入学式式辞
- 公開日
- 2023/04/11
- 更新日
- 2023/04/11
校長室より
今年は春の訪れが少し早く、本校の日吉坂の桜は、みずみずしい葉桜として新入生の皆さんを歓迎しています。
ここに、令和五年度京都市立日吉ケ丘高等学校入学式を挙行するに当たり、京都市教育委員会事務局学校指導課指導主事、田中佑明様、学校運営協議会理事長および同窓会長 審政義様、PTA会長 千賀 修様を始め、多数の御来賓、保護者の皆様方の御臨席を賜り、衷心より、お礼を申し上げます。
ただ今、入学を許可いたしました新入生の皆さん、入学おめでとうございます。教職員一同、在校生とともに、皆さんを心から歓迎いたします。
本校は、昭和24年の創立以来、73年の歴史を持つ学校であります。この間、時代の変遷とともに、本校も変化を遂げてまいりました。平成7年度には京都府下で初の英語科を設置し、その後、平成21年度には英語科を国際コミュニケーション科に転換いたしました。さらに、平成26年度からは、高校入試制度の変更に応じて、より広い地域から大学進学を目指す生徒が集い、自分の興味・関心や進路希望に応じて主体的に学ぶことができる「進学型単位制普通科」となりました。そして、昨年度からはそれまでの3コース制を改変し、全員がグローバルコミュニケーションコースの生徒となりました。
本校の教育目標は「自律」・「協働」・「創造」であり、育てたい生徒像は「世界をつなぐ越境者」であります。これは、身の周りの社会や世界の中の様々な境の両側にある文化や歴史、価値観の多様性を理解した上で、その境を越え、境の両側の世界をつなぐ架け橋となる人という意味です。自分の中にある壁や社会に存在する様々な境を越えて挑戦し、いろいろな人々とつながり、自分の世界を広げ、新しい価値を求める人に育ってほしいという願いが込められています。
その「世界をつなぐ越境者」なることをめざし、これから本校で高校生活を送る新入生の皆さんに、二つのことを伝えます。
一つ目は、「自律」を目指してほしいということです。
昨年4月から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました。入学生の皆さんは、在学中に成年になります。18歳になると、選挙の投票権が得られ、国政の重要な判断に参加できることになります。また、自分の意志で様々な契約もできるようになります。
「自律」は、本校の教育目標にもありますが、もとは「自分の行動を自分でたてた規律(ルール)に従って正しくコントロールしていく」という意味です。つまり、自分で考え、判断し、行動していくということです。先生や保護者の方に言われたことをやるだけ、では「自律」しているとはいえません。中学校までは、先生や大人から「これをやりなさい」「あれをやりなさい」と指示され、それをこなすことが多かったかもしれませんが、指示されることや与えられることに慣れすぎてしまうと、人は次第に自分の頭で考えなくなってしまいます。それどころか、指示などの与えられる内容に不満を言ったり、うまくいかないことがあるとその理由を他人のせいにしたりするような人間になってしまうことさえあります。
ロボットやAIなどが予想を超えたスピードで進んでいる変化の激しいこの時代において、これまでのような「指示に従って物事を行う」ことの重要性は低くなってきており、社会全体でこの自律の力が求められています。高等学校は、生徒自らが自分で判断し、主体的に行動できる人間、つまり自律した人間に育っていくための学びの場だと思ってください。「中学までは1から10まで指示があったのに、高校ではないのはおかしいのではないか」と思われることがあるかもしれません。しかし、これは生徒の皆さんが自律していくために必要なステップです。もちろん学校も、少しずつそれができるよう丁寧にサポートしていきます。
二つ目は「多様性」の中での「対話」の経験を多く積んでほしいということです。
この3年間ほど、新型コロナウイルス感染症への対策が続き、学校においてもマスクの着用など、多くの制限がありました。今年の入学生の皆さんは、中学3年間はコロナに明け暮れた3年間だったと思われます。今やっと多くの制限が緩和され、元の活気のある生活が戻ってきています。この5月8日からは新型コロナウイルス感染症が現在の2類から5類に移行することを受け、国をまたぐ往来に関しても、入国の際の水際措置が大幅に緩和されるなど、今後は本校においても海外研修旅行をはじめ、コロナ以前の国際交流が再開される予定です。
本校には、校内留学施設「HELLO Village(英語村)」があり、英語教育や国際理解教育が充実しています。そこでは、海外の文化に触れる機会や、日本や京都の伝統文化を学ぶ機会、留学生など多様な背景を持った人との交流の機会などがふんだんにあり、世界の中の多様性を理解することはもちろん、そのうえで自分ができることを発信するなど主体性や発信力の育成の拠点ともなっています。昨年度からは、ALTの先生にウクライナからの先生も迎えました。世界の現状を知り、自分は何ができるのかを考える場ともなっています。
新入生の皆さんには、このような機会の中で多様な他者との対話を通じ、多くのことを経験してもらいたいと思います。そしてそれらの学びを通して、自分のやりたいことを見つけ、なりたい自分の姿を思い描き、それに向かって、数多くの挑戦をしていってほしいと思います。
最後に、保護者の皆様に一言御挨拶申し上げます。本日はお子様の御入学、誠におめでとうございます。私たち教職員一同は、お子様が自らの未来を切り開き、健全に成長できるよう、全力で支援して参ります。
そのためにも、学校と家庭がそれぞれの役割を果たしながら、お子様の自律に向けて、相互に補完しあい、連携を密にしていくことが重要であると存じます。何卒、本校教育への御理解と御支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
新入生240名の皆さんが、本校での3年間の高校生活を通して、これからの時代を力強く生きていくことができるよう、大きく成長を遂げることを心から期待いたしまして、式辞といたします。
令和5年4月10日
京都市立日吉ケ丘高等学校長
太山 陽子