ペンが動く前のゼロ行目
- 公開日
- 2025/09/24
- 更新日
- 2025/09/24
学校の様子
本日、1年生の数学の授業を覗くと、方程式の個数よりも未知数の個数が多く、解が無限に存在する「不定方程式」に関する問題演習に取り組んでいました。
小問1「3x(二乗)+4xy-4y(二乗)+4x-16y-15=0を因数分解せよ」
小問2「3x(二乗)+4xy-4y(二乗)+4x-16y-28=0を満たす整数の組(x,y)を求めよ」
小問1を解いた上で、小問2に入る段階で、「3x(二乗)+4xy-4y(二乗)+4x-16y-15-13=0って見えたいよな〜、何でか分かるよな〜」という授業者の声に、うんうん、と頷く生徒、「え?」と顔を上げる生徒。
「そやな、(x+2y+3)(3x-2y-5)=13としたら?かけて13になるんは何パターンあるんや」
「1×13」「13×1」「マイナス…」「…」
「じゃあそっからは、もうこういうことやな…」
問題集の解答をスクリーンに映しながら、計算等は省略しながら、考えなければならない部分にポイントを絞って、授業が進行します。
「不定方程式の解き方って何があるんや」
「ユークリッド」「互除法?」「なんか倍数の…」
考えるべきポイントで生徒に問いかけ、テンポよくやり取りが進みながら、4つの解法パターンが確認されます。
「何や、君らユークリッド好きやな。でも使えるんか?」
「見つかったら終わりやから、言い方悪いけど勘でもいいんや。」
「絞り込みとかは、どういう時使えるんや。」
「そうやな。正の数に限定される自然数とかやな。」
教室全体に向けて、大きな声で発言をしない生徒も「○○ちゃうん」など周囲の生徒とそれぞれに話し合い、授業者の説明を聞き、「ほら!」と嬉しそうに顔を見合わせています。不定方程式のポイントについて、感覚が共有されたあたりで、
「はい、じゃあ282やってみい」
個人演習が始まるんだな、と思っていると、30秒ほどして、「ペンが動く前のゼロ行目が大事やで。どう考えるんかが大事なんや。どう考えた?ほな隣の人と…。」
一斉にペアで話し始め、指名された生徒は「まず次数を見て…係数を見て…yの方がやりそうやからyで降べきする…」と隣の生徒の助けも借りながら答えます。
解を求めるのではなく、問いとともに歩む。
ついつい、パターンプラクティスで解を出すような学習に陥りがちですが、一つひとつの枝葉に目を留め、なぜこの道を選ぶのか、どうしてこの光が差すのか、それを朋とともに学ぶ中で、各教科は「解く技術」ではなく、「考える力」として育っていくのだと感じます。
同じ時間、他のクラスでは國分巧一郎氏の『来るべき民主主義』を読解しています。この授業でも、「ハンナ・アレントのキーワードは?」という問いに「多数性!」「アクション!(活動)」「労働!」と自由発言が続き、クラス全体で主張のポイントを整理したのちに、個々人がカール・シュミットとハンナ・アレントの主張を互いにまとめ、言語化していました。
ペンが動く前のゼロ行目の思考を、日々育てる生徒たちです。