力くれたお陰で,中学生の心の中を知ることができた授業になったと思っています。
 例年,1学期に3年,2学期に1年,そして3学期に2年を対象に「学年道徳」をさせてもらっています。この学年はコロナの影響で昨年度末のそれが出来ずじまいでした。1学期も機会を逃したのでどうしてもしたかったのです。協力してくれた3年の教職員には特に感謝しています。今,3年生の書いたワークシートを読みながら,彼らには二条中での残りの半年間を楽しく充実したものにしてほしいと願っています。

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「恥ずかしくない試合」
 3年生の引退を掛けた試合(夏季大会もなくなって「代替試合」と呼ばれています)が始まりました。ソフトテニスについては8月上旬にすでに終わっていますが,多くの競技は先週の土・日からです。土曜日,男子バスケットボール部の試合を観戦に行きました。バスケットボール専門部では各校2試合ずつを戦わせて中学校の部活動に終止符を打たせることに決定したようです。会場となった横大路体育館の外では,既に試合を終え,引退を決めた他校の女子チームが涙しながらミーティングをしているシーンも見ました。
 さて,男子バスケットボール部では,以前より練習中や試合後に全員が私の周りに集まってアドバイスを求めてくれています。専門外の競技ですので,はじめの頃は心構えや態度のことを中心に話をしていましたが,徐々に踏み込んだ内容についても話すようになりました。先ずは,先日の初戦の後に話したことを紹介します。
 「さっきの試合をこれまでお世話になってきた先生や保護者に自信をもって見せられるか。シュートするとき,指先まで神経を集中してたか。なんとしてもゴールするぞって気持ちでシュートしたか。私にはそうは見えなかった。シュートの本数はうちのチームの方が多いのに決定率が低いから負けたんや。次の試合が君たちにとっては最後やから,人に対してというより自分に対して恥ずかしくない試合をして来い。」
 その言葉が彼らの心に響いたのかどうかは分かりませんが,2試合目は見違えるような戦いぶりを見せてくれました。おそらく去年までお世話になってきた顧問の先生にも褒めてもらえるような内容だったと思います。彼らは有終の美を飾ることができました。選手たちは,2つ目の試合後も私の周りに集まってくれました。
 「3年生,君たちが入部したとき,当時の3年生はとても強かった。その上の先輩はもっと強かった。そうやな。(みんな,大きく頷く)初めてそのユニフォームをもらったとき,『僕らがこれを着てええんやろか?』って思ったんと違うか。このユニフォームを着て試合会場を歩いていたら『おおっ,二条の人や!』って言われているのを感じたんと違うか。(みんな,頷く)3年生には,そんな重みのあるユニフォームを着て試合を戦ったということを誇りに思ってほしい。しんどいことも一杯あったやろうけど,今日までよう頑張ってきた。本当にお疲れ様!」
 彼らの視線がまっすぐに私に注がれます。つくづく逞しくなったものだと感じました。1年生の頃,練習でよく泣いていた彼らです。「そんなことくらいで泣くな!」そう言われてまた涙を流していました。そんな彼らも3年間の部活動を通じて強く逞しくなりました。部活動の大きな力であり魅力です。
 今後も多くの部でこんな場面を見ることでしょう。3年生諸君,最後の最後まで頑張りなさい。是非,自分に対して恥ずかしくない試合をしてほしいと願っています。

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「生徒が生徒と教職員を育てる」
 いつの間にか朝夕に虫の鳴き声が聞かれるようになりました。日中はまだ暑いですが,早朝の愛犬の散歩の頃の気温は,もう真夏のそれとは異なります。“門掃き”をしていても,それほど汗をかかなくなりました。
 さて,2学期が始まって1週間がたちました。始業式が今週の月曜日だったことを既に忘れてしまうほど忙しい毎日でした。そういえば,30年ほど前までは9月1日に2学期が始まり,そこから1週間ぐらいは午前中授業でした。教室にエアコンはなく,暑さが厳しかったこともあってのことだとは思いますが,学校生活が今と比べると,随分のんびりとしていたように思います。
 時代が変わって生徒が変わっても,変わらないのが学校行事です。文化祭や体育祭(本校では体育大会)は秋の行事の花形です。文化祭の中身を学習発表会的なものに替える学校が増えてはきましたが,本校では依然として劇と合唱をはじめとした音楽発表,学級ごとの作品の制作と展示を中心に取り組みます。
 私もこの時期に生徒たちとワイワイ言いながら,時にはぶつかりながらも取り組むことは大好きでした。本校の教職員が生徒たちと楽しそうに取り組んでいるのを見ると,今でも関わりたいと感じます。劇づくりや合唱づくりを通して,生徒の心を育てるとともに学級のまとまりや高まりを目指す営みは,学校にはなくてはならないものです。子どもは,こういう取組を通して“感動する心”や“仲間と協力すること”,“工夫すること”等を学びます。教科の学習だけでは身につけられない知恵や技術,生き方を学ぶ絶好の場面です。こうした行事を通じて,勉強だけで名はない『賢い子』に育ってほしいと願っています。
 今年度は,新型コロナウイルス感染の問題と向き合いながらなので,例年と同じようには取り組めないことも多いのですが,それでも,出来ることを見つけながら生徒の“感性”を育てるべく取り組んでいきます。保護者や地域の皆様方には,生徒と教職員との取組を暖かく見守り,時に激励して頂ければ嬉しく思います。
 今年度の文化祭と体育大会は,保護者や地域の方の参観をご遠慮願うことに致しました。会場の「密」状態を避けるためです。劇や合唱などの発表の際,当該学年の保護者の方にだけ会場に入って頂くという案と最後まで比較検討しましたが,やはり上級生の発表を下級生に見せることは教育的意義が高いと判断しました。上級生の発表を見て下級生が育ちます。態度や技術,意気込みなどのほか,演出の仕方なども学びます。そして,それぞれがやがて「伝統の力」となっていきます。今年度も,新たな伝統を重ねるべく,上の学年には特に頑張ってほしいと願っています。
 生徒の成長の様子を観て,教職員もまたその力量をつけていきます。文化祭や体育大会までの取組を楽しみにじっくり見届けたいと思っています。

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