「2兎を追って3兎を得た」修学旅行
- 公開日
- 2012/05/30
- 更新日
- 2012/05/30
校長室から
=校長室だよりNo4から=
25日から始まった2泊3日の修学旅行が終わりました。1日目の「ほんなもん体験」で青島の生活をされている方々の生(なま)の生活を体験させてもらいました。海釣り、港釣り、タコ釣り、田舎(郷土)料理作り、寿司づくりなど様々な体験をさせてもらい、釣った魚に大小はあるけれど、にこやかな笑顔で住民センターに集合してきた生徒や料理作りに満足した生徒が多かったようです。住民センターではこれから泊めていたいだく各家庭の方々に感謝の気持ちをこめて「歩いていこう」を全員合唱しました。この合唱に島の方々の中には涙を流される方や「もう一度聞かせて」と申し出てこられる方がおられたと聞きました。生徒の感謝の思いが伝わったようです。宿泊させていただく各ご家庭から私たち教員に「緊急なことがない限りは訪問は遠慮してほしい」という申し出がありました。その旨を尊重し、各家庭へ様子をうかがうことはしませんでした。一夜明け、出発待ちの集合場所ではお世話になった生徒と各家庭の方々とが固まりとなって名残を惜しんでいる風景があちこちに見られました。中には涙する生徒もいました。どんな一夜を過ごしたのか私たちにはわかりませんが、この青島での体験は生徒のかけがえのない経験となって心に残ったに違いありません。
2日目は長崎市内に原爆が投下された爆心地での平和セレモニーから始まりました。このセレモニーで予定していた「大地讃頌」の合唱。向かう途中のバス内での練習ではあまり声が出ずに心配な状態でした。爆心地に着き、3年生の代表たちが作り上げた平和宣言文を植松君が代表して堂々と見事に読み上げてくれました。「どうして世界は平和にならないのだろう?」の一節は世界に向けた平和を祈る素直な思いが確実に発信されました。「大地讃頌」の合唱の前に小寺先生から「原爆で亡くなって天国におられる方々に平和への思いを届けよう」と呼びかけられました。そして全員合唱。心配は杞憂でした。爆心地に訪問されている方々がふりかえるほどの合唱でした。誰に聞いてもらうものでもない、平和への思いを込めた爆心地での合唱。こんな体験は二度とないことでしょう。合唱しつつ言葉で表せないものを感じた生徒が多くいたのではないかと思います。セレモニーのあとは資料館で学習しての班別研修。オランダ坂にある物産館が終結場所です。終結したあと、バス駐車場に向かいました。ここで16名のラグビー部員とお別れです。春体の決勝戦が明日に控えているためにラグビー部は京都に引き返さねばなりません。次の予定へバスに乗り込む生徒から、京都に引き返すラグビー部。「頑張ってこいよ」とバスから声をかける生徒。事前集会においても「頑張って」と拍手を3年生全員が送ったと聞いています。ラグビーの部員たちも急なことで今後の予定に迷惑をかけたという思いから、試合は負けられないと決心した部員もいたのではないかと思います。ラグビー部とお別れし次の行程にむかい2日目が終了しました。
3日目のメインは宿泊した八幡ロイヤルHの隣にあるスペースワールドです。このスペースワールドでみんなが楽しんでいる頃はラグビー部は決勝戦を戦っています。その戦況の連絡が何度か入ってきました。前半終了時には14−19で5点のビハインド。後半に入って逆転するも28−24の4点差。1トライでひっくり返されることもある点差。必死の洛南中の攻撃に耐える西陵中。その攻防の最中にゲーム終了のホイッスル。午後1時50分、3年生が帰路につくため出口に全員が集合を完了。今後の連絡事項を済ませたあとに、ラグビー部が優勝したことを美馬先生が報告すると、「すご〜い」の歓声と拍手が起こりました。ラグビー部と残った3年生の絆を感じた瞬間でした。
学校に向かう途中にラグビー部が学校で3年生を迎えるため待っているという情報が入りました。「それなら、ラグビー部もクラスに入って全員で解団式をやろう」ということになりました。
解団式の前にラグビー部全員が前に出て主将の佐々木君から優勝の報告がありまた。全員が「おめでとう」。優勝を讃えました。その後解団式に入りました。2泊3日が良い体験となった修学旅行であったことが生徒代表の田原君の挨拶にありました。添乗員の方々にも生徒を代表して植松君がしっかり感謝の言葉を述べてくれました。
今回の修学旅行では、3つのことが成果としてあったと考えています。青島での「ほんなもん体験」を含めたホームステイ、長崎での平和セレモニーで3年生は貴重な体験、経験をしたこと。その体験や経験からうまれた感じたことや考えたことが、これまでのものに積み重なって一人ひとりの「心を豊かに」してくれたにちがいないと思うのが一つです。二つ目は、ラグビー部の優勝です。修学旅行を途中で引き返しての優勝。通常は修学旅行を引き返すということは考えにくいことです。しかしその考えにくいことを決断した以上は、優勝の二文字を祈願することしかありませんでした。ラグビー部が優勝してくれることがこの事態をプラスに変えてくれる、そう考えたのです。修学旅行の道中で、「二兎を追って二兎を得たい」というタイトルでホームページにも書き込みました。その通りになったことを心から嬉しく思っています。三兎目は3年生の絆です。解団式で「87名による結団式をして、途中16名のラグビー部が抜けたけれども解団式に駆けつけてくれた。それもクラスに交じって87名全員参加による解団式ができたことを嬉しく思う」と述べたとき、「二兎を追って三兎を得た」のだと思いました。「二兎を追って三兎を得た」なんて表現は大袈裟かもしれません。しかし、思わぬことで思わぬことを得ることがあるのは事実です。そのことを表現したのです。二兎を追って三兎目が出てくることを事前に計画したりはしません。二兎追った結果が3兎を得るという結果になったというだけのことです。しかし二兎をおわない限りはそのような結果を得られる機会がないのも真理だと思うのです。
これから3年生は一つひとつの行事が完結していきます。一日一日が中学生として終わっていきます。これからの西陵中学校での生活でさらに心豊かなものにしてほしいと願っています。学校生活の目の前にある時間、空間も修学旅行同様に心を豊かにしてくれるものです。その時間と空間をどのように過ごすかで「心の豊かさ」が決まります。このことは3年生に限ったことではありません。1、2年生もこれからの自分をどのように創っていくか、これからの経験や体験をどのように積み重ねていくのか、それが決め手となるのです。その積み重ねは決して人との比較ではありません。上級生との比較でもありません。自分自身の中での比較です。いまある自分を明日はどうのようにしたいのか。それは全ての生徒、広く言えば全ての人間に与えられた可能性でもあります。今回の修学旅行でいろいろなことを勉強させてもらいました。感謝したいと思います。