京都市立学校・幼稚園
最新更新日:2024/06/08
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『“てっぺん”獲りに行こうや!』〜Catch the top !〜

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「自分らしく」
 澤田校長先生へ
 この度は二条中学校3年生のご卒業,おめでとうございます。コロナの影響で例年とは違う,逆に心に残る卒業式になったことと思います。親として,式に出席し,卒業生と共に我が子を送り出してあげられなかったことが残念でなりません。でも,これもなかなか経験できることではないか!!とも思っています。
 小学校のころから不登校になり,何年も学校生活を送ることがなかった子ですが,校長先生はじめ,たくさんの先生方の寛大なお心でいくつもの場面に参加させていただけたこと,心より感謝しております。
 校長先生の下,3年間通っていたら何か変わっていただろうと思うこともあります。楽しかっただろうなと私は思うのです。でも,親の想いと子の想いは違うことがこの“不登校”を通じて分かりました。この学年の不登校生は少し多いと耳にしました。二条中だからではなく,個人・家庭・環境・性格,色んなことが要因だと思っております。業務の多い中,不登校児への対応も,先生方の労力,本当に大変だと思います。何度も足を運んでくださったこれまでの担任の先生方に本当に感謝しております。
 短い間でしたが,見守っていただいて本当にありがとうござました。校長先生としての残り少ない教師人生を思いっきりそのままで駆け抜けてください。影ながら楽しみに拝見させていただきます。
 最後になりましたが,先生方のご多幸と更なるご活躍をお祈り申し上げます。
追伸 
 朝の校門で,校長先生の「おはよう!」に何度も元気をいただきました。
 卒業生の親として,また見かけていただきましたら「元気」を分けていただけたら嬉しく思います(笑)。
 いつまでも変わらず,元気で先生や生徒の“長”でいてください。
 卒業式の日に保護者の方からいただいた手紙です。ご本人に了解を得て掲載しました。この生徒のことをよくご存じの方には手紙の差出人が分かるかもしれませんが,特定できないよう固有名詞をはじめ一部を書き換えています。これも了解済みです。
 生徒,保護者の方,担任と私の4人だけで行った卒業証書授与式も厳粛に執り行えました。「君の長い人生に比べたら不登校だった期間なんてほんの僅かや。そして,このことにはきっと意味がある。無理はせんでええから,何年か先,そう思えるようにしっかりと生きていくんやで。君も大切な卒業生や。困ったことがあったら相談においで。みんな大歓迎で待ってるしな。」学校長式辞にかえてそう言葉を掛けました。
 生徒の目がまっすぐに私を捉え,やがてゆっくりと頷き「はい!」と答えました。92人の卒業生に92通りの人生が待っています。自分の人生です。自分らしく歩んで行ってくれることを心より願い,見守り続けたいと思います。

『“てっぺん”獲りに行こうや!』〜Catch the top !〜

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「力を蓄えるとき」
 コロナウイルスの感染拡大が止まりません。首相は,わが国では一定程度感染の拡大を抑えているとコメントしていますが,それでも感染者は徐々に増え続けています。一方,今はイタリアをはじめとするヨーロッパで感染拡大が深刻です。
 国内でも春の選抜高校野球をはじめとして,数々のスポーツの大会やあらゆる分野のイベントが中止されており,いったいいつ終息するのか不安が募るばかりです。24日の修了式や30日の離任式は予定通りできるのか,部活動はいつ再開できるのか,もっと言えば,来年度の入学式や5月に予定されている修学旅行はどうなるのかなど,不安や心配は大きくなるばかりです。またイギリスで,コロナウイルス騒動の一つとして,アジア人に対する嫌がらせや差別的行動があったという報道を知り,憤りを感じるとともに,大きな不安を前にしたときの人間の弱さと醜さを再認識した思いです。
 本校生徒の皆さんには,是非とも平常心を保っていてほしいと思います。このような状況に陥ってはいますが,皆さんは決して一人ではありません。皆さんの周りには仲間や保護者の方や地域の方々,それに教職員がいるということを忘れないでください。困ったときにはいつでも相談してくれて構いません。
