学校日記

1年EEP特別講演会を行いました!

公開日
2015/02/16
更新日
2015/02/16

学校の様子

 2月7日(土),土曜活用講座後の10時50分から,7階大講義室にて,1年生全員を対象に特別講演会を行いました。講師は,京都大学環境科学センター助教で,本校学校マネジメント委員でもいらっしゃる浅利美鈴先生です。昨年度から折に触れて本校生に御講演を行っていただいております。本日は,「環境について考える—現状と私の研究ヒストリー—」と題して,約1時間お話し下さいました。

 まずは先生の自己紹介・活動紹介からということで,浅利先生の恩師でいらっしゃる高月紘先生(一般社団法人びっくりエコ発電所代表理事・京都大学名誉教授)が「研究者」かつ「マンガ家」でもいらっしゃるということを例に挙げて「2足のわらじを履く」ことの大切さを述べられ,浅利先生自身も学生のころから環境問題に精力的に取り組んでこられた経緯をお話し下さいました。京都大学の年間光熱水費の莫大な額からエコに取り組もうと考えて学生たちで「京大ゴミ部」を設立し,次世代(小学生)にターゲットを絞って「ちびっこ環境塾」を開いたり,学内でも「環境配慮行動マニュアル」を作成したり「エコ宣言ウエブサイト」を開いたりと,机上の研究だけでなく,人の流れの中にも飛び込んで,人々が「一歩を踏み出す」きっかけづくりをしておられます。
 次に「環境問題の全体像」ということで,「地域環境問題」と「地球環境問題」とに分けてどのようなものがあるかを挙げられ,それが及ぼす「人間の健康」(遺伝・健康・心理面の影響)や「地球の健康」(生態系・遺伝子・気候変動)への影響,公害問題や紛争・大量難民・疫病等の原因となること,またこの問題は途上国や将来世代の人たち,他の生物たちにも波及することを忘れてはならないことを述べられました。このことは,生徒たちの心に深く突き刺さったようでした。そして,ごみは面白い研究対象であり,「ごみ研究」の種類や対象には文系・理系ともに様々なアプローチの仕方があること,また「ごみ」の実態についてもお話し下さいました。例えば,日本人が一人一日に出すごみ(一般廃棄物)の重さは約1000グラム(産業廃棄物も含めると12.3kg)にのぼること,また家庭ごみで一番多いのは食品であり,生ごみは発生量が多い上にリサイクルがほとんどされていないという問題点,そして「ごみ展開調査」(京都市と京都大学が昭和55[1980]年から行っているもの)の結果から,「もったいないゴミ」(「手つかず食品」やまだまだ着られる服等)や「使い捨て商品」が増えていること等についてもお話し下さいました。特に「手つかず食品」は食品ごみの1〜3割,残飯の4〜7割にものぼり(・・・生徒たちは,思わず「もったいない」と漏らしていました。),その一因として,いわゆる「3分の1ルール」(食品流通業界の商慣習で,食品の製造日から賞味期限までを3分割し,「納入期限は,製造日から3分の1の時点まで」「販売期限は,賞味期限の3分の2の時点まで」を限度とするもの。この期限を過ぎた商品の多くは流通ルートに乗らずに廃棄されるため,食品や資源のムダにつながると言われている。)に象徴される「新鮮さを求める心理」や「欠品を悪とする商慣習や品揃えが豊富なことを良しとする消費者心理」(小売り:多少の売れ残りが出ても客を呼び込むために品揃えを大事にする/卸:小売り側が卸側に追加の発注をした時,必要な在庫がないと”欠品ペナルティ”として罰金や取引停止の処分が下されるため,ロスが出る恐れがあっても常に多めに在庫を抱えておかねばならない)があり,私たち消費者自身が,「消費期限」と「賞味期限」を区別し,「買いすぎない」ことも含めて,「残飯による食生活の損失(11.1兆円)は日本の農業・水産業の総生産額(12.4兆円)に匹敵する」ことを認識して,しっかりと対処していくことが必要であるとおっしゃっていました。また,京都市のごみ排出量100年間の推移のグラフや各国のエコロジカルフットプリント(ある国の人々がエリアの適正規模[環境収容力]をどれくらい超えた経済活動をしているかが一目でわかる指標)を紹介され,例えば,日本は地球2.3個分,世界平均でも地球1.5個分と,地球を食いつぶしながら生活している現状について,わかりやすく説明して下さいました。そして,3Rから「リサイクル」を外した2R(Reduce[発生抑制]とReuse[再使用])の推進を力説しておられました。
 最後に,浅利先生御自身の高校から大学・大学院への進路選択の道のりの例と,研究者の生活の一端をお話し下さり,「皆さんに期待すること」として,(1)自分の目で見る,耳で聞く(現場主義), (2)世界に目を向ける (3)自分のやりたいこと,できることにベストを尽くす(その時点でマイナーな選択でも良いので,何事でも目標を定めて取り組む)・・・ことを心掛けるとともに,「夢はついつい忘れるので,いろいろなところに,いろいろな形で書いておく・記録しておくようにして下さい!」とエールを送って下さいました。

 生徒の感想の一部です。
・これまでは他人事のようにしか環境問題を認識していませんでしたが,講演を聴いて,自国だけでなく,世界に目を向け,「地球の未来」を考えていく必要があり,「地球の未来」を変えていくには自分自身の問題として自ら行動することが大切であると思いました。
・手つかずゴミの多さに驚きました。よく言われる「いらないものは買わない」ことが本当に大切なんだということがわかりました。
・3分の1ルールを初めて知りました。このルールをクリアして私たちの手元に届いた食品を食べずに捨ててしまうことが,どれだけもったいないことで贅沢なことかが分かりました。買い物を計画的に行うなど,今一度自分の生活について考えてみようと思いました。
・環境問題の研究対象やアプローチの仕方には,理系だけでなく文系からも様々な切り口があることがわかり,自分が興味を持つ分野ではどうか,調べてみようと思いました。
・浅利先生の高校時代や進路選択の話は素敵でした。「二足のわらじ」も悪くないなと思いました。

 生徒たちは3月に海外フィールドワークでアジアの各地域に出かけ,交流や現地調査を行います。本日の講演会でいただいた種・視点も活用しながら,実りと気づきの多い取組にしてほしいと思います。
 浅利先生,お忙しい中御講演下さり,有り難うございました。