『東山を西に見て』〜Make legend〜
- 公開日
- 2012/01/12
- 更新日
- 2012/01/12
校長室から
「0の関係」
「先生の通信には息子さんはよく登場するけれど、奥さんのことが書かれへんなあ。奥さんへの愛情が足りひんのとちゃうか!?」こんなコメントを何度か頂いたことがあります。子育てについては教育と深い関係がありますが、妻との関係はこのエッセイで取り上げるのには相応しくないと思ってこれまで書かないでおきました。しかし今回は、いささか照れ臭いのですが、家族の根源である妻とのことを書こうと思います。
親族の親疎の関係を等級で表したものを「親等」といいます。学習指導要領が改定されるまでは、中学3年の社会科公民的分野で学習してきました。「親等計算」を懐かしく思い出される方もおられるのではないでしょうか。
「親子の関係と兄弟姉妹の関係とでは、どっちが強いと思う?」この授業の導入は、こう問いかけることから始めました。「親子の関係が1親等、兄弟姉妹の関係が2親等。親等は等級数が小さいほど関係が強いことを意味するので、親子の関係の方が強い。更に強い関係がある。それが0親等の夫婦や。」授業はこのように進めました。もともと他人である夫婦が、法律上では親子よりも関係が深いというのは妙な気もしますが、『そうでなければならない』と納得もします。夫婦は一心同体だという訳です。
さて年末、新婚旅行以来20年ぶりに夫婦二人で旅行に出かけました。ようやく2人の息子に手が掛からなくなったことと、私から妻への結婚20周年のプレゼントです。
「絶対にお父さんと喧嘩ばっかりするわ。」ある日の夕食時にそう言った妻に対し、息子たちの返しが面白かったです。「僕らがいいひんのやし、二人が喧嘩することなんかないって。」確かに、私たち夫婦はお互いのことで喧嘩することはありません。大概は子育てのことや家事のこと、お互いの両親や親戚や近所との付き合いについてです。
2泊3日の旅行はとても新鮮でした。もちろん、一度も喧嘩をすることなどありませんでした。(笑)たくさんお金を使いはしましたが、二人の「0の関係」を確かめ合う大変良い機会になったと思います。妻にこの提案をした時、すかさず「行っといでーな!」と言ってくれた息子たちに今さらながら感謝もします。
夫婦とは不思議な関係です。先にも書きましたが、元々は他人。それがいつしか、なくてはならない大切な存在へと変化していきます。かつて「0の関係」は、「これから作っていくという関係」なのかもしれないと思っていました。結婚した当初は、「へぇー、こいつ、こんな所あるんや!?」と随分思ったものです。また、生活習慣の違いにいちいちイライラしたこともありました。(勿論、相手も同じように感じていたのでしょうが…。)いつの間にか、お互いがそれらを受け入れ、二人の間で価値観や習慣が融合され、私たちの家庭の文化が出来上がったのだろうと思います。
思えば、これまで私が思いっきり「教師」をしてこられたのも妻の支えがあったからです。こうして素直に感謝の気持ちをもてたことが今回の旅行の最も大きな収穫だったようにも思います。今改めて、人間関係や社会の源である「0の関係」を大切にするよう伝えることは、重要な教育ではないかと思います。