 阪神淡路大震災や東日本大震災のとき,わが国の国民は世界中から大絶賛されました。被災した人々が筆舌に尽くしがたい過酷な生活を送る中でも秩序を保ち,多くのボランティアの人々の協力のもと,肩を寄せ合って不自由な生活に耐えたからです。あのような状況下では,破壊や略奪などの暴動が起こる国は少なくないのです。
 確かに先が見えないことは不安ではあります。しかし,どんなに厳しい冬であっても,やがては暖かい春を迎えるように,いつかは必ずこの新型コロナウイルス騒動も終息する日がやってきます。それまでの間,出来ること,やらなければならないことにしっかりと取り組みましょう。期せずしてできた時間を有効に使い,普段できないことに取り組んでみてください。1年間の復習をするのもよいでしょう。苦手の教科に集中的に取り組むことを勧めます。話題の本を読んだりDVDを鑑賞するのもよいかもしれません。本や映画から学ぶことは案外たくさんあります。集団で集まって遊ぶことは勧められませんが,二条城の周りをウォーキングしたりジョギングしたりして身体を動かすのもよいと思います。
 60年近く生きてきた私でさえ初めてのことですから,経験から良い方法を探ることもできません。その時その時で,周りの人と相談しながら最善と思える方法を見つけて取り組む以外にはないのです。この騒動が終息したその時に,勉強面でも部活動などの面においても,すぐにフルスロットルで動き出せるように心身のメンテナンスをしておきましょう。その時は必ず来るのですから。

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「熱と愛を…」
 例年に比べると参列者は少なく時間も短かったけれど,厳粛な中にも整然と執り行われた立派な卒業証書授与式でした。厳かな国歌と元気いっぱいの校歌の斉唱に始まり,卒業証書授与です。今年度は学級の代表生徒のみに授与します。1組の担任が一番の生徒の名前を呼びます。「ハイッ!」ハリのある大きく爽やかな声が講堂いっぱいに響き渡りました。単純な私はこの瞬間に胸が熱くなりました。臨時休校になる前の日,学年の先生はもちろん,私も呼名に対する返事の在り方と意味について,卒業生たちに語りました。生徒は,教職員の思いを受け止め,返事に思いを込めて返してくれました。次々と立派な返事が続きました。中には「自分が一番大きな声で返事をしよう!」と決意して臨んだ生徒がいたようにも思います。
 卒業生が一番に気持ちを込める合唱がなかったので涙は少なかったですが,それでも十分に感動的でした。式辞の冒頭,「卒業証書授与が代表生徒のみになるなど規模は縮小しますが,この場にいるみなさんで心のこもった式にしたいと思います。ご協力をお願いします。」と述べました。その通り,列席者の皆様方の思いがこもった厳粛な中にもぬくもりのある式が挙行できたと思います。この経験を通して,卒業生たちは確実にまたひとつ成長してくれました。生徒たちにとっては人生の一つの大きな節目ですから,挙行できて本当によかったです。
 これまで40回近い卒業証書授与式をみてきました。担任として,教頭として,そして校長として,それぞれ異なる立場から参加してきました。そうそう,指導主事をしているときに上の息子の卒業式があって,保護者として参加したことがありました。二人の息子の入学式や卒業式にただ一度だけ参加できた貴重な思い出です。
 そんな中で,最も強く印象に残っているのが,教師になって初めての卒業式です。私は2年の担当だったのですが,ひとつ上の学年の卒業式にえらく感動しました。当時はどこの中学校もそうだったのですが,私が赴任したその学校も結構荒れていました。血気盛んな当時の私は,赴任当時から3年の生徒たちとよくやりあいもしました。2学期になり体育大会の取組が始まりました,当時は学年を超えたブロック毎に応援団があり,そのリーダーになかなかの強者たちが立候補してきます。なんと,彼らをまとめ指導する役割を担わされました。これはマジで厳しかったです(笑)。そんな生徒たちが,涙を流しながら合唱をし,反抗をしまくった先生らに感謝の言葉を述べて卒業していく様子を見たとき,中学校教育の素晴らしさを強く感じたのでした。
 二条中学校の令和元年度第71回卒業生たちは,いったい何を学んで次のステージへと巣立って行ってくれたのでしょうか。教室で学ぶ勉強のほかに,親や地域の方や教職員のほとばしる“熱”と深い“愛”とを学んでくれていることを願ってやみません。
