学校日記

【28期生】探究基礎HOP 教員セミナー

公開日
2026/06/03
更新日
2026/06/03

学校の様子

先週から、28期生(一年生)の探究基礎HOPでは、教員セミナーと称して、本校の教員が主に学生時代に、自らの研究テーマをどのように決めていったかについて語る授業を、3回にわたって行っています。目的は、生徒が「色々な先生の実体験を聞き、探究活動において探究課題がどのように定まっていくのかを知る。課題設定に至る過程の面白さを知る。」ことです。3日(水)の6、7限は、1年3組と4組のHOPで、6人の教員が話しました。その中から、ここでは2人の教員セミナーにつき、ご報告します。


一人目は、英語科の教員です。小学生くらいの頃から、「本来こうありたい自分」と「集団・社会の中での自分」にギャップがあり、「人が心地よく生きることができないのはイヤだな、なぜだろう」、とよく思ったそうです。

大学は、文理を融合させて学ぶ学部に入ることになり、経済学、法学、地理学、数理科学など様々な教授の授業や、フィリピンの孤児院での経験も通して、自分から学びに出会いに行くことや専門性を高めることの面白さを知ったそうです。研究テーマは、当時問題になっていた格差社会の課題が凝縮した野宿者支援についてでした。漠然とした問題意識だったものが、担当教授との対話を通して、生活困窮者への支援の在り方をフィールドワークして類型化し、評価することが研究になっていったそうです。

先生は言います。「昔から今まで、人を背景にする制度や社会に疑問があるのだと思う。いま、学校という場もまた、人を背景にする制度になってしまわないか心配。システムは必要だけど、そこに人としてどのように関わるかについて、考えたい。」セミナーは、飾り気なく、先生自らが思われることを、ときに熱くときに滔々と語られる授業でした。

二人目は、数学科の教員です。高校生のときに宇宙飛行士の活躍を目の当たりにして、自分もそうなりたいと思われたそうです。大学に進むと、種子島宇宙センターに行ったりし、ロケットを研究するコースに進みました。学生時代に出会った本に書いてあった内容から、いろんな人が宇宙に行けるようなシステムを作り、人間の世界観を変えたいと思ったそうです。

大学院終了後はJAXAに就職し、国際宇宙ステーションの「きぼう」の開発にも携わりました。そのとき、自身のミスに対してある上司が、「よくぞ失敗してくれた」と言ってくれたことから、失敗の重要性を認識されたそうです。先生は言わいます。「研究はうまくいかないかもしれない。だからこそ、面白いのです。興味のあることを追求する研究テーマというものは、自ら獲りにいくものです。」

生徒からは、研究テーマの広げ方や、なぜ理科ではなく数学の教員になったか、また宇宙工学という専門に対して周囲の反対はなかったかなどについて、質問が出ました。先生は「いろんな生徒と出会いたかったから」「(反対があればこそ)余計に燃える」と言っていました。


研究テーマというものは、ときには見定めがたく、ときにはとっつきにつくいものです。そんなときでも、研究の現状と自らの問題意識を大切に、自分の興味関心を深めていってほしいものです。今回は、教員が主に学生時代に研究テーマをどのようにして決定していったかを語りました。多くの場合、研究テーマは①その分野の研究者が共通して持っている課題意識と、②研究者自身の興味・関心に基づくアプローチが交わるところで決まっていくものでしょう。一年生の探究基礎HOPは、まずはその第一歩です。みなさんが、良い研究テーマを見出し、それを深め、一生探究する人であってくれることを願ってやみません。