学校日記

Global CitizenshipⅠ~校内巡検 第5回:提案を発表し、「自由の芽」をみんなで育てる~

公開日
2026/10/01
更新日
2026/09/29

学校の様子

 こんにちは、GC教育部です♪


 1年生の総合的な探究の時間「Global CitizenshipⅠ」では、「校内巡検」の単元に取り組んでいます。


 第1回では、紫野高校の中を「自由」という視点で見直し、校内にある不自由さや、もっと自由にできそうな場所を探しました。第2回では、見つけた「自由の芽」を、実現可能性と実行意義の両面から整理し、提案として育てていくものを選びました。第3回では、その提案によって自由になれる具体的な一人をペルソナとして考え、提案書の形にまとめていきました。第4回では、担当教員との面談を通して問いを受け取り、提案書をさらにブラッシュアップしました。


 今回のテーマは、「提案を発表し、『自由の芽』をみんなで育てる」です。


 第5回では、各グループがこれまで考えてきた提案を発表し、講座内で共有しました。


 発表では、単に「こういう提案を考えました」と説明するだけではありません。なぜその場所や課題に注目したのか。誰が、どのような場面で不自由を感じているのか。その不自由が解消されると、どのような自由が広がるのか。実現するためには、どのような方法や協力が必要なのか。そうしたことを、グループごとに自分たちの言葉で伝えていきました。


 提案には、階段、トイレ、中庭、教室、冷水機、傘立て、エアコン、机と椅子、校内の案内表示、先生の居場所など、毎日の学校生活に関わる身近な場所やものが数多く取り上げられました。一つひとつは小さな困りごとに見えるかもしれません。しかし、その奥には「もっと安心して過ごせる学校にしたい」「もっと気持ちよく学べる環境にしたい」「誰かが我慢しなくてよい場所にしたい」という思いが込められていました。


 たとえば、先生の居場所が分かりにくいという課題に注目したグループは、質問や提出、相談のしやすさを支える仕組みを考えました。先生に質問したい、提出物を出したい、相談したいと思っても、どこに行けばよいか分からないと、その一歩が止まってしまうことがあります。「先生に会いやすい学校にする」という提案は、生徒が学びや相談に向かいやすくなるための自由につながっていました。


 また、エアコンの風に注目したグループは、同じ教室の中でも、風が直接当たりすぎる人と、まったく風が届かない人がいることに目を向けました。体調や集中のしやすさは、座席の場所によって大きく変わることがあります。教室の快適さは、全員に同じように与えられているように見えて、実は人によってかなり差がある。そのことに気づいた提案でした。


 さらに、中庭や百葉箱エリアなど、あまり活用されていないように見える場所に注目したグループもありました。使われていない空間を、学びや癒し、交流の場所として活用できないか。少し大胆な提案もありましたが、その背景には、学校の中に新しい居場所や関わりを生み出したいという思いがありました。


 このように、発表された提案は本当にさまざまでした。


 けれども、どの提案にも共通していたのは、「自分たちが毎日過ごしている学校を、もう少し自由で、もう少し安心できる場所にしたい」という思いです。


 発表後には、聞いている生徒から質問や意見が出されました。


 ここで大切にしたのは、質問を「提案を一緒に良くするためのもの」として捉えることです。これまでLEGO® SERIOUS PLAY®の活動でも、生徒たちは「これは何ですか」「なぜこの形なのですか」「なぜこの色なのですか」と問いながら、相手の考えを深く理解しようとしてきました。今回の発表でも同じように、「なぜこの方法なのか」「誰にとって、どんな自由が生まれるのか」「実施するときに困ることはないのか」といった問いを通して、提案をさらに深めていきました。


 生徒からは、「他のグループの発表を聞いて、自分たちが見ていなかった場所にも不自由があることに気づいた」「同じ学校にいるのに、困っている場所や気になるところが人によって違うのがおもしろかった」「質問されると少し焦ったけれど、何をもっと考えればよいのか分かった」といった声も聞かれました。


 また、「自分たちの提案はまだ具体性が足りなかった」「費用や管理方法をもう少し調べれば、実現に近づけられそう」「誰の自由を広げる提案なのかを、もっとはっきりさせたい」といった振り返りもありました。


 発表は、自分たちの提案を他者に届け、問いを受け取り、さらに考え直すための時間でした。発表してみることで、伝わった部分もあれば、うまく伝わらなかった部分もあります。質問されて初めて、説明が足りなかったところや、まだ考えきれていなかったところに気づくこともあります。それは、提案が、さらに育つ余地をもっているということです。


 今回の授業を通して、生徒たちは、自分たちのグループが見つけた「自由の芽」だけでなく、他のグループが見つけた「自由の芽」にも触れることができました。紫野高校の中には、自分一人では気づかなかった不自由さや、まだ十分に使われていない自由の可能性がたくさんあることが見えてきました。


 校内巡検は、学校への不満を言うための活動ではありません。自分たちが毎日過ごしている学校を、より自由で、より安心できる場所にしていくために、当たり前を見直し、誰かの立場に立って考え、提案として言葉にする活動です。


 もちろん、すべての提案がすぐに実現するわけではありません。費用がかかるもの、管理体制が必要なもの、安全面の確認が必要なもの、さらに多くの人の協力が必要なものもあります。しかし、今回の学びで大切なのは、「できるか、できないか」だけで終わらせないことです。


 「では、まず何から始められるか」

 「小さく試すなら、どのような形があるか」

 「誰に相談すれば、次の一歩につながるか」


 そのように考え続けることも、探究の大切な一部です。紫野高校の自由は、最初から完成されたものではありません。誰かが小さな不自由に気づき、言葉にし、仲間と考え、問いを受け取り、もう一歩踏み出すことで、少しずつ育っていくものです。


 生徒たちが見つけた「自由の芽」は、発表して終わりではありません。この提案書をさらに磨き、生徒会執行部や担任の先生に届け、実現に向けて動き出すのかどうか。その一歩を踏み出すかどうかは、生徒たち自身に委ねられています。生徒たちが見つけた「自由の芽」が、これからどのような形で紫野高校の中に育っていくのか。これからの歩みが楽しみです。