入学式に引き続き,学術顧問による「記念講演会」を行いました!
- 公開日
- 2016/04/11
- 更新日
- 2016/04/11
学校の様子
4月8日(金)10時20分から,7階京一商西京メモリアルホールにて,エンタープライジング科第14期生の入学を祝しての「記念講演会」を行いました。
講師は,本年4月から新しく学術顧問に御就任下さいました,服部重彦先生(島津製作所相談役)です。「私のターニングポイント」と題して,新入生及び保護者の皆様に対して,約40分間お話し下さいました。
[本校学術顧問について]
「京都市立高等学校学術顧問等設置要綱」に基づき,将来を展望した魅力ある新しい高等学校の具現化を図ることを目的として,教育内容,学校運営,育成すべき人材像等,高校が行うすべての学校教育活動及び研究活動に対して,専門的な見地から御指導・御助言をいただくため,本校エンタープライジング科開設以来,京都市教育長が委嘱しています。
第1期の学術顧問は,元京都大学総長の西島安則先生(平成22年9月御逝去)と株式会社堀場製作所最高顧問の堀場雅夫先生(平成27年7月御逝去)にお願いしておりました。
平成23年4月からは赤崎勇先生(名古屋大学特別教授・平成26年ノーベル物理学賞)に御就任いただき,堀場先生と赤崎先生のお二方から折に触れて御指導をいただいておりました。
堀場先生の御逝去に伴い,新しい学術顧問として本年4月から服部重彦先生に御就任いただくこととなりました次第です。
[服部学術顧問のプロフィール]
服部学術顧問は,昭和16年(1941年)に三重県でお生まれになり,昭和39年(1964年)4月に株式会社島津製作所に入社されました。
平成元年(1989年)に島津製作所のアメリカ合衆国現地法人社長に就任され,その後平成5年に株式会社島津製作所取締役に就任され,平成9年から常務取締役,平成15年から代表取締役社長,平成21年からは代表取締役会長を歴任され,平成27年に相談役に就かれ,現在に至っています。
入社以来一貫してガスクロマトグラフの開発に従事しておられましたが,30代の半ばで米国駐在となられた際には,デモンストレーション用の機材を車に積み込み,不自由な英語で伝手も無い地を一軒一軒営業する日々を過ごされたそうです。
この頃の体験から,「経験が知識の根拠であり,ただ一つの根源である」という考えをお持ちになるに至りました。
御趣味は,毎朝のウオーキングと家庭菜園とのことです。
[御講演要旨]
冒頭,「新入生の皆さんは,今,大きなターニングポイントにいます。今日は,私の経験をもとに,3つの点からお話をします。」と述べられ,まずは西京の教育方針についての感想をお話し下さいました。
「大変ユニークな教育方針だと思いました。日本中探しても,高校で『社会人力を身に付け,その力を発揮するグローバル人材を育成する』を標榜しているところは無いのではないでしょうか。進取−進んで新しい物事に立ち向かう−,敢為—困難に屈せずやり通す—,独創—自由な発想と果敢な実行力—という理念は,島津とほぼ同じ。こういったことを高1から目指すというのはすごいこと。こういう意識で高校時代に努力するのとしないのとでは,大学に進んだ時にやはり違いが出てくると思います。」「大学進学の面ももちろん大切だが,それだけではなく,西京では,“体験的に知識や思考力・判断力を身に付ける”ことをポイントにしています。これも企業が求めることと軌を一にしています。新入生の皆さんは,この学校で学ぶ誇りを胸に,しっかりと頑張ってほしい。」
「次に,人生には必ず“ターニングポイント”があるものだが,そこに立った時にどうするべきか,私の体験をもとにお話ししたい。私は52年前に大学を出て,島津製作所に一設計技術者として入社しました。設計工学が専門で,分析機器の設計を担当し,どんどん仕事も面白くなってきていました。入社10年目に,『アメリカに会社を作る』ということで,そのメンバーの一人として,アメリカ東海岸への転勤を命じられました。英語は苦手で全然わからないのに,妻と幼い子ども2人(当時1歳と3歳)とともに,アンカレッジ経由でワシントンへ飛びました。」「皆さんは,大学を出るころまでには,英語を話せるように(TOEIC800点くらいのレベル)なっておいてほしいと思います。」そして,飛行機の着陸地変更やお子さんの保育園探しのエピソードを交えながら,「11年間のアメリカでの生活を通して,恥をかいたり,助けられたり,体にしみこむいろんな経験をしてきた。皆さんも “修羅場に立つ”“逃げ道のない”経験を是非積んで下さい。『体験的に知識を身に付ける』という学校の方針に沿ってしっかりと頑張ってほしいと思います。保護者の皆様も,お子様を修羅場に出して下さい。もう高校生になったのですから,手をはなして下さいね。難しいかもしれませんが,子どもたちが素晴らしい経験を積めるよう,背中を押して下さい。いつまでも過保護だと,多様な経験はできません。」