「みんな,ご卒業おめでとう。これからも頑張るんやで!」

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「魂のぶつかりが発する熱」
 いよいよ明日は「第71回卒業証書授与式」です。今年は,新型コロナウイルスの関係で,そもそも式がやれるかどうか危ぶまれましたが,規模の縮小と時間の短縮という原則のもとで挙行できることになりました。いくつも制約はありますが式を挙げることはできるのですから,その場に集ったメンバーで心のこもった卒業式にしたいと思います。
 さて,卒業式は,学校で行う最後の学習の場面です。学習とはいっても,当然のことながら各教科の学習のように知識や技能が身につくものではありません。この場は,感動を通して心を育む最後で最高の場面です。
 もちろん,学校では国語や数学などの教科の学習を通じて知識や技能を身に着けます。その所謂「狭義の学力」はとても重要です。しかしもう一方で,心を育んだり身体を鍛えたりすることも,中学生が今後の人生を生きていくうえで大変重要な教育だと感じて取り組んでいます。むしろこちらは,塾や家庭では決して身に着けられない重要な教育だと信じています。
 「子どもが変わった」「教育の現場が変わった」「昔はよかった」etcそんな言葉を聞くことがあります。しかし,私は決してそうは思いません。
子どもたちの遊びの中身が変わった,子どもたちの興味・関心の対象が変化した…,確かにそんなことはあると思います。でも,子どもの本質というか,心根とでもいうのでしょうか,そんなものはかつての子どもたちと比べてちっとも変っていないと思っています。いつの時代も,中学生は熱い関わりを求めています。少々斜に構えて大人を見ている部分も昔と同じです。興奮することがあるのと同時に深く感動する心ももっています。ちょっと見た限りで「子どもが変わった」と思ってしまって,大人の側が関わり方を変えてしまっているのです。だから,その関わりが生徒の本質まで届かず,子どもに変化が現れないから変わったように見えてしまうのだと思います。
 二条中学校の生徒指導を見ていると,かつての指導(冗談っぽく「昭和の指導」と言ったりしています…笑…)を見ているように思えることが多いです。生徒は部活動の際など,熱い心をむき出しにしている子が多くいます。また,注意されたり叱られたりすると拗ねたり反抗的な態度をとる子もいます。一方で,そんな生徒に対して本気で叱る先生の姿があります。こんな魂と魂とのぶつかり合いのある中学校は少なくなっているように思えます。
 教職員はこれまでの期間,できる限り感動的な卒業式にしたいと準備をしてきました。卒業生たちはきっと教職員の気持ちを汲んで,その熱に応えてくれると思います。教職員の思いと生徒の思い,生徒の魂と教職員の魂が交錯する熱い卒業式が,今年も挙行できるものと楽しみにしています。

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「あれから9年」
 あれからもう9年が経ったのかと思います。2011年3月11日午後2時46分のことでした。この年度,校長となった私は初めての卒業証書授与式に向けて校長室で式辞を作っていました。卒業生たちは,卒業前行事で楽しみにしていたUSJに行っていました。机から何かが落ち,それを拾おうとしたとき,大きく“ユーラ・ユラーッ”としたのを感じました。はじめは『めまいがしたのかな』と思ったのですが,しばらく続くその揺れに地震であると分かりました。校長室から顔を出すと,同じようにして保健室の先生が顔を出していました。
「地震やんな?!」「はい,多分そうだと思います。」
 東北地方であんなに大ごとになっていることをその時点では全く知らなかった私は,そんな呑気な会話をしたのを覚えています。
 地震情報を得ようとTVをつけたところ,震源地であると思われる東北地方の様子が映し出されていました。TV局のオフィスでしょうか,事務机やロッカーが激しく揺れたのちに倒れる(吹っ飛ぶ)映像が映し出されました。やがて,それまで見たことのない映像を見ることになりました。とにかく広い農地にものすごい幅(量)の濁流が流れ込んでいきます。その時はそれが津波だとは分かりませんでした。津波といえば,例えばプロのサーファーが大きな波に乗りますが,そんな波が海岸に向かって襲ってくるのかと思っていたからです。海の水が田畑を飲み込んでいきます。押し寄せる海水から逃れようと疾走する自動車も見ました。しばらくして,海岸近くの町の様子が映し出されました。自動車や家や電柱などがぐちゃぐちゃになって流れる映像です。海底で地震が起こるとなぜ津波が発生するのか,未だにその科学的構造はよく理解できませんが,その恐ろしさは脳裏に焼き付けられました。
