『東山を西に見て』
- 公開日
- 2010/06/17
- 更新日
- 2010/06/17
校長室から
「きずな」
6月10日(木)から15回連載で、毎日新聞の「ルポ2010」に以前勤務していた弥栄中学校の取組が「弥栄のきずな〜Best friend〜」というタイトルで紹介されています。記者が昨秋から3月の卒業までの半年間に渡って密着取材した記事で、昨年度3年生を担任した2人の先生とクラスの子どもたちとの係わりについて、相当プライベートなことにまで言及した濃い内容のものです。
初日の記事に、同和地区出身の相沢千枝(仮名)が、卒業式の日に担任の田中に渡した手紙の一部が紹介されています。
「毎日のように泣いてたけど、やっと卒業やな。授業も出えへん、すぐ人や物にあたっていろんな事きずつけてきて田中を困らせたし、悲しませた思う。毎日一緒にいてくれて、暴れたときも田中が一番に千枝を抱きしめてくれたな。田中はずっと千枝の担任やと思ってる。田中みたいな先生に会えてほんまによかった。田中のことはぜったい忘れへん」
手紙の文章に続けて、記者は次のように綴っています。「家では暗い顔も涙も見せないという千枝にとって、田中はただ一人の甘えられる存在だった。荒れた時期もあった千枝を、弥栄の「ぬくもり」が変えた。」
2人の担任は、私からすれば20歳以上年下の後輩ですが、子どもたちへの取り組み方が今もキチッと引き継がれていることを嬉しく思います。
どの学校でもこういったドラマがあります。だからどの教師もこの職業を辞めることができません。私たちは、この記事を特別なものとして受け止めず、今の取組を振り返る材料にしないといけないと思います。
特集記事にまではならないまでも、本校の取組でも誇るべきものがたくさんあります。以前に書いた栽培活動のほか、地域の方を先生に招いて行う2年生の選択授業には特に定評があります。20年度に出された学習指導要領には、至る所に「地域人材を活用した教育活動を積極的に行うこと」いう文章が入っていますが、本校では何年も前からこのことを先取りして実践してきたわけです。
今週初めてその様子を参観しましたが、生徒も先生(地域の皆様)もとてもよい表情での学習でした。現在、玄関や職員室、校長室の前には、その際に仕上げた生け花が飾られ、子どもたちや教職員の目を楽しませてくれています。今年度から書道を担当して下さっている先生は、「この子たち、ホントに素晴らしい!」「もう、感動のしっぱなしです!」と繰り返し仰っていました。
忙しい毎日、特別ではない授業の中で、子どもたちの何気ない言動に感動を見出すことができにくくなっています。先の教育実習生の手紙や地域の先生の発言から、忘れそうになっていた気持ちを思い出させてもらったように思います。
もう一度、目の前の子どもたちをよく見てみましょう。子どもの変化に気づき感動できるかもしれません。また、強い「きずな」をつくるきっかけが見つかるかもしれません。