ちょっといい話
- 公開日
- 2012/02/15
- 更新日
- 2012/02/15
学校の様子
〜あるテーマパークでのできごと〜
2度の脳梗塞によって重い障害が残った夫は、発作を繰り返しながら自宅療養を続けています。ときどき人との接触を求めて、外出をします。
冬のある日、急に思い立ってどこかの遊園地へ行くことにしました。
広場のすみに車椅子を止めて、私はそばに付き添い、元気よく走り回る子どもたちの姿をながめていました。思ったよりも寒くて、早く帰らなければと思いました。
広場に歓声が上がりました。ドナルドダックが現れて、子どもたちがどっと駆け寄ったのです。ところがドナルドは子どもたちの群れをかき分けました。どんどんかき分けて、こちらへ近づいてくる。すみっこにいる私たちの方へ。そして車いすに乗った夫の前にくると、大きく一礼をして大きな手で夫の背中をなでてくれました。2度、3度。
突然の出来事に、私たちもまわりの人たちも驚いていました。夫の背中をなでると、こんどは私の腕をさすり、両手で包み込んでくれます。
大きな白い温かい手で。優しさが老いた二人を包み、その温かさがまわりに広がり、見ていた人たちから拍手が起こりました。
夫の顔を見ると、涙がほろほろ頬を伝っています。風の冷たさを忘れました。「ありがとう」と言うのが精一杯です。ドナルドはうんうんとうなずいて、もう一度夫の背中をなでてから、子どもたちの方へ駆けていきました。
思いがけない出来事でした。顔は見えない。でも優しさと、励ましの気持ちはしっかりといただきました。ありがとう。