『東山を西に見て』〜Make legend〜
- 公開日
- 2012/01/19
- 更新日
- 2012/01/19
校長室から
「慣れてはいけないこと」
毎朝九条山の温度計を見ます。今朝は3度でした。12月になった頃、4度を示した時には、寒くてたまらない思いをしたものです。ところが、−1度の中をバイクで走り、手袋をしても指先が凍える経験をした今の身体には、今朝の気温3度が温かく感じられました。きっと、既に寒さに「慣れた」のです。もっと科学的な言い方をすれば、身体が寒さに「順応」したのでしょう。夜に部屋の電気を消した瞬間は何も見えませんが、目が暗さになれて徐々に見えるようになる「暗順応」と基本的には同じなのかもしれません。人間の体は本当によくできています。
そういえば、毎冬スキーへ行っていたころ、マイナスの気温を示す信州に着いた時には「さむっ!」と感じても、そこで何日か過ごすうちに平気になったことを思い出します。早朝の京都へ帰りついて、夜行バスから降りたとたん「京都の方が寒いんちゃうん!?」などと言ったりしたものですが、私と同じような経験をした人もおられるのではないでしょうか。人は、環境に慣らされるものなのです。
「慣れる」ということは、本当にすごいことだし大事なことでもあります。私は、毎朝6時に起きますが、下の息子はその時刻には家を出ていきます。大好きな高校野球をするためとはいえ、正月の五日間以外ほぼ毎日それを続けています。中学生の間、決して“早起き”でなかった彼が、今はそれほど苦ではなくなったと言います。毎朝4時半に起きて息子の弁当と朝食の用意をしている妻もそうです。(実際はチョッとしんどそうですが…。)
一方学校生活には、この「慣れる」ということが危ないと感じることもあります。服装や教室内の整理整頓についての指導が分かり易いでしょう。服装に関しては、特に夏場。カッターシャツをズボンやスカートの中に入れない生徒が意外にたくさんいます。予想以上に多くなって見慣れてしまったのか、日常的に注意をする先生も減ったように思います。かく言う私も、朝の校門で1年担当の先生が、3年生に対しても「シャツ、出てる。入れなさい!」と注意される場面を見るたび反省を繰り返しています。女子のスカート丈に対する指導もそうです。教室内はどうでしょうか。ロッカーの割に大きなカバンのせいもあるでしょうが、机の間に大きく口を開けたバッグがあっちやこっちを向いて置かれており、机間指導をする際の妨げになっています。こういうことには慣れてはいけないのです。授業の進め方にしてもそうです。「この子たちは、自ら発言をしない。」と決めつけて(諦めて)、発言を促す指導をしないと、生徒も教師も一方的な授業に慣れ、生徒の力を十分に伸ばせません。
3年生の受験が目の前に迫ってきました。入学願書の入った封筒を携えて登校する姿を見ると、『いよいよだな』と思います。ここで今一度、先ずは我々教職員が自分の身の回りを見つめ直してみようではありませんか。
慣れてしまっていることの中に、慣れてはいけないことがあるかもしれません。