『東山を西に見て』〜Make legend〜
- 公開日
- 2011/09/12
- 更新日
- 2011/09/12
校長室から
「25人目の選手」
秋季大会(新人戦)が始まっています。台風の影響で一週間遅く開幕した軟式野球も、熱戦を繰り広げているところです。
さて、本校のベンチに一人、車いすに乗った選手がいます。野球部顧問の先生が担任をする、肢体育成学級に通う生徒Aです。Aは野球が大好きで、よく担任の先生とも阪神タイガースの話に熱狂すると聞きます。この夏休みは、すべての公式戦と練習試合の応援に行ったそうです。
「きょうは、○○のかえりにがっこうによりました。やきゅうぶがれんしゅうしているとおもったのですが、していませんでした。せんせいにもあえなかったので、ざんねんでした。」
夏休みに書き続けた日記の中の一つです。Aは、今年度になってから担任の先生との間で交換日記を始めました。この分量を書くのに2時間以上かかるところからのスタートだったと聞いています。1日も休まず書き続けた日記の内容は、担任の先生を慕う気持ちに溢れています。また、担任の先生が情熱をかけて指導している野球部に対しても強い思いをもつようになったようすが伺われます。
新人戦を前に、担任の先生は顧問として、部員にAをベンチに入れることを提案しました。彼の車いすを押す役割を担う者も出てきました。対戦する相手校の顧問の先生にも了解をとりました。皆さん、快く認めてくださったそうです。そうして実現したのです。
昨日、今季2戦目を見に行きました。審判団から試合開始整列の声がかかります。車いすを押してもらって、一番端にAも整列しました。いつも以上に背筋が伸びているように思います。皆に遅れまいと、他のメンバーよりも早く帽子のつばに手をかけます。「これから、大宅中学校と花山中学校の試合を始めます。」「お願いしまーす!」球審の声に続き、両校選手の大きな声の中にAの声もしっかりと聞こえました。
Aの担任は、育成学級を受けもつのは今年が初めてです。先輩の先生からアドバイスを受け、教育委員会が主催する研修会で学びながら関わってくれています。担任が言ったことの中で、私の頭から離れない言葉があります。
「私ははじめ、障害があるAは可哀そうだと思っていました。しかし、今は障害があることで、Aがさせてもらえない事があるとすれば、その方がずっと可哀想です。だから、私はAに出来るだけ多くの経験をさせてやりたいと思っています。」
炎天下の野球観戦。大きな声を出して応援もします。『体調は大丈夫だろうか?』そばに養護教諭がついてはいるものの、皆がそんな心配もします。送り迎えをされる保護者の方は、Aの一生懸命に応援する姿を嬉しく見つめておられます。
25人の今の目標は、市内決勝戦まで勝ち進んで“わかさスタジアム”で戦うことだそうです。野球部に限らず、花山中学校ではこうした「一人を大切にした取組」が色々な場面で行われています。頼もしく、嬉しい限りです。