学校日記

第2回 卒業証書授与式に寄せて

公開日
2016/03/15
更新日
2016/03/15

校長室から

 東山泉2期生77名の9年生の皆さん,義務教育の卒業,おめでとうございます。皆さんのことを振り返るに,美化保健委員会が中心になって,学年の心を一つにして取り組んだ薬物乱用防止に向けての活動に触れずにはいられません。本日は薬物乱用防止教室でお世話になり,啓発DVD制作の機会を与えて頂いた京都府警の辻警部補様にもご臨席いただいています。
 3年前,月輪中学校最後の入学生であった皆さんは,その月中ラストイヤーに巣立った先輩の姿をしっかりと見据えてくれていました。彼らが残してくれた啓発DVD作品を超えたいという気持ちを持っていたのかはわかりません。また,昨年からつい最近にかけて,私たちの町,京都で高校生が小学生が,そして中学生が大麻に関連したニュースが流れましたが,こんな状況を危惧はしても,予測をしたことでもなかったでしょう。
 思いは,みんなが心を一つにすることで,一人だったらできないこと,薬物に関して言えば,誘われて一人ぼっちなら断りきれないことでも,77名の絆で自分と仲間を守ろうと,2年前の先輩の“魂”を繋いでくれたと思っています。
 「9年生を送る会」では8年生が代表して,その思いを“伝承泉魂”と受け止めてくれました。京都の学校には小学校は明治2年以来の146年の歴史が,中学校は昭和22年以来の69年の歴史が脈々と流れています。東山泉は開校してようやく2年の若い学校ですが,その伝統をしっかりと引き継いでくれていることを頼もしく思います。
 今日で9年間の義務教育が修了します。義務教育は7歳から15歳までの人生の早い段階での通過期間です。皆さんのこれからには洋洋たる将来があります。しかし義務教育を終えた明日から今までに経験しない試練や幾多の関門があります。一人ごとに越えるべき壁の高さも異なるでしょうが,東山泉の9年生全員がその壁を乗り越えていってほしいと思います。
皆さんに求めたいことがあります。それは設定した将来に必要な自分の力を意識することです。具体的に言うとみなさんは15歳。この世に生を受け今日まで来た15年間の時間を今日を起点として未来に設定してみて下さい。つまり30歳の自分を考えてみてください。皆さんが30歳を迎えるのは2030年。その時には成人として,社会の一員として活躍していると思います。昨年,イギリスのオックスフォード大学があと10年で消えるであろう702種の職業を認定しました。事務や販売,オペレーター,また危険を伴う仕事などがICTやロボット技術の進化により職業の種類を変えていきます。今の子どもたちが大人になる頃,その65%はまだ存在していない職業に就くだろうと言われる所以です。
 それでは皆さんが30歳になる頃,大きく変わるであろう社会の中でどんな「力」を持っていればいいのでしょうか。自分の意志で課題や問題に取り組もうとする意欲や,リーダーシップ,チームワークやコミュニケーションをとる力などはつけてほしいと思います。現代は知識基盤社会と言われて久しいですが,これは知識を得ることだけを意味することではありません。学校の学習が確実に変わってきているのは,“どれだけのことを知っているか”と身に付けた「知識の量」で成績がついた時代から,今は身に付けた知識を使って何ができたか,何ができるようになったか,が評価される時代になったということです。そのためには,今日から社会の動きを自分の目で見て,確かめて,感じることに努めてください。
 「よく遊び,よく学べ」という言葉がありますが,これは遊びの中にも“学び”があるということです。考えてみれば当然ですが,遊んでいるときに使う脳も,勉強するとき使う脳も同じものを使っているのですから,どんな時にでも知り得た知識や情報をどう繋げるのかということにほかなりません。現在は「学力」の要素の一つに「学ぶ意欲」も定義されています。どんなことでも自分に取り込んでやろうという意欲を持ちましょう。
 それでは,これから東山泉に集った仲間と共に学び続ける気持ちを持ち続けてくれることを祈念しつつ,卒業生の皆さんの洋々たる前途を祝福し式辞といたします。

                        平成28年3月15日
                   京都市立東山泉小中学校
                        校長 村岡 徹