『東山を西に見て』
- 公開日
- 2010/09/28
- 更新日
- 2010/09/28
校長室から
「こんな校長室、どうでしょう」
子どもや保護者の方にとって校長室とはどんなイメージなのでしょう。「堅苦しいところ」「怖いところ」「畏れおおいところ」etc、いずれにせよ、敷居の高い近づきにくいところなのだろうと思います。様々な意見はあるでしょうが、赴任して以来、私はそういうイメージをなくしたいと考えてきました。子どもたちとの関係ができつつある頃、校長室前である生徒が言いました。「先生、校長室って、私たちは入ってはいけないんですか。」「どうぞ!」すかさず答えました。ソファーに腰掛けさせ、授業や部活動のこと、卒業後のことなどあれこれ話しました。チャイムが鳴って部屋を出ていくときその子は言いました。「また来ていいですか。」「どうぞ!」また、答えました。
これがきっかけとなって校長室を訪れる生徒の数が増えていきました。毎朝必ず顔を出す子、担任や学年の先生に叱られて頭を冷やしに来る子、前にある保健室が一杯で手当の順番を待つ子、私が生徒を呼ぶときもあれば、グループで訪れる子たちもいます。
今ではルールのようなものも出来上がりました。
○私が一人でいるときには、話をしに来てもよい。(会議中や接客中はダメ)
○話の内容は何でもよい。
○飲食はしない。(校長室のお茶はこの限りではない。) 等々
進路や勉強の話、部活のことなど学校生活のことがほとんどですが、偶には彼や彼女の話や、家族のことが話題になることもあります。基本的に、私は聴くことに努めています。「へえー、そうなんや。」「それで…。」よく使う言葉です。「ホンジャー先生、行ってくるわ!」「ありがとう!」「また来るし!」「失礼しました!」色々な言葉を残してこの部屋を出ていく生徒に対して私は声をかけます「行ってらっしゃい。頑張ってこいよ!」
「先生、生け花 嫌い?」 「そんなことないで!」
「うち、生け花習ってんね。来週、この部屋に生けたげるわ。」
約束の日、新聞紙にくるんだ花束と、水盤と剣山とを携えて彼女はやってきました。左利きの彼女が、慣れた手つきで右手で鋏を使い、すごいスピードで花を生けていきます。あまりの手際よさに、仕事の手を止めてその作業に見入りました。
「んじゃ、授業行くわ!」「ちょっと待って。お花のお金、払うわ。」「そんなん、要らんし。家で毎週生けてるし、校長先生が喜んでくれはるんやったら…、ってお母さんも言うてるし。」そのまま出て行ってしまいました。
「オッハー!おっ、百合、開いてるやん。んじゃ、教室行くわ!」今朝、登校した彼女はそう言っただけで行ってしまいました。昼休みには、4人の2年生の女の子がやってきて、たわいのない話をしていきました。
エアコンの必要がなくなって、校長室の扉は今も開けっぱなしです。
訪れる生徒が気分転換をしたり、ちょっぴり元気になったり…、そんな校長室があってもいいんじゃないですか。