学校日記

「リテラシー」と言語活動 「シエネの塔:7.2°と900km」

公開日
2009/07/06
更新日
2009/07/06

校長室から

 昔、紀元前三世紀に、エジプトにエラトステネスという人がいました。当時、シエネという町に寺院があって、そこに塔が建っていました。その塔はとても不思議な塔で、普段は太陽に照らされて、影が出来るんだけれど、一年のうち、ある日のある時間だけ影が消えるのです。どうしてだろう。太陽がそのときだけちょうど真上から降り注いで、影が消えるんですね。この塔は赤道直下にあって、夏至の日の12時に、ちょうど太陽が真上からくるのです。
 そのことをシエネに住んでいる人たちは、誰一人として不思議に思わなかったそうです。けれどもエラトステネスは違った。彼だけはなぜだろうと思った。それで彼は実験をします。当時彼が住んでいたアレキサンドリアに、シエネと同じ塔を建てました。そしてシエネの塔の影が消える同じ日、同じ時刻にアレキサンドリアに立てた塔はどうなるのかを見ました。その結果は、影が出来たのです。彼は「一体どうしてだろう」考えた。そしてとうとう彼はひとつの結論を導き出します。これは、地面が曲がっているからに違いないと。地面は平らだって誰もが思っている時代、彼だけが常識を破った結論を導き出します。さらに彼は考えます。塔と塔とを延長して、その線が重なったところの角度を図ります。これは塔の線と太陽が降り注ぐ線とのこの角度を測ればわかりますね。この角度は7.2度でした。次にエラトステネスは、シエネの塔とアレキサンドリアの塔との間の距離を測ります。当時のことだから歩いて測りました。とはいっても、自分じゃなくて召使を使いました。測ってみたら900kmあった。
 この900kmと7.2°からエラトステネスは地球1周分の距離を算出したと言います。エラトステネスが使った知識は現在の中学2年生で学習する平行線と中学1年生で学習する中心角の性質です。現在の中学3年生では解ける範囲の内容です。さて、中学3年生の皆さん、是非チャレンジして下さい。まずは簡単な図を描くことから始めましょう。
このような学習した事項を私たちの身の回りにある事柄に結びつけて考え、推察し結論を導き出すことを「リテラシー」といって最近の高校入試では出題される傾向にあります。「シエネの塔」は中学1・2年生にはまだ早い内容ですが、1・2年生なりにリテラシーを問う問題も出てきています。全国学力調査の「問題B」がそれに当たります。みなさんの既習内容で日常に解決できるものもあるので日ごろから身の回りの事象に目を配ってみて下さい。
 また、文章問題の内容を理解するために、最近は言語活動の重要さが指摘されています。文章を読んで内容をわかりやすいように要点を書き記すことが大切です。この「シエネの塔」では要点を図式化することが重要になってきます。
 解答が知りたい人は校長室の扉にプリントを用意しておきますので、自由に持って行ってもらって構いません。わからなかった人も解答をみて学習してください。