 刻々と東北地方の惨状が明らかになっていきます。海水が引いた後,建物の上に自動車や大型船が乗っかっているのを見て,どれほどの量の海水が流れ込んできたのか想像することができました。そのころになると,地震とその後の津波によって行方不明になっている人についての情報も流れ出しました。児童・生徒が教職員とともに津波にのまれた学校があることも知りました。TV画面を観ているのがつらかったです。
 何日か後,次の大惨事が明らかになってきました。地震と津波による原子力発電所の事故です。地震と津波による死者と行方不明者が18000人も以上いるのに,いつ治まるか見当もつかない放射線による被害が広がりつつあることも報道されました。
 あれから9年が経ちました。私たちは,あの大災害とそこで起こった人々の様々な行動,犠牲となった多くの人たちのこと,今も残されている課題について,決して忘れてはいけません。今の中学生は,その当時まだ小学生にもなっていません。是非とも今日,家族で当時の話をしてみてほしいと思います。

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「授業の中で生徒指導を行う」
 かつて,中学校が生徒指導で忙しかった頃,中学校では学習指導よりも生徒指導が優先されるような風潮がありました。全国的に中学校が“荒れ”の状態にあったことがこの風潮の背景にありました。生徒の“荒れ”を治めなければ学習指導どころではないと考えられていました。ちょうど私が教師になった頃から10年以上はそんな状況でした。
 ある時から「生徒指導は授業の中でするべし」と言われました。生徒指導と学習指導とが学校で行う教育の両輪で,同時に行われることはないと思われていた頃だったので,初めて聞いた時には驚いたのを思い出します。
 学校の一日は概ね9時間で,その中で授業が6時間あって最も多いです。次が部活動でこちらは2時間程度,残り1時間が昼食時間を含めた休憩時間です。だからこそ,最も多くの時間を使う授業の場面でこそ有効に生徒指導を行うべきだという考えが出てきたのでしょう。
 「話す」・「聴く」態度や板書の取り方など,全員がビシッとしていることを「授業規律」ができていると言ったりします。はじめは,この「授業規律」を整えることこそが授業の中で生徒指導を行うことだと思いました。やがて,“発表することや話し合うことの楽しさ”を学ばせることで学習が活性化し,態度や言葉遣いなどを別個に指導する必要がなくなるということに気づきました。今では,学習を活性化させることで,学力がつくのと同時に自然と生徒指導(「生活指導」といった方が適切かもしれません)もできるのだと思っています。
 昨年度から生徒に「対話する力」をつけるべく研究に取り組んできました。各教科の授業だけでなく,道徳や,学級活動や学年集会などの特別活動,総合的な学習の時間などあらゆる学習活動に「対話の場面」を取り入れる工夫をするようにしています。
 公開授業を行う機会も増えました。本校の教師が,子どもたちがよく活躍した所謂「よい授業」をすると,他校の先生方から「二条の子どもたちだから…」と言われたりもします。確かに二条中学校の生徒は素直で従順な子が多いです。でも,何も指導せずに「対話の場面がふんだんに取り入れられた授業」ができるはずはありません。教職員がチームになって全体で取り組んだからこその結果であると思っています。
 学年には「授業規律」をつけさせることが得意な教師もいれば,グループ学習やペア学習をさせることが得意な教師もいます。後者だけだと教室全体がザワついたり,場合によっては授業としての体をなしていないかのような状態になったりもします。一方,授業規律を整えるだけだと,授業が堅苦しく活発な意見交換ができなかったりもします。だからこそチームで取り組む意味があり,その効果が上がるのです。様々な得意分野を持った教職員が同じ子どもたちを指導したから一気に授業が改善されたのだと考えています。現在,二条中の教職員は,「授業の中で生徒指導をする」という意味をどんどん膨らませて考えられるようになってきています。

