学校日記

『東山を西に見て』

公開日
2010/10/26
更新日
2010/10/26

校長室から

「社会で求められる力」
 24日、吹奏楽部のフェアウェルコンサートに行きました。farewellとは「ごきげんよう」という意味で、最近“サヨナラの会”を「フェアウェルパーティー」という風に呼ぶのも耳になじんできたところです。3年生に“farewell”を告げ、このコンサートを最後に3年生は引退をします。
 これまで何度も聞いてきた曲が次々に奏でられます。今年から花山中学校のお世話になっている私にさえ様々な場面が思い出されます。3年間の思いを込めて、また、先輩への思いを込めて演奏するメンバーの気持ちはいかばかりでしょうか。
 様々な方への感謝の気持ちに溢れた部長のあいさつに続き、コンサート最後の曲、一青窈さんの代表作「ハナミズキ」が始まります。ステージ上手(かみて)に出されたスクリーンに、引退する子たちの3年間の足跡がスライドで映し出されます。ステージをよく見ると、流れる涙を拭おうともせずに最後の演奏をしている生徒が一人ずつ増えていきます。ステージと画面とを交互に見るうち、涙を溢れさせたのは私だけではなかったろうと思います。
 パンフレットの中に3年生がメッセージを綴っています。「辛いことも楽しいことも、色々なことがあった…」ほとんどの子がそう書いていました。圧倒的に女の子の多い集団。確かに色々なことがあったのだろうと想像できます。しかし、多くの言葉は次のように続けられています。「でも、最後まで続けてきてよかった…。」
 演奏終了後、3年生の引退式が始まりました。3年生1人1人に向けて各パートの後輩からメッセージが贈られます。用意してきた言葉が涙で詰まって上手く出てきません。それでも気持ちは十分に伝えられていきます。素直な気持ちを語ろうとするとき、なぜ感情が乱れるのでしょう。これまで何度もそういう場面を見てきましたたが、心からの「ありがとう。」という言葉にどうしてこれほどの力があるのか、いまだに分からないでいます。
 2日前の金曜日、京都市の中学校教師を3年間勤めたあと新聞記者に転身し、現在は神戸新聞社の論説委員で社会部デスクの宮沢之祐(みやざわしゆう)氏の講演を聞きました。演題にもなっていた『社会が教育に求めるもの』は次の3つだということです。
1.プラスアルファの力−言われたことから一歩踏み出せる人 2.コミュニケーション力—分かりやすい言葉で相手の立場になって話の出来る人 3.みんなの力—チームで仕事のできる人 多く学校へ寄せられるのは「成績を上げてほしい」という声なのかもしれないが、社会が求めている力はそうではないということでした。
 部活動や生徒会活動を通じて身につける力はとても大切です。しんどいことの向こうに大きな感動があること、集団の中で自分を活かすこと、そういったことを経験する中で宮沢氏のいう3つの力が身に付くのではないでしょうか。フェアウェルコンサートを鑑賞していてそんなことを感じました。