校長室から〜親子の会話〜
- 公開日
- 2012/06/05
- 更新日
- 2012/06/05
校長室から
校長室から 〜親子の会話〜
先日の休日(日曜)参観には多数ご来校いただき,ありがとうございました。
その日に行いました家庭教育学級で,「親子の会話」というテーマでお話をさせていただきました。以下は,その中でお話しさせていただいた内容の一部です。
「親子の会話」と言っても,「なかなか子どもとゆっくり話す時間がない。」というご家庭もあろうかと思います。実際,私にも三人の子どもがいますが,小さい時は,私の帰宅が遅かったこともあり,朝,保育園に送るわずかの時間だけ,子どもと会話をするという状態が続いたこともありました。また,会話と言っても,それほど特別なことを意識して話していたわけではありませんし,今思えば,小言や叱ることが多かったのではないかと,反省する次第です。
お話の中で,「何気なく使ってしまうことばってないでしょうか。」ということで,
「ほんまに,アンタは…何回言うたらわかんねん。」
「そんなことしてたら,ええ学校行けへんでぇ〜」
「お母ちゃんがどれだけ大変か,アンタわかってんの。」
など,20のことばを挙げて,皆さんで考えてみました。
今,京都市では,学校・家庭・地域・教育委員会が一体となって「規範意識の醸成」に取り組んでいます。私も昨年度は教育委員会の代表の一人として,このプロジェクトに関わっていました。その中で,中学生と中学校の教員に取ったアンケートで,興味深い結果が出ていました。社会における行為の生徒や教員の規範意識を探る問いで,生徒と教員の回答の傾向が似ているものがいくつかあったのです。
例えば,生徒は「小学生がタバコを吸う」ことについては「とても悪いことだと思う」と回答し,「電車やバスの中での女性の化粧」は「あまり悪いことだと思わない」と回答しています。さすがに,一つ一つの項目については,教師の方が厳しく見ているのですが,その傾向(化粧より小学生のタバコの方が悪い)は似ているのです。一つの仮説ですが,大人の規範意識が子どもの規範意識に影響を与えるかもしれません。つまり,子どもは大人を映す鏡であるという一面です。
親子の会話の中にも,何気なく親の考え方や姿勢が,知らず知らずのうちに子どもに影響を与えているかもしれません。例えば,「ほんま,アンタは何やってもアカンなあ。」なんてことばは絶対に言ってはならないことばだと思います。子どもは生まれた時,この世に出た瞬間から一人の人間として人権が守られなければならない存在ですから…。子どもには,「自分が役に立つ存在であり,自分もできるんだ」という感情をいだかせることが大切です。会話を通して,そのような声かけができたら素敵だなあと思っています。
最後に私の好きな詩を紹介します。
伝えねばならぬもの
「大事にされている」と感じる時に,「大事にしている」ということが伝わる時に,人間は,体の中にある「力」がどうしようもなく動き始めるのです。
気がついたら,自然に,どうしようもなく動きはじめている自分がいるのです。
人間は,「大事にされている」ことが伝わる時に,「大事にされている」と感じる時に,かくれていた「力」が,動けなかった「力」が,どうしようもなく動き始めるのです。
そう,気がついたら,自然に,どうしようもなく。
私たち教師は,私たち親は,なんとしてでも,子どもに「大事にしているよ」ということを,伝えねばならないのです。
手を通して,表情を通して,眼差し,素振りを通して,体でなんとしてでも,「大事にしているよ」ということを,伝えねばならないのです。
そして,いまひとつ,ことばで,ことばを通して,「大事にしているよ」ということを,
伝えねばならないのです。
なんとしてでも,伝えねばならないのです。伝わらねばならないのです。
「大事にしているよ」ということを…
「養護教諭の教育観と子ども観」より(東山書房:1987)中原実道