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「豊かな心を育む」
 臨時休校になって4日が経ちました。本来なら今週は卒業証書授与式に向けて様々な取組があるところですが,教職員だけが学校に来て仕事をしています。
 さて前回,3年生の最後の日の様子を綴りました。今回は1・2年生の取組について書きます。
 この時期の1・2年生の取組といえば,言わずと知れた「3年生を送る会」に向けてのそれです。多くの場合,この取組はその学年集団が最後に結束を固め,その団結力を自他ともに再認識する場面です。しかし,今年度は1・2年生が合同で一つの出し物に取り組みました。男子の「ハカ」(ニュージーランドのラグビーチームが試合前に自らを鼓舞し,相手チームに対してエールを贈るために行う伝統的な舞踊)と女子の「チア」です。ともに,今年度大いに盛り上がったラグビーのワールドカップを強く意識して考えられました。
 本来ならば今週11日の「3年生を送る会」で披露するはずだったのですが,突然の臨時休校でそれが叶わなくなりました。そこで,出来ているところまでの演技をビデオ撮影し,それを最終日に3年生に観てもらうことになりました。撮影が,予定していた本番から1週間近くも早まったことで,十分なパフォーマンスができないのではないかと心配もしましたが,なんの何の,見事な出来栄えでした。
 こういう取組(一般的にはマス・ゲームと呼びます)を行うのは案外難しいのです。多くは体育大会等で披露しますが,時間もかかります。場合によっては,指導に従わない生徒がいたりして先生が大きな声で叱ったりしながら作り上げていくこともあります。しかし今回の場合は,3年生への敬愛とこういう事態に陥ったために逆に強まった連帯感,それに学年の教職員との強い信頼関係からそのような場面は全くなかったと聞いています。 出来上がったパフォーマンスもさることながら,このことの方を本当に素晴らしいことだと感じています。本校ならではの取組と結果です。
 前回,3年生と教職員との関係を「熱い」と書きました。1・2年生と教職員との関係も,そして3年生と1・2年生との関係もまたとても「熱い」です。
 「3年生を送る会」ができないことは誠に残念ですが,生徒や教職員は限られた範囲の中でできる限りの取組をしようと頑張りました。学校を預かる校長として,そんな生徒や教職員の思いや行動が誇らしく自慢に思います。
 学校は勉強をするところです。だから,臨時休校までの3日間には学年末の授業のまとめや休校中の学習の在り方などについて時間をかけて指導しました。しかし,二条中学校では,このように感動することを通じて「豊かな心」を育むこともまた学校の大切な使命だと考えて取り組んでいます。

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「こんな状況だからこそ」
 前代未聞の事態です。40年近く教師をしてきましたが,こんな形で学校が臨時休校になるのは初めての経験です。目には見えない新型コロナウイルスの脅威はすぐそこまで迫っていると認識しなければなりません。また何よりも,生徒の命と健康を第一に考えたとき,この措置は仕方がないものと考えます。
 とはいえ,3年生とその保護者,担当の教職員にしてみれば残念な思いは強いでしょう。卒業行事のUSJの中止にはじまり,公立高校中期選抜受検前の休校措置,3年生を送る会の中止と卒業証書授与式の大幅な縮小です。本当に大変な事態です。
 3年生を送る会は,もちろん3年生のために行うものですが,実は1・2年生が最後に学年としての結束を固めるために重要な意味のある生徒会行事です。そのため,この行事の中止は,1・2年生にとっては卒業証書授与式の縮小と変わらないほどの痛手です。3学期に入った頃から取り組んできた内容が無駄になるのではないかと懸念されました。教職員は『そうはさせじ』と限られた時間のなかで,感染拡大につながらない対策も含めて取組を考えてくれています。本来の「送る会」とは比べものにならないほどその規模は縮小されますが,3年生は1・2年生の心に感謝しつつ楽しみにしてほしいと思います。
