これも王道
- 公開日
- 2009/10/22
- 更新日
- 2009/10/22
校長室から
こんにゃく,ゼリーといった液体を含み,ブヨブヨになって,なおかつ形を保っているものをゲルと呼ぶ。子どもたちがよく遊ぶスライムなんかもそうである。
このゲルの不思議を発見し,解明した,今はもう亡くなられた田中豊一博士の話を読んだことがある。ゲルの液体の濃度を変えると,温度を変えると,電気的な刺激を与えると,ちょっとしたことではあるが,いろいろと試みる面白さが,多くの発見や思わぬ発見につながるという。
こうした研究に取り組む田中博士の姿勢は,いいデータが出なくて,研究が行き詰ったとき,わくわくするという。なぜなら,常識では割り切れない興味ある現象にぶつかっている可能性が大きいのだから,と。行き詰って,なおわくわくする,そんな気持ちになれることが,研究者の研究者たる所以であろう。
行き詰るとき,落ち込むか,それとも,田中博士のようにわくわくして,新しい道を切り開くかのどちらかであろう。田中博士は,関連がないいくつかの事実を前に,ボーと考える時間を大切にするという。論理の跳躍はモヤモヤから生まれるという。
わたしたちの勉強は田中博士のようではない。しかし,大切なことを教えてくれている。何かにぶちあたったとき,どのような方法をとるだろうか。いろいろ推理したり,調べるという人もいるだろう,誰かに尋ねるという人もいるだろう,ほっておくという人もいるだろう。しかし,時には何日もかけて一つ問題を解くという気持ちになることも大切なことのように思える。解けた喜びを味わうことが勉強への,学問への一歩であると,数学者の広中平祐さんは言っている。苦労を重ねてつくりだしたものの喜びは,その苦労の分だけ大きな喜びとなる。そのためには,苦労をして自分で生み出す仕事をしなければならない。ねばりである。これも王道である。