学校日記

日あたる方

公開日
2009/12/08
更新日
2009/12/08

校長室から

 今朝,体育館の南側から太陽が差し込んでいた。朝の太陽が西に向かって,細く,そして,だんだんと校庭いっぱいに広がっていく。この逆,太陽の沈みに関しての蕪村の俳句をふと思い出した。
 落穂拾い日あたる方へあゆみ行く 蕪村「蕪村句集」
 季語は,落ち穂拾いで,秋である。秋といっても,晩秋である。この句を生徒ともに学習したとき,生徒は,東から西に向かうか,西から東に向かうかでもめた。もちろん,落穂拾いであるから,収穫したあとに落ちこぼれている稲・麦などの穂である。夕方ゆえに寒くなっていくために,太陽の方向に向かっていくといった意見が多く出た。落穂拾いとう視点が欠落して,寒さ,日といったイメージが先行したものである。だんだん暗くなっていくため,光は東にのびていくのである。西は暗いのである。日を背に受けて,ちょっと斜めくらいになりながら,手を伸ばして落穂を拾いう姿である。自分の体の影にならないようにである。
 単純なようで,なかなか難しいものである。今の子どもたちにすれば,ちょっとした自然の瞬間を見るということもなかなかないのかもしれない。しかし,今朝,ほんのちょっとした瞬間であるが,体育館の合間から差し込む日の光に,この俳句を思い出した。俳句や短歌は覚えるものである。覚えることで,ふとした瞬間に,そのシーンではないかと思う時が来る。その一瞬に,ああそうだったのかという思いが楽しい。何か言えば,○とか×とかで決めてしまいがちな生徒たちに,こうした楽しみを味わえるような人になってくれればと思う。と同時に,わたしたちもこうした瞬間を楽しめるようにならねば,生徒たちも伝えられないだろう。バタバタと一日一日が去っていくことが大変さみしい。