京都市立学校・幼稚園
最新更新日:2024/04/26
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◆学校教育目標「自立・寛容・共生」 ◆教育方針〜みんなが「笑顔でこれて,笑顔ですごせて,笑顔でかえれる」学校

3月14日(水)3年生 総合的な学習 代表生徒作品1

代表生徒作品です。
「京都と沖縄の伝説の違いからみる宗教の影響の違い」

1.研究の動機
 沖縄と京都には、同じ動物についての伝説や似たシュチュエーションでおこっている伝説がある。しかし、話の細部をよく読むと二つの都市の宗教観やその地域に住む人の考え方の根底が見えてきて、話が似ている伝説からその都市の考え方に影響を及ぼす宗教の違いについて読み取ることができるのではないかと考えた。
 そこで、人々の間で語り継がれる伝説の違いとその特徴について調べることにした。


2.事前学習でわかったこと
 まず、沖縄と京都には「カメが人を救った」という内容の伝説があった。
沖縄での伝説は、「唐の国に旅をすることになっている役人が用事で糸満に行った。すると漁師が大きな亀を殺そうとしていたので、お金を払ってその亀を買うと、旅の無事を祈って海へ放した。その役人が乗る船が嵐のせいで壊れてしまった時、あの時助けたカメが役人を陸まで運んでくれた。」というものだ。
それに対し、京都での伝説は、「平安時代、藤原高房という人物が西国へ赴いたとき途中一人の漁師が大きな亀を殺そうとしていたので、着物と交換にその亀を助けた。翌朝、瀬戸内海を船で進んでいたところ乳母が高房の幼子を海に落としてしまったが、昨日助けたカメがその幼子を助けてくれた。高房は日ごろ信仰している長谷観音様のおかげである、と信仰を深めた。時を経て、その幼子は藤原山蔭の名乗り、妻と一人の子とともに幸せな家庭を築いていた。しかし、妻の病死によって迎えられた後妻が太宰府への船で先妻の子を海に突き落としてしまった。その時、以前山蔭を助けたカメがその子を助けてくれた。そのことから、二度も危機を救ってくれた亀は観音様のご加護に違いないと感謝し、新長谷寺を建立した。」というものだ。
沖縄の伝説は、省略したが、役人が亀が殺されそうになっているのを見つけたとき、「海亀は竜宮の使い」という言葉を思い出していると亀が役人のほうを見て涙を流す、という部分がある。そのことも含めたこの沖縄の伝説の特徴として、人々が伝説を信じていることや亀がとても人間に身近な存在だということがいえる。
京都の伝説は、亀の恩を観音様の御恩だと考えていることが特徴で、沖縄は仏教よりも昔から伝わる伝説の影響のほうが大きいが、京都は仏教の影響や考え方が人々の考えに根強くあるということが考えられた。

3.出てきた疑問
 京都と沖縄に同じ「亀が人を救った」という内容の伝説があるが、京都での話は亀の恩を観音様によるものとするなど仏教の影響が強く、沖縄での話は伝説の影響が大きいように感じられたことから、
・沖縄は仏教と伝説の影響ではどちらの影響が大きいか。
・沖縄に仏教の影響の濃い話はあるか。
・沖縄の人は仏教の考え方についてどう思うのか。
について疑問に思った。

4.沖縄で質問をしてわかったこと
 沖縄では、いろんな宗教があるが「祖先崇拝」が多い。それはお墓にも表れているが、最近は人が多くなってそれぞれ墓をつくることがある。墓のかたちが変化してきている。
 また、沖縄に仏教の影響はあまりなく、たまに宗教の勧誘がくるが断っている。しかし、決して沖縄の人々が他の宗教に否定的なのではない。「どの宗教でも信じるものは心の中にあり、その点ではどの宗教も同じだと思う。」と民泊の方がおっしゃっていた。
 これらのことから、沖縄にも仏教をはじめさまざまな宗教が入ってきているが、沖縄のひとは宗教に関して寛容で、それぞれの宗教の考え方を受け入れていることが分かった。決して「祖先崇拝」をたくさんの宗教の中から選んだのではないといえる。

5.まとめと感想
 京都はほかの宗教をあまり受け入れずに「仏教」を信仰しているのに対し、沖縄は宗教の考え方がいろいろ混ざったうえで「祖先崇拝」という信仰のしかたになったのだと思う。沖縄の伝説に京都ほど仏教の影響が感じられなかったのは、沖縄は宗教を受け入れるときの壁が低いことからだと分かった。
 私は沖縄には他の宗教・考え方は入ってきていないと思っていた。しかし、そうではなく、いろんな宗教が入ってきて受け入れてきた上で現在の「祖先崇拝」という考え方になったのだと思った。実際に現地の人に聞くことで初めて分かったこともあり、おもしろかった。

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