学校日記

偲ぶ

公開日
2010/01/21
更新日
2010/01/21

校長室から

 19日,前校長の稲冨哲哉先生がご逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表します。
 写真は,先生を描いた生徒作品である。
 ときどき,学校をのぞいてくださった。職員室に入ってこられると,教職員に声をかけながら,前にあるわたしの席,というより,たぶん,自分の席という思いで来られたのだろう。何かタイムスリップしたように思え,今も,ふと入ってこられるかのような気がしてならない。
 稲冨先生とは4年間,本校でご一緒させていただいた。常々,先生は,「みんな違っていい,みんな違ってあたりまえ,違うからこそ楽しいし,その違いを認め合おう」と生徒たちにも,私たち教職員にも事あるごとに言っておられた。そして,その実践として,一人の生徒を徹底的に大切にされていた。先生の後をついで,この「みんな違ってあたりまえ」という教えが理解でき,目から鱗が落ちるとは,こういうことかという思いになったことがある。それは,教職員をまとめなくてはと思ったときのことである。校長室に掛けられた先生の写真が,みんな違うのだから,大それたことを考えなくてもいい。みんな違うからこそ,学びあえるし,楽しいのだと語りかけてきた。そのとき,ふと心が落ち着くような思いになったことを覚えている。
 また,校長室で話していたとき,学校を辞めた途端,悩みがなくなったことをすごく嘆いておられたことがあった。悩みがあるときは,いろいろ大変なように思うが,悩みがないって人生と違うとも言っておられた。わたしに対する思いやりだったのかもしれないが,おそらく,悩むことで,人の痛みを感じ取られてきた先生にとって,本当の意味での教育者としての原点が,そこのあるように思う。生徒の悩み,保護者の悩み,教職員の悩みから解放されたことは,その原点が崩れ去ったことであり,そのことが,逆に辛かったのではないだろうかと思われるが,今となってはもう尋ねることもできない。
 いろいろと思い返せば切りがない。校長室の写真を見ながら,まだまだ語りかけなければならないことが多々あると思うが,そのときは,よろしくお願いしたい。