生徒インタビュー@校長室Vol.6前編「パンクは音楽ジャンルというよりアティテュード」(3年1組湯原立也さん)
- 公開日
- 2026/08/04
- 更新日
- 2026/08/04
校長室より
「一歩踏み出すGlobal Citizen」を体現する生徒の活躍を紹介する校長室インタビュー、第6弾は軽音楽部の3年1組湯原立也さん(洛北中出身)。前・後編でお届けします!
――今日はありがとう。きっかけはいつだったか、年度初めに中庭で昼休みライブあったよね。この部屋で作業してたら、すごい歌声が聞こえてきてさ。すげえなと思って出てったら、ちょうど終わったところで、「今のは君?」って話しかけたのが最初だったね。
湯 そうでしたね。4月の弾き語り限定のライブでした。
――そう、あの時はアコースティックだったね。曲は何だったの?
湯 ガガガSPの「明日からではなく」っていう曲です。確かカバーだったと思うんです、ちょっと覚えてないんですけど、もとはシンガーソングライターさんの曲で、それをやりました。
――その後、何度か顔を合わせてね。次いつやるの?って訊いたら、七夕だって教えてくれて。それで今回、ようやく聴けたんだよな。3列目で生徒と一緒にベンチに座ってさ。あの曲は?
湯 今日もTシャツ着てるんですけど、STANCE PUNKSの「stay young」っていう曲です。
――よかったよー、めちゃくちゃエモーショナルな歌で。それで、ぜひ話を聞きたいと思ったんだけど、インタビューを受けてもらえるかどうか心配で。話を聞いたときは、どう思った?
湯 正直なんで自分?って思った。何かやってきたつもりも特になかったので。
――十分、やってるよ! 部活動でのインタビュー登場は湯原さんが初だね。どういうきっかけで音楽を始めたの?
湯 あのー、全然音楽聴かなかったんですよ、中学2年生とかまで。
――中2で何かあったんやね?
湯 はい。エレファントカシマシの「生活」っていうアルバムがあるんですけど、それ聴いた時にすごいなって。それでギターをやろうって思ったのが中2のあたりでした。あと、サンボマスターとかわかりますか?
――わかるよ、エレカシもサンボマスターも!
湯 サンボマスターのファーストアルバムが2回目の転機ぐらいで。そこからいろいろ聴くようになって、銀杏BOYZ、さっき言ったSTANCE PUNKSって感じで、どんどん日本語パンクを聴くようになって。THE BLUE HEARTSとか。そこからカリフォルニアあたりのパンクロックとかも聞くようになって、NOFXだったりラグワゴンだったり。どれも若い人はあんまり聞いてないかなっていう感じな。
――納得だよ。だから逆に僕なんかに刺さるんだろうね。THE BLUE HEARTSも、よくわかるもん。
湯 はい、だから多分、(周囲とは)ちょっと異質な感じになってんのかなっていう感じはあります。
――異質っぽいねー。音楽の師匠みたいな人がいたの? こんなん聴いたら?って教えてくれるような。
湯 それが、いなかったんですよね。だからずっと一人で進んでって感じで。歌もギター弾きながらすごいデタラメに歌ってたりして、そこからだんだん独学でやっていって。高校でバンド始めた時は、正直ちょっと奇怪な目で見られる覚悟はしてたんですけど、意外とウケがよくて。
――それは、あなた自身が周囲を動かしたんだと思うんだよ。あなたの表現が本気っていうかさ、「いいものだ」と周囲に感じさせた。そこが中途半端だったら多分ね、そこまでの反応にならなかったんちゃうかな。すごいな。ジャンルで言うとやっぱりパンクが好きなの?
湯 そうですね。と言っても……、音楽ジャンルというより、アティテュードというかスタイルがパンクっていうのが僕の考えですけどね。いろんなカルチャーとかを、メロディーを作ってパンクというスタイルに落とし込むっていう感じかな。ただ、「パンクと言えばこれ」みたいな感じには縛られないようにしたいなって思ってます。
――いいこと言うじゃない(しみじみ)……。ジャンルというよりアティテュード。あなたの音楽遍歴と高校選びは、関係あるんかな?
