「すぐに役に立つことは・・・」
- 公開日
- 2013/05/14
- 更新日
- 2013/05/14
校長室から
「すぐに役に立つことは、すぐに役にたたなくなる」。今年、初めての「元気語録」です。5月の連休に本を読もうと2冊買い求めた内の1冊が池上 彰氏の「学び続ける力」。池上氏の本は読みやすく、すぐに読めてしまいます。池上氏は「週刊こどもニュース」を担当されていたこともあって、ニュースを解りやすく伝えることに尽力されたことから著書の内容は教員に参考になることが多くあります。最近では、リベラルアーツに取り組む東海大学で教壇に立たれています。「学び続ける力」の中で講義を学生にわかりやすく伝える著者自身の努力やテストの工夫なども紹介され参考になります。
さて、その著書の中に「すぐに役に立つことは、すぐに役にたたなくなる」。「すぐに役に立たないことは、ずーと役にたつ」という言葉があります。アメリカの大学において「社会に出て役に立ちすぎることは敢えて教えない。教養としての経済は教えるが、すぐに役立つ経営は教えない。学びたければ、大学院にいきなさい」とか、「科学は教えるが、(科学)技術は教えない」など、技術の専門性よりも一般教養を優位においているリベラルアーツの取組が紹介されています。幅広い教養から問題を探究し解決に迫ろうとするリベラルアーツ。そう言えば人権の指名研修で講師だった大阪大学の平沢安政教授も大阪大学のリベラルアーツの取組について話されていました。
最近の答えがすぐ出ることを要求する風潮に一矢を放つリベラルアーツ。ボタンを押せば用が足せる日本の社会風潮は教育界に影を落としています。新学習指導要領にある「思考・判断・表現」の力の育成は、ボタン一つで解決を目指すものではありません。幅広い知識、教養から課題解決に向かう力の育成を中学校教育に求められています。全国学習・学力状況調査の出題にその傾向が表れていますし、京都の公立高校受検制度改変もその流れに棹差す(乗じる)ものとなるかもしれません。大学のリベラルアーツへの流れは、高校教育や中学校教育の授業の在り方につながり、その流れはより確実なものとなっていくように思われます。