学校日記

【校長室】卒業式2

公開日
2026/03/02
更新日
2026/03/02

学校の様子

2月28日、エンタープライジング科21期生の卒業証書授与式を挙行いたしました。卒業生の皆さん、本当におめでとうございます。

以下、岩佐校長の式辞をご紹介いたします。


式辞

春は名のみの風の寒さに、やわらかな春の日差しが、待ち望まれる季節となりました。

本日は、京都市立西京高等学校第78回卒業式を挙行するにあたり、お忙しい中、京都市教育委員会体育健康教育室 指導主事 鈴木雄大様、西京同窓会より、二之湯智会長、熊澤保夫副会長、また平素より、奨学金授与など多大なるご支援をいただいている一般社団法人京一商西京倶楽部より 野田勝弘副理事長、また本校PTA 三宅真知子会長並びに役員の皆様、保護者の皆様、関係各位のご臨席を賜わりましたことに、心から御礼申し上げます。また、一昨年本会場ステージの舞台幕を新調させていただきましたことを、あらためて紹介いたします。新調するにあたり、西京同窓会、西京教育振興会より多大なるご支援をいただきました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

ただ今、エンタープライジング科第21期生 262名の皆さんに卒業証書を授与いたしました。まずは、卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。

さて、皆さんにとって西京高校での3年間はいかがだったでしょうか。思いおこせば入学当時はコロナの感染症法上の位置づけが2類相当で5月に5類への移行した時期でした。5類とはいえ、対策のため制限のある高校生活でしたが、国内も一部残しながら海外フィールドワークを復活させた学年です。制限が徐々に解除され、コロナ前と同様に行事を実施することができましたが、私は生徒諸君が「おもしろおかしく」学校生活が送れているのかを自問自答する日々でした。これから何をしなければならないか、不安な気持ちをぬぐうことができませんでしたが、皆さんの希望に満ち溢れた笑顔や保護者の皆様や関係各位のご協力に助けられ、今日という日を迎えることができました。本当に感謝いたします。皆さんと過ごした3年間は、私の教員生活において学びの連続で忘れることができないものとなりました。

西京高校は、「進取、進んで物事に取り組もうとする気性」、「敢為、敢えて困難に立ち向かおうとする気概」「独創、そのような気性、気概をもって自分独自の価値観を作り出していく」、この「進取・敢為・独創」の校是のもと将来、「社会人力」を十分に発揮し、社会で活躍・貢献できるグローバルリーダーを育成することをめざして、教育活動を行っています。「社会人力」とは、人が人として行動できる力。つまり「人と繋がる力」「社会と関わる力」そして「果敢に知と向き合う力」です。私たち教職員は3年間を通して、皆さんに、これらの力をつけるため、日々努力してきたと自負しています。

また、社会人力に加え、Creativity(新時代の価値を創造・探究する姿勢)、Responsibility(自己と集団の未来に対する責任を果たす姿勢)、Diversity(多様化する社会の調和を希求する姿勢)といった資質能力を求めています。いわゆるCReDi(クレディ)です。2年生から月に1回CReDiの日を設定し、主体的な学びを求めてきました。やらされる学びから自らが考えて学ぶことをこれからも大切にして下さい。

西京高校のカリキュラムのうち最も特徴的なのはEPⅠ・EPⅡの取組です。1年次に行うEPⅠでは、ポスター発表等を通じてグループワークの作法を学ぶとともに日常当たり前だと思っていることに対して疑問を持ち、問題化する力を付けました。

2年から始まるEPⅡでのゼミ活動では、グループでの探究の進め方や課題の立て方、調査方法を総動員して、自らが深めたい問いについて探究し論文にまとめ発表しました。これらの活動は自分自身で問題点を見つけ、改善のための仮設を立て、検証し、論文にまとめ発表するという大学での研究活動につながるハイレベルなものであったと思います。

EPだけでなく、各教科の勉強、西京祭などの特別活動、そして部活動においても「社会人力」「CReDi」を身に付けることを強く意識しながら、これからの社会を生き抜いていくために必要となる「思考力・判断力・表現力」の育成のためのプログラムを実践してきました。その結果、部活動において輝かしい結果を残し、また、学校内の活動にとどまらず様々なコンテストなどにも挑戦してくれたことは、後輩諸君のお手本として記憶に残ることでしょう。

そして、皆さんはICT活用を余儀なくされたのではないでしょうか。ZOOMやYouTubeを用いた授業やグループワークなど、また最近は生成AIを用いた新しい形の学習スタイルに皆さんは慣れていかなければならないと思います。同時に、大切なことは相手を尊重すること、どんな時でも相手を思いやる気持ちを持つことです。時代がどんなに変化しても人として生きていくうえで忘れてはならないことです。