湯 そうですね、もともと厳しいのがちょっと自分的には苦手っていうか、自分らしさが出せるとこがいいなとは思ってたんで。
――「この学校なら自分らしくいられそう」という話は、この連載に登場した生徒や卒業生含め、いろんな生徒が聞かせてくれてね。その印象はどこから来てるの?
湯 なんとなく、自由な校風で、みたいな話はよく聞いてたんですよ、中学の時。それから一度学校説明会に行って、あの雰囲気が、すごいいいように感じられた。実際、なかなか自分も変わってる側やとは思ってるので、それを受け容れてくれるっていうか、個性として認めてくれる人がいっぱいいるなって、いつも感じてます。変わってると言っても全然いい意味じゃなくて、人と馴染めないってところが昔からあったんですよ。
――馴染めないって……、いいじゃん! あなたのよさだよ。
湯 友達もあんまりいないし、ずっと家にいるような感じで。自分としては自己肯定感も全然なくて。だから、自分に対する評価がすごい低かったんですけど。逆にそれを認めてくれたっていうか、受け容れてくれたのが音楽だったっていうか、それが僕にハマったというか。実際音楽始めて、高校で初めて演奏した時に、みんないいよってすごい言ってくれて。
――自分はこれが好きだからやるって感じがいいね、みんながやってるからじゃなくて。これと決めたら周囲を気にせずのめり込める人って、すごいなと思って。バンド名はどうやって決めたの?
湯 パンクをやろうというのは中学の時からずっと思ってたんですけど、パンクって、ちょっと過激なイメージがあるかなと思って。それで、心に訴えかける優しいパンクをしようという意味で、ザ・ソフトパンクスにしました。
――なるほど。オリジナル曲はやるの?
湯 今年の3月ぐらいにライブハウスで初めてやりました。今度、部内で文化祭のオーディションがあるんですけど、それもオリジナル曲で。好きな曲をいろいろやりたい思いはあるんですけど、人の曲使ったら、多少なりとも好みが出てくるじゃないですか。それはちょっとずるいっていうか、不公平かもしれないと思って。そう考えた時に、やっぱり自分で作った曲で認められたいなって。カバー曲でやるバンドもあると思いますし、それもいいことやと思うんですけど、やっぱり自分たちはオリジナルで勝負してみたい。
――それは楽しみだな。こっそり観に行こうかな。人の曲でオーディションを受けると、原曲が好きな人にちょっと好印象で見てもらえちゃうけど、ほんまもんの自分らで勝負しようと。そこらへんはバンドの中で意見は一致したの?
湯 まあそうですね、みんなノリ良く認めてくれた。
――みんな3年生?
湯 一人はセブ島に留学に行ってたんで、今年もう一回、2年生。
――なるほど、入学はみんな一緒で。いつ頃このメンバーで一緒になったの?
湯 1年生の5月とか。
――え、早っ! 聞くところによると軽音って、バンド組むの結構苦労するんじゃないの? うまく相手が見つからなかったり、途中で方向性が合わなくなって分裂したりとかさ。
湯 結構ありますね。僕らはやりたいことを一番最初に統一したんで。そこが続いてるポイントかな。
――おお、さすが。オリジナル曲の作詞・作曲はどんなふうにやってるの?
湯 基本僕が作曲なんですけど、ギターで作曲して。歌詞は、僕は英語ができないので、英語の時は吉村くん(ベース)に書いてもらったりして持ち寄って、それをバンドで形にしていく。
――英語できないか(笑)。いつも歌ってる時って……、どんな思いなの?
湯 最初は、やっぱり明確に伝わってほしいというか、みんなに「こういうのがある」と知ってほしいという思いがあったんですけど、今はどっちかというと、自分の思いみたいなのを出せていけたらなっていう意識でやってますね。で、自分の思いを出すには、やっぱり自分らで曲作った方がいいかなってなったのがここ最近です。
――で、ファンはいっぱいいるの? ザ・ソフトパンクスの。
湯 どう……、でしょうねえ? 姜先生(国語科)とかは「いいね」って毎回観に来てくれるけど。
――マジで! 姜先生ファンなんだ!
