空の上の心温まる話
- 公開日
- 2012/09/05
- 更新日
- 2012/09/05
学校の様子
〜空の上の心温まる話〜
私は65歳です。
耳と言葉が不自由です。
先日、10年ぶりに妹と会うために、A社を利用させて頂きました。
その時に担当してくださった客室乗務員の方が、とても心やさしかったので、お礼をお伝えしたいと思い、お手紙を書かせていただきました。
地上係員の方から連絡を受けていたのでしょうか。
私が搭乗するやいなや、挨拶にきてくれた客室乗務員の方がいらっしゃいました。
笑顔で、口元をゆっくり動かしながら、手話と合わせて「こんにちは。ご登場ありがとうございます。本日、担当させて頂きます○○です。なんなりとお申し付けください」と、伝えてくれました。
ほっとしました。
飛行機に限らず、乗り物に乗る時はいつも緊張してしまうのですが、彼女のこの気遣いと笑顔に、思わずこちらも微笑んでしまいました。
離陸してしばらくは眠っていたと思います。
最近、外では、目を閉じていることが多くなりました。以前は、手話やメモ書きで交流していたのですが、人と目を合わせることも億劫になってしまっていたのです。
なるべく人とのつながりを避けて静かに暮らす。そんな毎日を送っていました。
飲み物のサービスが一段落した頃、先程の方がわざわざお話をしに来てくれました。
きっと、私が暗い表情になっていたのでしょう。
メモ書きで到着時刻と現地の天候、現在どこを飛んでいるかなど、窓の外を指さしながら、「ありがとう」と手話で返しました。
さらにその方が訓練生だった時の「今だから笑える失敗談」を、メモに書いて教えてくれました。
大きな字で、大変読みやすい文で書かれていたお話が、あまりにもおかしいので、お腹を抱えて、涙が出るほど笑いました。
「こんなに笑ったの、何年ぶりだろうか」
そう思いながら彼女の方を見やると、真剣な顔になっていました。
「何か失礼をしてしまっただろうか」と不安になり、顔を覗き込むと、彼女が涙ぐんでいます。
「よかったです。元気になってくださって」とメモを渡され、はっとしました。
トントントンと音は聞こえませんが、その方に長年、堅く閉ざしていた扉をたたいてもらった気がします。
自分では明けられないでいた、心の重い扉を・・・。
ふと窓の外を見やると、雲海の水面が太陽の光にきらきらと輝いていました。
以前は知っていたはずの、人と触れ合う喜びや語らう楽しさが、静かに蘇ってきました。
なんだか、こちらも泣けてきました。
「すみません。ごめんなさいね。ありがとう」とメモに書いていて、手を合わせながら返すと、「楽しいひと時をありがとうございました。お会いできてよかったです」と最後のメモを頂きました。
今でも、あの時の客室乗務員さんの笑顔は心に残っています。
本当にありがとうございました。
*CA(客室乗務員)がいつも心掛ける本当の笑顔とは・・・
笑顔はサービスの極意、生きることの極意、ともいわれています。
といっても、にこにこ顔で相手に接することだけではありません。
相手が笑顔になってくださって、初めて本物の笑顔といえます。
その笑顔が相手の心に届いたとき、心の扉が開くのではないでしょうか。
時間が経っても心に残る笑顔を心掛けたいと思っています。
どなたの、どんな笑顔が、あなたの心に残っていますか。