京都市立学校・幼稚園
最新更新日:2024/04/25
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『“てっぺん”獲りにいこうや!』〜Catch the top !〜

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「言葉が要らないときもある」
 九州の各地,特に熊本県で豪雨による被害が大きくなっています。先日来,幾度も球磨川が氾濫する様子がTVで放映されています。一旦大きな河川が氾濫し始めると,アッという間に家々が水に浸かり,自動車が流されるまでになるのかと,改めて自然の力の大きさと恐ろしさを感じています。また,今回の災害でも多くの人命が奪われました。亡くなられた方々のご冥福を祈るとともに,現地の一日も早い復興を願うばかりです。
 さて,毎月小冊子が学校に届きます。読者からの投稿が多く掲載され,道徳の教材として使える作品も少なくないので,時間のある時には目を通しています。今月号に掲載されている沖縄県の中学生の作品を紹介します。
「アイスクリーム,食べに行こうか」
            津嘉山理人(沖縄尚学高等学校附属中学校1年)
「ヨッシャ―,優勝」      
 サッカーの大きな大会で僕のチームが県大会で1位になった。念願の九州大会だ。飛行機や宿泊先のことを考えると,興奮したものだ。しかし,その夢はある日,一気に崩されることになった。 九州大会派遣のメンバー発表の時,県大会ではずっとメンバー入りだった僕が外された。名前を呼ばれなかった。間違えていると思って聞き返したが,僕の名前は最後まで呼ばれることはなかった。予想だにしてなくて,不意打ちで起きた地獄だった。
 練習がおわり,母が迎えに来てくれた。車に乗った瞬間涙が流れてきた。
「メンバーに選ばれなかった」母にそう伝えると,いつもはしつこいくらいに質問攻めの母が何も聞かなかった。「アイスクリーム,食べにいこうか」夕食前にデザートを禁止にしている母がアイスクリームに誘ったのだ。僕は席につくなり,ずっとうつむいていた。アイスクリームを食べた母が,「おいしいね」といった。僕は,「こんなときに何だよ」と思い,顔を上げ,母を見ると,今にもこぼれそうなくらい目に涙をためている母がいた。しばらく沈黙が続いて母が話し始めた。「どんなに頑張っても,思い通りにならないことってあるんだよ。でもね,何度くじけても何度でも頑張れる力が,とっても大切。そういう人間になってほしいな」と。僕は,「うん」と,だけ答え,残っているアイスクリームを口いっぱいに頬張り,食べた。
 自分のことのように涙を流す母に感謝した。そして,母の偉大さを感じた。僕はこの経験を胸に,努力し続ける人になると強く思った。
 子どもが傷ついたとき,慰めとようとしてやたらと多く言葉を掛ける教師や親がいます。その点,この文章に出てくるお母さんの対応は素晴らしいと感じました。言葉は少なくとも,お母さんの気持ちは十分に息子に伝わっています。教育や子育ての場面でこの様な状況は少なくありません。大いに参考にしたいものです。
※〜「PHP」2020年8月号より〜


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