湯 (笑)。好きって言ってくれる人はいますけど、自分らで「ファン」っていうのはおこがましい。
――謙虚やな(笑)。姜先生がいいって言うなら、本物だよ君たちは。高校の授業は楽しいの、あなたにとって。
湯 はい、楽しいです。
――本当? どんな授業のどんなとこが楽しいの?
湯 楽しい授業ですか? 座学じゃないんですけど、工芸は2年連続取るぐらい。
――いいじゃん! 3年次の選択科目に芸術を置いといてよかったよ。
湯 そうですね。お皿とかいろいろ作って、それを全部友達にあげちゃうんです。
――あげちゃうの! どうして?
湯 なんというか、自分で家に置いてても使わないじゃないですか。そしたら使ってくれる人にあげようかみたいな。あとは、論理国語とか結構好きですね。
――あ、本当? 文学より、評論とかノンフィクションなの?
湯 『こころ』とかはすごい面白かったですけど、評論のほうがいいかもしれない。全然自分の力ではわからないようなことを、向き合って書いてる人がいる。それを読ませてもらうのが、やっぱりすごい新しい発見になるなって思います。
――大事なことかもね。歌はやっぱり言葉で表現することだから。読んで新しいことを知るとか、文章を書くことは、きっと歌にも生きるんじゃない?
湯 はい。現代文はもとから好きなほうで、自分で考えて記述していくっていうのは得意ではないんですけど、文章をまとめる作業はやっぱり考える力になりますし、本文から得るものも多いので、そういう意味では論理国語が好きです。
――突然だけど、あなたの高校生活をさ、円グラフでバンドとか、勉強とか、友人関係とかを割り振っていくと、どんな感じになるの?
湯 なるほど……。(しばし真剣に描画)。……大雑把ですけど、こんな感じになると思います。【写真1枚目】
――おおー! ここ(「青春」)……、何が詰まってんだ、こん中には!【写真2枚目】
湯 もう、いろんなもんが入ってると思いますけど。音楽も大事ですし、受験も大事なんですけど、やっぱり青春?
――音楽と青春って重なってるんちゃうの!?
湯 そうですね、確かに重なってはいると思うんですけど。バンドというのを、意外に高校以降も続けていくものと捉えてて、そういう意味では曲とかも今後もやるつもりで作ってたりするので、高校生活とはちょっと離れている部分もあるかなって。まあ、音楽の半分ぐらいは青春と一緒くたになってるとは思うんですけど(と、「音楽」の真ん中に線を加筆)、やっぱり続けていきたいっていうのがあって。円グラフにすると難しいですね。受験とかも何年か経って思い返せばそれも青春になるんでしょうけども。ここ(「青春」との境界)はすごいグラデーションになってそうな。
――そういう感じだな。それにしても予想してなかったな、こういうグラフになるとは。この「青春」にすごい興味あるわ! この中にいろんなものが詰まってるんじゃない? 友達との他愛ないおしゃべりだったり、恋愛とかだったりするのかな。
湯 まあそうですね。何にも囚われないというか。
――何者にも囚われない時間がここ! 例えば一人で物事を考えたりとか?
湯 そうですね、勉強とは直接関係ないカルチャーに触れたり、友達と……。学校生活という意味では勉強にそんなに関係ないことは、青春かな。そういうものに触れること自体がやっぱり重要かなって。
――いや、すごいことだよ! それだよ! そうなんだよ、そうであってほしいんだよ、高校生はね。教師という職業をしているとついついね、授業を通して生徒たちと接してるから、生徒の中における授業の割合をすごく肥大化して捉えちゃいがちなんだよね。だけど僕はウチのみんなにさ、高校の授業の割合がそんなに大きくあってほしくないというか。
湯 そうですね。多分みんな意外とこうなんじゃないかな。
――ホントか!? それだと嬉しいんだけど。
湯 はい。学校っていうと勉強の印象が強いですけど、やっぱりティーンなんで。
【写真2枚目:湯原さんの高校生活は、「青春」が力強く最大面積を占め、「音楽」は半分くらい「青春」と重なる】
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