京都市立学校・幼稚園
最新更新日:2024/06/25
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『“てっぺん”獲りにいこうや!』〜Catch the top !〜

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「目標に向かう計画と流れ」
 いつの間にか,朝からセミがかまびすしく鳴いています。雨が激しく降る日が多かったので気づきませんでしたが,7月中旬といえばもう真夏です。
 今年度は,新型コロナウイルスの関係で学校の一年間のサイクルが大きく乱されてしまいました。加えて7月の大雨続きの低温によって例年とは随分異なる気候です。実は当初の予定では今日が終業式で,本来なら明日から夏休みを迎える時期なのに,既にそんな意識まで失ってしまっています。
 さて一昨日,立命館大学4回生の岩本心さんを迎えて3年生が話を聴きました。彼女は,「世界で最も貧しい大統領」といわれたウルグアイの元大統領ホセ・ムヒカ氏に一人で会いに行ってインタビューをした経験を話してくれました。元々,「世界の平和」や「そのための人類の協力」に興味をもっていた彼女は,大統領当時のムヒカ氏の「貧富の差がなく,生まれた時には皆が同じ権利をもてる世の中にしたい」という演説を聞いて感動。是非本人に会いたいと一人旅を決断します。ウルグアイに行ったこともなければ,スペイン語もままならない状態です。何の“つて”もないまま現地へと向かい,出会う人々の協力を得ながらムヒカ氏の自宅に辿り着きます。若い女性の一人旅です。無謀とも思える行動ですが,その決断力と行動力には本当に驚かされました。
 毎年3年は,総合的な学習の時間のテーマを「平和学習」として取り組んでいます。一昨日の講演会もその一環として設定されました。
 これまでの3年は,沖縄への修学旅行に照準を合わせて,先ずはその事前学習,次に実際に現地を訪れてガマ体験や語り部さんの話を聴く,更に学習してきたことを文化祭で平和劇にして表現する,そして,学習発表会で自分たちが学んだ内容をまとめて発信する,という方法で学びを継続して深めてきました。
 一方,今年度の3年生は「世界の平和」に目を向け,そのためには人類の協力が不可欠であることを知ります。そして,貧困の問題に焦点を当て,豊かな国の人々が貧しい国の人々に対して何ができるのかを考えたり,そもそも「本当の豊かさ」とはどういうものなのかを考えたりしているようです。
 生徒の反応を見ると,岩本さんの夢や決断力,行動力の方に目が向きがちだったようでしたが,「本当の豊かさ」についてもしっかりと考えられたと思います。
 2年では,先日行った学年道徳の教材『一冊のノート』を代表生徒たちがシナリオにしました。一昨日,それを読ませてもらいましたがなかなかの出来栄えです。文化祭当日の劇が観えてきたように思います。1年もまた,一昨日,グループに分かれて二条城の散策に行きました。どの学年も着々と学習を進行しつつあります。
 今後の各学年の総合的な学習の時間が,それぞれの目標に向けてどのように計画され流されていくのか,とても楽しみにしています。

『“てっぺん”獲りにいこうや!』〜Catch the top !〜

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「言葉が要らないときもある」
 九州の各地,特に熊本県で豪雨による被害が大きくなっています。先日来,幾度も球磨川が氾濫する様子がTVで放映されています。一旦大きな河川が氾濫し始めると,アッという間に家々が水に浸かり,自動車が流されるまでになるのかと,改めて自然の力の大きさと恐ろしさを感じています。また,今回の災害でも多くの人命が奪われました。亡くなられた方々のご冥福を祈るとともに,現地の一日も早い復興を願うばかりです。
 さて,毎月小冊子が学校に届きます。読者からの投稿が多く掲載され,道徳の教材として使える作品も少なくないので,時間のある時には目を通しています。今月号に掲載されている沖縄県の中学生の作品を紹介します。
「アイスクリーム,食べに行こうか」
            津嘉山理人(沖縄尚学高等学校附属中学校1年)
「ヨッシャ―,優勝」      
 サッカーの大きな大会で僕のチームが県大会で1位になった。念願の九州大会だ。飛行機や宿泊先のことを考えると,興奮したものだ。しかし,その夢はある日,一気に崩されることになった。 九州大会派遣のメンバー発表の時,県大会ではずっとメンバー入りだった僕が外された。名前を呼ばれなかった。間違えていると思って聞き返したが,僕の名前は最後まで呼ばれることはなかった。予想だにしてなくて,不意打ちで起きた地獄だった。
 練習がおわり,母が迎えに来てくれた。車に乗った瞬間涙が流れてきた。
「メンバーに選ばれなかった」母にそう伝えると,いつもはしつこいくらいに質問攻めの母が何も聞かなかった。「アイスクリーム,食べにいこうか」夕食前にデザートを禁止にしている母がアイスクリームに誘ったのだ。僕は席につくなり,ずっとうつむいていた。アイスクリームを食べた母が,「おいしいね」といった。僕は,「こんなときに何だよ」と思い,顔を上げ,母を見ると,今にもこぼれそうなくらい目に涙をためている母がいた。しばらく沈黙が続いて母が話し始めた。「どんなに頑張っても,思い通りにならないことってあるんだよ。でもね,何度くじけても何度でも頑張れる力が,とっても大切。そういう人間になってほしいな」と。僕は,「うん」と,だけ答え,残っているアイスクリームを口いっぱいに頬張り,食べた。
 自分のことのように涙を流す母に感謝した。そして,母の偉大さを感じた。僕はこの経験を胸に,努力し続ける人になると強く思った。
 子どもが傷ついたとき,慰めとようとしてやたらと多く言葉を掛ける教師や親がいます。その点,この文章に出てくるお母さんの対応は素晴らしいと感じました。言葉は少なくとも,お母さんの気持ちは十分に息子に伝わっています。教育や子育ての場面でこの様な状況は少なくありません。大いに参考にしたいものです。
※〜「PHP」2020年8月号より〜


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