『東山を西に見て』
- 公開日
- 2011/03/18
- 更新日
- 2011/03/18
校長室から
「最後の学習の場」
卒業証書授与式の前日、予行後の講評で開口一番次のように言いました。「卒業式は、中学校でする最後の学習の場です。」そして、続けました。「数学や英語などの頭でする学習ではなくて、心を育てる学習の場です。心を育てるには感動が大切です。明日の感動のための要素は、しっかりとした聴く態度と大きな声の返事、力一杯の歌声です。担任の先生は、色々な思いを込めてみなさんの名前を呼ばれます。大きな声で返事をしてその思いに応えて欲しいと思います。また、精一杯の気持ちを込めて卒業の歌を合唱してください。明日は、感動的な式にしましょう。」卒業生と在校生代表の目がグッと私に注がれるのが分かりました。
「卒業証書授与」教頭先生の声で壇上に上がります。最前列で早くも眼にハンカチを当てている女子が私の目に入ります。卒業生の柔らかい目が私に向けられています。「はい!」と呼名に応える一人一人に声をかけながら証書を手渡します。「おめでとう」「よう頑張ったな」「春高バレー、楽しみにしてるぞ。」「甲子園へ行け!」「京大に合格しいや。」親元を離れて一人生活をする者には「身体に気をつけて。」などと言いました。「はい。」小さく返事をする生徒が多いです。「頑張ります。」「ありがとうございます。」という声も多く返ってきます。遣り取りのすべてに笑顔がありました。特に関わりの多かった生徒に証書を渡す瞬間には、様々な場面が一気に蘇ります。『よくぞ、ここまで…。』生徒の成長と先生方の取組の深さを思うとき感情が乱れます。気がつけば涙をこぼしていました。卒業証書授与の場面でのこんなに大きな感動は、担任をしていた頃以来です。
卒業生代表の答辞。3年間を振り返ります。学年が大きく揺れた2年生の頃のことを深く反省し、保護者や教職員への謝罪と感謝の言葉をつなぎます。この場面で会場はすすり泣きの声で一杯になりました。そして、卒業の歌『旅立ちの日に』の合唱。流れる涙を拭くこともせず、前(それは未来の方向です)を見て歌います。男女の掛け合いの場面では、歌声が大きくなりそれにつれて感動も大きくなりました。嬉しいことに、期待していた通りになりました。
我が家のことで恐縮ですが、式の前夜、トイレに起きたとき、下の息子の家族に宛てた手紙が食卓に置かれているのを発見しました。中学校の卒業にあたって、感謝の気持ちを綴ったものです。私に対しては、「僕が道を外れそうになった時、お父さんはいつもそれにすぐに気付いて叱ってくれた」というようなことが書かれてありました。妻には、甘えて我が儘を言ったり、きつい言葉を吐いたりした事を詫び、それをとりなしてくれた兄には敬愛の気持ちを書いていました。その後は、本校生徒の家庭でも同じようなことが行われていることを想像したり、そうあって欲しいことを念じたりして朝を迎えました。
4月から理想にし続けてきた通りの卒業式が挙げられました。生徒と教職員と保護者・地域の皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。
さあ、明日はいよいよ今年度の修了式。
みんなで1・2年生に、感動的な今年度最後の学習の場をつくり上げたいものです。