 卒業証書授与式についてです。コロナウイルス感染拡大を防止するため,参列者の数を減らすことと,式にかかる時間を短縮することが重要です。この2つの観点から新たな提案をすることになりますが,3年生の皆さんは理解し受け入れてほしいと思います。卒業証書はクラスの代表生徒に渡すことにします。3年担当の教職員と3年生の保護者の皆様方からの強い要望を受けて一人ひとりに手渡すつもりでいましたが,全市的に例外は超小規模校のみと決められました。「式歌」をカットすることに関しても同様です。合唱にはどの学校も様々な思い入れをもっています。「式歌」は,卒業生が学校や仲間や教職員への気持ちを合唱に込めて表現する卒業証書授与式では極めて重要な場面です。しかし,これもすべての学校でも歌わないことになりました。
 今年の卒業証書授与式は,参列者が少なく時間も随分と短くなりますが,卒業生が仲間や保護者の方,教職員と気持ちをつなげる場面はいくつもあります。こういう状況であるからこそ,残されたプログラムの中で内容の濃い式にしていかなければならないと考えています。これまで何度も述べてきた通り,二条中学校では生徒を第一に考えて物事を計画し実行してきました。それは今後も同じです。
 3年生諸君,卒業証書授与式の感動は,その規模やかける時間に左右されるものではありません。そこに集う一人ひとりが気持ちを高くもち,二度とない今年度の式を皆の心に一生残るものに作り上げていくのです。このような状況であるからこそ,みんなの手で感動的な卒業証書授与式を創り上げようではありませんか。
※写真は昨年度の卒業証書授与式の様子です

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「頑張りと気遣い」
 今日は公立高校前期選抜試検の合格発表日です。ちょうど今,発表を見に行った人たちが3年の先生に結果の報告に来ています。昨年度からWEB上での発表も行われるようになったことから,私の手元には既に合否のリストが届けられています。圧倒的多数の人が合格するのであれば,私も校門のところで待っていたいくらいですが,残念ながら今日の結果は不合格者の方が多いのです。合格者に祝福の声を掛け,不合格者と今後の対策を練るのは3年の先生方に任せ,じっと校長室から見守りたいと思います。
 毎年,この時期には受検生に同じことを言いたいです。公立高校の受検は,次の「中期選抜」がメインだということです。私立高校入試で既に進路が決定した生徒がいるなか,更に今回の公立高校前期選抜で合格した生徒は進路を決定します。すると,本校では進路未決定の人が3分の1しか残りません。この状況で学習に対する強い気持ちを持ち続けるのは容易いことではありません。これまでの学校でもそうでしたが,中には,本来は第1志望のはずだった中期公立高校の受検を辞め,既に合格している私立高校へ進学すると言い出す人がいたりもします。勿論,当初から『前期選抜で不合格だった場合には私立高校へ行く』と決めている人はこの限りではありません。
 3年では“受験は団体戦”というフレーズがよく使われます。まさにこれからこのことが試されます。既に進路を決定した人たちが,これからメインの受検を迎える人たちのために最高の受検ムードを持続させてこそ,二条中の3年がチームになって団体戦を戦うということなのです。
 さて先日,ニジョランをしていた時の話です。私はいつも同じペースで走っています。若い人に抜かれることが多いですが,ムキになって抜き返そうと思うことはありません。ただ,楽しくマイペースで走ります。たまに,前を走る人の背中がだんだんと迫ってくることもありますが,その時もペースを変えることはありません。
 その日,私の前を走る人は,私よりも10歳程上の人のようでした。決まった呼吸を刻んでおられます。背中がだんだん近づき,やがて抜きました。ただそれだけのことだと思っていたところ,10分以上も経ってでしょうか,先ほどの息遣いが背後から聞こえてくるのに気づきました。あっという間に追い抜かれ,先ほどの人だと分かりました。そこから約半周走った辺りで,その人は整理運動をしながら私を待っておられたようです。「有難うございました。久々に全力で走りました。キツかったです。」
 何か思うところがあって私を抜き返そうと思われたのでしょう。でも,その後の「有難うございました」が実に清々しく響き,私には悪い気がしませんでした。
 これから3月6日の中期選抜までの期間,個々の頑張りとともに,周囲への配慮ができる3年の集団であってほしいと思います。
 3年のみんな,がんばれ!