「島津では,社員アンケートで毎年『どういう時に満足感を感じましたか』と聞いています。多いのは,“未知への挑戦ができ,うまくいった時”。これは西京の“Challenge”と同じですね。2番目は“社会に貢献したという実感を感じた時”。これは西京の“Collaboration” と同じです。もう一つの“Communication”に当たる回答は“仲間と協働することの喜び”。これら3つは,西京の“3C”と合致しています。これをしっかりとやれば,きっと満足感が得られるはずです。」
「3つ目に,『失敗も人を成長させる』ということをお話ししたいと思います。14年前に43歳でノーベル化学賞を受賞した当時主任の田中耕一さんは,研究中に間違って,入れてはならない薬品を入れてしまったことがあるそうです。でも,“もったいないから”ということで分析を繰り返したことが,ノーベル賞につながる発見のもととなったそうです。田中さんは『失敗から必ず新たな発見がある。失敗を怖がるな。失敗を応用する風土が大切。』と言っています。新しいことに挑戦する時,失敗はつきものです。必ずうまくいくとは限らないから,価値があるのです。日本は,今,すごく苦しい。昔は“追いつき追い越せ”で頑張って何とかしてきた。今は追いかけられる立場。新しいことをしないと,沈没してしまいます。チャレンジが必要なのです。その源泉は失敗です。失敗を繰り返しても諦めず,その原因を考えて応用・工夫していくことが大切です。」
「以上,自分の経験をもとに3つのポイントからお話ししました。
(1)皆さんは,今,人生のターニングポイントに立っています。この3
年間,しっかりと頑張って下さい。
(2)たくさんの苦しい経験を味わって下さい。その時は大変で涙も出る
かもしれないが,後で必ず大きな実になります。
(3)失敗は必ずあります。また次に向かって、チャレンジを続けて
下さい。
保護者の皆様には,新しい門出を迎えたお子様たちと少し距離を置きながら,後ろからしっかりと後押しして,チャレンジさせて下さい。」
[生徒の感想](一部)
・新しいことに挑戦して,学業ももちろん,体験を積んでいくことが大切というお話に,この先の3年間をどう過ごしていこう,と未来に期待・想像が広がりました。まずは今,出来ることを全力でこなし,ターニングポイントを自ら作り出せるよう,それに備えてアンテナを張っていきたいと思いました。
・講演の中で一番印象深い言葉は「体験的に知識を蓄える」という言葉です。自ら体験し肌で感じて経験を積むということが最も大切であるということを,改めて実感しました。
・まさにこの講演が私にとってのターニングポイントとなるかもしれない。御自身の経験を交えながら語られた逃げ道のない経験の大切さは本当に身にしみるように伝わった。二度と忘れない体に染みつく経験,修羅場の経験を大きさよりも数重視で求めていきたい,いかなければと思った。新しいことにたくさん挑戦する自分になっていこうと決意した。
・「経験がすべてだ」「逃げ道のない経験をする」という言葉がとても印象に残りました。西京高校に入学したからには,どんなことにでも全力で挑戦できるような強さをもって臨んでいきたいと思います。
・今回のお話で,失敗を「忘れず」「応用する」ことが大切であると学びました。失敗から発見・学びがあり,一つ一つの失敗も大切な経験であることに気づかされました。
・ターニングポイントに出くわしたとき,どちらの道を進めばよいか迷うと思いますが,敢えて苦しい道を選んで経験を積むことが大切だと学びました。チャレンジすることはとてもエネルギーのいることです。失敗することだらけかもしれませんが,“失敗=終了”ではなく,“失敗=新しい道を切り拓く途中”という風に思えるようになりたいです。
服部先生,お忙しい中御講演下さいまして誠に有り難うございました。