学校日記

京都市立工業教育研究会ロボット競技大会

公開日
2011/01/15
更新日
2011/01/15

校長室から

あいさつの中で皆さんに伝えたかったことを載せさせていただきます。
伏見工業高校の皆さん、はじめまして、洛陽の校長の恩田です。洛陽からも伏見からも昨年より多くの生徒のチャレンジを大変うれしく思います。ご指導ご支援くださった先生方、関係の皆さんに心より感謝申し上げます。
私はこの大会が「勝つ」目的と「創造的なことをやる」目的の両方の視点で評価してほしいとおもいます。モノを作ることについて、ロボットも含めて「設計」については100%まったく新しいものをつくるというのはないと思います。90%が過去の焼き直しです。創造的なことというのは、目的のために既存の技術を導入するのではなく、残りの10%でちょっと目新しいものをわざわざ作ることから始めるものです。ベスト8に残ったマシンは、それぞれが基礎的な土台がしっかりあってそのうえで目的をもった工夫がなされていました。優勝した「20万馬力」は最も操作性に優れ、操作とも一体となって最高のパフォーマンスを発揮しました。特に決勝戦では能力の高い相手に対し、その弱点を突く臨機応変の戦術で、まるで昨年のW杯の決勝でオランダが速攻で王者スペインを破るといった見事な戦いでした。おめでとう。準優勝のイグニスは昨年の大会での失敗を見事に克服し、当初に目標としたコンセプトを見事なデザインで実現した傑作でした。F君、負けちゃいましたが次の挑戦を楽しみにしています。
マスコミは「日本は、町工場の中小企業の技能が優れているから、製造業が強いのだ」
といい、また逆に「21世紀は最初のコンセプトと最終のデザインに高い価値がある。中間のモノ作りは安く作ってくれる所に回し、最初と最後の国家を目指すべき」ともいわれます。確かにそのような現実に直面していると思います。しかし、その真ん中のものづくりについても、町工場が本当に強いのは「高品質、小ロット、短納期」が不可欠な研究開発の試作です。コンピュータではどうしようもないものを加工し、発信する。その意味で本日おこし下さっている「京都機械金属中小企業青年連絡会」は試作に志をもった方の集まりです。大きいところに行くこと自体が目的化して、安定を志向し、内向きといわれる今の日本の若者の中で、自分のやりがい、生きがいをチャレンジする進路も考えてほしいと思います。それがリスクをとるという意味ですね。
進学希望の人も、各大学の工学部のなかみをよく研究してほしいと思います。偏差値や大学の名前だけではだめ。ルーティンなモジュラー教育は普通科の人向きかもしれませんが、われわれは基礎の学問を統合しないと何も作れないインテグレイテッドな演習ができるところに進むべきだと思っています。東大の機械工学科も、創造設計演習という科目を設けて、「メカトロニクスを使って面白いおもちゃを作れ」という問いに新入生をチャレンジさせていると聞きました。
さて、生徒諸君、今日の取り組みについて、人より一歩前に出る相対評価だけではなく、自分が楽しめたかという絶対評価に対しても満足すべきだと思います。その意味でそのような評価ができる工業高校ならではの取り組みの一つがこの市立工業高校ロボット大会だと思います。勝ち負けも大切ですが、是非、創造的な設計について、交流してください。関係の皆さんもコースや学校を超えた生徒同士の交流を支援してくださると幸いです。この大会がいい学習の場となり、創造的なモノづくりの人材育成の場になることを祈ります。