「子どもとの距離」
- 公開日
- 2014/06/14
- 更新日
- 2014/06/14
学校の様子
本日もある文章をご紹介したいと思います。
京都市教育相談総合センター(京都市教育委員会生徒指導課 )が発行している「繋(つなぐ)」(平成26年6月16日付)というニュースレターに掲載されていたものです。少々長いのですが、筆者の意図読み取っていただくために、そのまま転載させていただきます。
「子どもとの距離」
指導主事として学校訪問をする折,学習の様子を参観させてもらう機会も多くあります。そんな時,気になるのが先生と子どもの「距離」です。
ある小学校の中学年のクラスを参観した時のことです。学級担任は20代半ばの採用2年目の女性の先生でした。採用2年目の担任のクラスとは思えないほどの落ち着いた授業と生き生きとした子どもたちの姿に感心しました。担任が一人一人に丁寧にやさしく声をかけ,笑顔があふれる楽しい雰囲気を作りあげていました。
参観後,校長先生から聞いた話にも驚きました。昨年,この担任は、子どもとの関係がうまくつくれず,学級経営に悩んでいたとのことでした。夏休みを前にして「教師をやめたい」と思い詰めるまでになっていたのです。
私が「どのようにして今日のような先生に変わったのですか」と尋ねてみたところ,校長先生は「子どもたちが変えてくれたんです」と簡潔に答えられました。担任は,学級経営に行き詰まりを感じ始めた頃から,毎日の教材研究だけではなく,家庭訪問によく行くようになりました。学校には厳しい生活背景を抱えた子どもが多くいます。児童理解を深めるためには、家庭の様子を知り、保護者との連携が大切だと考えられたのでしょう。
そんな中で一人一人の子どもの姿が今まで以上に見え,自然と子どもたちとの会話も増えていったのです。まず学級の雰囲気が変わり始め,先生の姿にも変化が見え始めてきました。教師をやめたいと思うほど追いつめられた状態からの蘇生でした。
「子どもの背景に迫る」と言いますが,簡単なことではありません。きっとこの学校には、一人一人の子どもを大切にしようという先輩の先生方の熱意と行動があり、この担任もこのような行動をとることができたのでしょう。担任は,子どもへのかかわり方を変えることによって,子どもたちの変化を肌で感じ,さらに、子どもの成長を自らの成長につなげたのでしょう。家庭訪問で,子どもとの「距離」を自ら近づけていったことが何よりよかったのかもしれません。
一方,まるで友だち同士の会話のように馴れ馴れしい感じで話をしている先生を目にすることもあります。一見すると子どもとの距離は近 いのかもしれません。会話も成り立っています。
しかし,この「距離」は教育者として適切なものだろうかと感じてしまうのです。現在では、子どもの「モデル」となる身近な大人が少なくなっていると言われます。そんな子どもたちにとって,人生の先輩として最高のモデルになるのが目の前にいる「担任の先生」なのです。
若い先生方には,温かい雰囲気の中にも,子どもとの間にしっかりとした一線を引き,本当の意味での「距離」を保った関係を築いていってほしいと思っています。(注:太字・赤字は私によるものです。)
私はこのエピソードから二つのことを感じました。
一つは、学級や学年などの学習集団は、教師だけが作り上げるものではないと言うことです。どんな集団であれ、その構成員である一人ひとりが、大切な役割を果たしていることが見て取れます。よい学級集団を作るには、よい教師とよい生徒、よい周囲の環境がやはり必要なのですね。
もう一つは、本校の生徒諸君に対する接し方の振り返りです。生徒たちを「大人」にするには「大人扱い」をする必要があります。最後に手はさしのべるにしても、それまではしっかりと「距離感」を保つ必要があります。これが、保護者の皆さまとわれわれの「立ち位置の違い」と言えるかもしれません。
テストも終わり、来週はいろいろな思いを持って生徒諸君は登校します。結果を責めず、かといって甘やかすこともなく、テスト後の「振る舞い」について適切な指導がおこなえるよう、われわれも気を引き締めて頑張ります!