Global CitizenshipⅠ~校内巡検 第2回:見つけた「自由の芽」を育ててみよう~
- 公開日
- 2026/07/07
- 更新日
- 2026/07/03
学校の様子
こんにちは、GC教育部です♪
1年生の総合的な探究の時間「Global CitizenshipⅠ」では、「校内巡検」の単元に取り組んでいます。
前回の授業では、紫野高校の中を「自由」という視点で見直し、校内にある不自由さや、もっと自由にできそうな場所を探しました。生徒たちはiPadを持って校内を巡り、気になる場所を写真に撮りながら、「誰が、どんな不自由を感じそうか」「この空間が少し変わったら、誰が、どんな自由を感じられそうか」を考えていきました。
今回のテーマは、「見つけた『自由の芽』を育ててみよう」です。
前回見つけた気づきは、どれも大切な出発点です。しかし、すべてのアイデアをすぐに実現できるわけではありません。また、よさそうに見える提案であっても、実際に進めるには時間や費用がかかったり、別の誰かにとって不自由さを生んでしまったりすることもあります。
そこで今回は、前回集めたたくさんの「自由の芽」を、提案として育てていくために、グループで対話しながら整理していきました。
まず、生徒たちは、前回書いた付箋をもとに、それぞれの提案をマトリックス上に配置しました。横軸は「実現可能性」です。明日からでも実行できそうなものなのか、それとも長い時間や大きな準備が必要なものなのかを考えます。縦軸は「実行意義」です。その提案によって多くの人が自由になれるのか、あるいは限られた人に関わるものなのかを考えます。
このマトリックスは、提案を「良い・悪い」で判断するためのものではありません。どの提案を、どの順番で、どのように育てていくかを考えるための道具です。
たとえば、校内の段差をなくす提案は、けがをしている人や荷物を運ぶ人など、多くの人の移動の自由につながるかもしれません。一方で、工事や費用が必要になるため、すぐに実現するのは難しいかもしれません。このように、生徒たちは一つひとつの提案について、「実現できそうか」「どれくらい意味があるか」を考えながら配置していきました。
大切にしたのは、早く決めることではありません。付箋を動かすたびに、「なぜそこに置くのか」「他の人はどう考えているのか」「本当にこの位置でよいのか」を話し合いました。
生徒からは、「自分はすぐできそうだと思ったけれど、友だちの話を聞くと先生や事務室の協力が必要だと気づいた」「小さな改善でも、困っている人にとっては大きな意味があると思った」「実現しやすさだけでなく、誰の自由につながるかを考えるのが難しかった」といった声も聞かれました。
マトリックスへの配置が終わった後は、その中から「実現可能性が高く、実行意義も高い」と考えられる提案を2つ選びました。
すべての「自由の芽」を同時に育てることはできません。だからこそ、今の自分たちの力で一歩を踏み出せそうか、多くの人の不自由を少しでも減らせそうか、提案書として具体的に書いていけそうかを考えながら、グループで話し合いました。
次に、生徒たちは、選んだ2つの提案について、「その提案によって自由になれる人」を具体的に思い描きました。ここで使ったのが、ペルソナという考え方です。
ペルソナとは、具体的な一人の人物像のことです。この単元では、「提案によって自由になれる具体的な誰か」を表します。
提案を考えるとき、私たちはつい「みんなにとって便利そう」「こうなったらよさそう」と考えがちです。しかし、「みんな」は広すぎるため、誰のどんな不自由を変えたいのかがぼやけてしまうことがあります。そこで、具体的な一人を思い描くことで、提案の目的がはっきりしていきます。
たとえば、「昼休みに静かに過ごせる場所がほしい」という提案があるとします。ただ「静かな場所が必要」と書くだけでは、なぜ必要なのかが十分に伝わらないかもしれません。しかし、「昼休み後半に気持ちを落ち着けて、5時間目の授業に集中したいと思っている1年生」と考えると、その場所がどのような場面で必要なのか、どのような自由につながるのかが見えやすくなります。
生徒たちは、名前や立場、学校で過ごす時間、よく使う場所、困りごと、不安や我慢していること、そしてその人が求めている自由について考えました。
ここで考える自由は、前の単元で学んだ「感度としての自由」「権利としての自由」「状況としての自由」ともつながっています。安心して過ごせること、選べること、実際に使える環境があること。その3つが重なることで、その人にとっての自由がより具体的に見えてきます。
話し合いの中では、「ペルソナを考えると、ただのアイデアではなく、その人の生活を変える提案として考えられた」「誰か一人を具体的にすると、逆に同じように困っている人も見えてきた」「自分たちの提案で、別の人が困らないかも考える必要があると思った」といった気づきもありました。
今回の授業で生徒たちは、前回見つけた小さな気づきを、提案として育てていくための第一歩を踏み出しました。
提案は、思いつきだけでは実行につながりません。どれくらい実現できそうか、どのような意味があるのか、そして誰のどんな自由につながるのかを考えることで、少しずつ説得力のある提案へと育っていきます。
次回からは、今回選んだ「自由の芽」と、具体化したペルソナをもとに、実際に提案書を作成していきます。
「この人を少し自由にしたい」。そう思える提案を、グループでどのように言葉にしていくのか。これからの学びが楽しみです。