西京高校エンタープライジング科を巣立っていく皆さんにお伝えしたいことが2点あります。

一つ目は、本校のモットーである「おもしろおかしく」についてお話します。「学校は明るくて楽しくて面白いところでなければならない」と普段から皆さんに話しています。そして、西京のモットーは「おもしろおかしく」であるともお伝えしているところです。この「おもしろおかしく」は、株式会社堀場製作所の創業者であり、西京高校の初代学術顧問を引き受けていただいた堀場雅夫先生のお言葉です。堀場先生には、エンタープライジング科1期生から13期生まで、毎年入学式時に特別講演をお願いしてきました。演題は「おもしろおかしく」。私は、堀場製作所の会長室で2度ほどお会いしたことがありますが、豪快でエネルギッシュな方でした。「ただ単に進学するだけのしょうもない学校にしたらあかん。おもしろおかしくや。」とおっしゃった言葉を今でも忘れることはできません。

先生の著書の中に、「本当に嫌な仕事も、考え一つでおもしろくできる」という項目があります。おもしろい仕事は自分で作り上げるものであって、そこらにおもしろい仕事が転がっていたり、他人から与えられるものではない。おもしろく働くためには、自分の考え方を工夫することが大事である。と書かれています。例えば、嫌な仕事を嫌と思わず、この仕事を乗り越えたらもっとおもしろい仕事ができる、と考えたらおもしろくなりませんか。つまり、自分の考え方一つで楽しくもなれば苦しくもなるということです。

また、「おもしろく仕事をしていれば魅惑の青い鳥が見つかる」という項目では、情報収集に秀でている人は、常にアンテナを張ることで感度が高く、目新しいことに触れたらすぐに興味を持つことができると記載されています。情報収集能力は、仕事への情熱に裏打ちされていて、好奇心旺盛な人にその能力が高いといえます。しかしながら、与えられた仕事を淡々とこなすだけでは、良い情報、つまり青い鳥との出会いはないということです。ここで大切なことは、自分のやりたいこと、やるべきこと、やれることをしっかり持つことが大事だということです。

堀場先生のお話の中にしばしば登場する言葉で「イージーゴーイング」があります。日本語では「手軽」「気楽」と解されることが多いですが、単なる「のんき」ではなく、「何事にも前向きに、楽天的に考えよう」という意味です。失敗や困難に直面しても、「何とかなるさ」という楽天主義で切り抜けることができる。また、自分らしくのびのびと能力を発揮できる環境を作るために、上司も部下も細かいことにこだわらない度量を持つべきだと説かれています。何かの判断をするとき、人は時として正しいほうを選ぼうとしますが、どちらが正しいとかではなくどちらが楽しいか、おもしろいかという基準で選んだ方が「おもしろおかしく」なるのではないでしょうか。

 これらのことは、私が西京高校で仕事をしてきた中で、大切にしてきたことの一部です。堀場先生からはたくさんのことを学ばせていただきました。今、堀場先生が西京をご覧になられたら、どのように言っていただけるでしょうか。「おもしろおかしい学校になったな」と言っていただけたら、最高ですね。

二つ目は、平成31年度東京大学の入学式において、社会学者で東京大学名誉教授の上野千鶴子先生の祝辞の一部を紹介します。「あなたたちは頑張れば報われる、と思ってここまできたはずです。がんばったら報われるとあなたが思えることそのものが、あなたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったことを忘れないようにしてください。あなたたちが今日「がんばったら報われる」と思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手をもってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです。世の中には頑張っても報われない人、頑張ろうにも頑張れない人、頑張りすぎて体と心を壊した人達がいます。頑張る前から「しょせんおまえなんか」「どうせ私なんて」と頑張る意欲をくじかれる人たちもいます。あなたたちの頑張りを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力を恵まれない人々をおとしめるためにではなく、そういう人々を助けるために使ってください。」

西京の教育理念の中に、社会で活躍・貢献するグローバルリーダーの育成を掲げています。もちろん自己実現のために頑張ることは言うまでもありませんが、「ノブレスオブリージュ」の精神を忘れず「世のため人のため」に努力してください。上野先生の話には続きがあります。「決して強がらず、自分の弱さを認め、支えあって生きてください」

絶対に無理はしないで、皆さんの命を大切にしてください。

最後になりましたが、保護者の皆様に一言お祝いを申し上げます。本日は、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。この間、様々な出来事があり、何かとご心配をおかけしたこともあろうかと存じますが、それに関わらず、本校の教育に最後までご理解とご支援を賜わり本当にありがとうございました。本日、お子様方は、大きな希望を抱いて本校を巣立っていかれますが、後に続く在校生とともに、卒業生の想いを引き継いで、西京高校がより良い学校になりますよう、私たちも努力を重ねていきたいと存じます。今後とも、本校教育に御支援を賜わりますようお願い申し上げます。

本日は誠におめでとうございます。

以上、式辞といたします。


令和8年2月28日   

京都市立西京高等学校 校長 岩佐 峰之