「自分らしく」
澤田校長先生へ
この度は二条中学校3年生のご卒業,おめでとうございます。コロナの影響で例年とは違う,逆に心に残る卒業式になったことと思います。親として,式に出席し,卒業生と共に我が子を送り出してあげられなかったことが残念でなりません。でも,これもなかなか経験できることではないか!!とも思っています。
小学校のころから不登校になり,何年も学校生活を送ることがなかった子ですが,校長先生はじめ,たくさんの先生方の寛大なお心でいくつもの場面に参加させていただけたこと,心より感謝しております。
校長先生の下,3年間通っていたら何か変わっていただろうと思うこともあります。楽しかっただろうなと私は思うのです。でも,親の想いと子の想いは違うことがこの“不登校”を通じて分かりました。この学年の不登校生は少し多いと耳にしました。二条中だからではなく,個人・家庭・環境・性格,色んなことが要因だと思っております。業務の多い中,不登校児への対応も,先生方の労力,本当に大変だと思います。何度も足を運んでくださったこれまでの担任の先生方に本当に感謝しております。
短い間でしたが,見守っていただいて本当にありがとうござました。校長先生としての残り少ない教師人生を思いっきりそのままで駆け抜けてください。影ながら楽しみに拝見させていただきます。
最後になりましたが,先生方のご多幸と更なるご活躍をお祈り申し上げます。
追伸
朝の校門で,校長先生の「おはよう!」に何度も元気をいただきました。
卒業生の親として,また見かけていただきましたら「元気」を分けていただけたら嬉しく思います(笑)。
いつまでも変わらず,元気で先生や生徒の“長”でいてください。
卒業式の日に保護者の方からいただいた手紙です。ご本人に了解を得て掲載しました。この生徒のことをよくご存じの方には手紙の差出人が分かるかもしれませんが,特定できないよう固有名詞をはじめ一部を書き換えています。これも了解済みです。
生徒,保護者の方,担任と私の4人だけで行った卒業証書授与式も厳粛に執り行えました。「君の長い人生に比べたら不登校だった期間なんてほんの僅かや。そして,このことにはきっと意味がある。無理はせんでええから,何年か先,そう思えるようにしっかりと生きていくんやで。君も大切な卒業生や。困ったことがあったら相談においで。みんな大歓迎で待ってるしな。」学校長式辞にかえてそう言葉を掛けました。
生徒の目がまっすぐに私を捉え,やがてゆっくりと頷き「はい!」と答えました。92人の卒業生に92通りの人生が待っています。自分の人生です。自分らしく歩んで行ってくれることを心より願い,見守り続けたいと思います。