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「春を夢見て」
「さざんか・さざんか、咲いた道、たき火だ・たき火だ、落ち葉たき」
 冬に咲く花として有名な山茶花。我が家のそれもそろそろ“終わり”に近づいてきました。毎朝、落ちた花びらの掃除が大変です。6時前からチリトリが一杯になるほどの量を拾い集めます。そうそう、よく似た花に「つばき」がありますが、こちらは花が丸ごと落ちるので、その様子から斬首がイメージされて武士から嫌われ、家には専ら山茶花が植えられたと小さな頃、父から聞きました。  
 花の世話も大変です。夏場にはアブラムシがついて放っておけば冬の美しさは望めません。毎夏、霧吹きタイプの防虫剤を撒いて退治します。そんな風にしてきたからこそ、美しく咲いた山茶花を愛おしく感じ、毎日の花びら集めの作業も苦ではないのだろうと思います。とはいえ、こんなことができるようになったのは50歳を過ぎてからです。それまで、これらは主に父の仕事で、アブラムシのことも落ちた花びらを拾うことにも何の関心もありませんでした。また来年の冬に、勢いよく咲いてほしいと願っています。
 さて、「今年の冬は暖かい」そう何度も聞きます。今朝、それが今年だけでないこと、徐々に冬が暖かくなっていることに改めて気づくことがありました。
 5年前まで通っていた中学校にもバイクで通勤していました。当時は、毎晩ヘルメットを家の中まで持ち帰り、朝からリビングルームの床暖房の上において温めていました。そうしないとヘルメットをかぶった途端、中が曇って前が見えなくなるからです。今朝、もう何年も経験していなかったその状況を体験しました。今朝は生徒の登校時間帯に、久しぶりに激しく雪が降りもしました。少々驚きましたが、ワクワクした気持ちになったことも事実です。生徒たちも、気分が上がったのでしょう、多くの子たちが傘も差さず、まるで激しく降る雪を楽しむかのように登校してきました。
 今年、雪不足で困っているのはスキー場だけではありません。雪解け水が不足して農業に支障をきたす地域もあるようです。昔から自然を相手に工夫をして生活してきた我が国では、はやり冬は寒くないといけないのです。
 カナリーヤシの下からチューリップの芽が出たのを見つけました。2週間ほど前、用務員さんが丁寧に植えておられるのを観ました。厳しい冬の時期に美しく咲く山茶花が終わりを告げようとする頃、チューリップが芽を出し、薄く積もった雪が解けて校門横のあんずの花が咲き始めていることにも気づきました。皮肉にも、久しぶりの雪の日に春が近いことを感じました。
 毎年、自然も学校行事も同じような時期に同じようなことをしていますが、生徒は違っています。受験(検)する高校も違えば進む道も決して同じではありません。3年生には、もうしばらく厳しい時期が続きますが、その後には必ず暖かな春が待っています。
 どうぞ、もうしばらく頑張ってほしいものです。

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