ちょっといいはなし 7
- 公開日
- 2012/01/31
- 更新日
- 2012/01/31
学校の様子
空の上のお話
羽田発千歳行きの、330名の修学旅行生を乗せた便に乗務した時の出来事です。
ちょうどお昼にかかるフライトでした。
搭乗直後に、添乗員さんから
「上空に行ったら、子どもたちがお弁当を食べますので、お茶をお願いします」と、連絡をいただきましたので、担当キャビンのCAに報告し、サービスの段取りを決めました。
ベルト着用サインが消えた後、ギャレイでエプロンに着替え、サービスの準備に入っていたところ、
「あ!」
突然、男の子の大きな叫び声がキャビンに響き渡りました。
「いったい、何が起こったのかしら」
と、内心慌てて伺いますと、その男の子のお弁当が床にひっくり返っていました。どうやら捨てられる容器で持ってくること、という学校の指示に従って持ってきた慣れないプラスチックの容器で、手がすべってしまったようです。
「あ〜あ〜」
「もったいない」
と通路まで飛び出したおかずを見て、周りの子どもたちも騒いでいます。
「大丈夫ですよ。すぐに片づけますからね」
と声をかけると、
「すみません」
その子は申し訳なさそうにぺこっと頭を下げ、一緒に片付け始めました。
床がすっかりきれいになり、彼が手を洗って席に戻ってくると、
「おい、先生のおにぎり一つ食べろ」と、先生がおにぎりを手渡しました。
「ありがとうございます」と顔を赤らめ頭をかきながら受け取り、男の子が席に着くと、
「仕方ないな」
「ほら、特性弁当のできあがり」
と、隣の子がどこから集めたのか、山盛りに盛られたおかずいっぱいの手作り弁当を差し出しました。
みんなが、その子に気づかれないように、そーっと自分の弁当から一品ずつ差し出し、作ってくれたのです。
お弁当のふたの上にただ乱雑に盛られているだけなので、お世辞にもおいしそうとは言えませんが、いろいろな種類のおかずがたくさん載っていてワクワクする、まさにお子様ランチみたいなお弁当でした。
「おれのよりうまそう」
「こぼして、得したんじゃない?」
などと冷やかす声。
「ありがとう・・・」
さりげない仲間の気遣いで、できあがった超特製弁当を、彼は神妙な面持ちで食べ始めました。
そのやりとりの中、私はギャレイに戻り、お子様ランチについている旗を真似て、楊枝にANAのロゴをつけて小さな旗を作り、戻って特製弁当に挿してあげました。
「はい、世界に一つしかない特製弁当のできあがり」
そう声をかけると、
「はい」
うれしそうに答えてくれました。
「いいなー」
「こんど落としたらもうないからな」
と、またまたあがった冷やかしの声に、ますます顔を赤くした男の子。
光るものを目にたたえながら、おいしそうに頬張っている顔は、本当にうれしそうでした。
☆これはうちの学校でもおこりそうな話ですね。