学校日記

風を凌いで 3月15日

公開日
2021/03/15
更新日
2021/03/15

校長室から

9年生の皆さん,ご卒業おめでとうございます。
校庭の桜も間もなく開花の時期を迎えようとしています。(写真右)
4月から新しい場所で,皆さんが自分の花を大きく咲かせてくれることを願っています。
以下,本日の卒業証書授与式での式辞の内容です。


 暖かい春の日差しを感じる今日,卒業証書授与式を迎えられた9年生の皆さん,ご卒業おめでとうございます。晴れの門出を,心より祝福しています。 
 また,本日ここに卒業証書授与式を挙行するにあたり,ご来賓の皆様をはじめ,多くの保護者の皆様のご列席を賜りましたことに深く感謝し,厚く御礼申し上げます。
 平成から新しい令和の時代と, 大きく歴史が変換し, 新たな一歩を踏み出した矢先,新型コロナウイルス感染という, 世界中を震撼させる出来事が起こりました。とりわけ,卒業生の皆さんは, 小中一貫校として開校した凌風学園の初めての入学生, そして9年間を過ごした最初の卒業生です。そんな皆さんの義務教育最後のかけがえのない一年は,不安に揺れ動き,仲間と過ごす時間を失った悲しみ,そして学校行事や部活動の大会をはじめ,数々の取組が中止や規模の縮小となり,やりきれない思いが渦巻いていたことと思います。
 しかし,そんな状況の中にありながらも,6月の学校再開後に見せてくれた皆さんの姿は,9年間の成長の立派な証でした。
 コロナの影響で大きく変わった学校生活では,よく辛抱し,今できることは何かを常に考え行動してくれました。皆さんの姿を見て,開校以来,最上級生である9年生が学園のリーダーとして「下級生のよきモデルとなること」「しっかりと手本を示すこと」という学園の実践が,今年も絆となって受け継がれていることを実感しました。
 さて,本学園を巣立っていく皆さんがこれから進んでいく社会, 世界は,変化の激しい,予測のつかない, さまざまな困難を抱えた厳しい時代になるだろうと言われています。コロナ禍がそうであるように,これまで誰も経験したことのない状況の中で,答えのない問いに向かって,正解を探し求め続けることが要求される社会や世界です。そして,巣立ちゆく皆さんは, そんな社会の担い手となるのです。どうぞ, しなやかに,たくましく生き抜いてください。そのために,皆さんに高めてもらいたい「三つの力」についてお話をし, それを餞(はなむけ)とします。
 一つ目は, これまでに経験したことをもとに目の前に見えていないことを思い浮かべ,見えないものをイメージしながら探っていく「探究する力」です。この力は, 人との関りを大切にする中で, どうすればよりよい未来が築けるのか, 平和で幸せな社会を目指す良い流れをつくりだすためにどうすればよいのかを積極的に考えていこうとする力です。
 二つ目は, 新たなものを創り出すという「創造する力」です。 多くの人と出会い,思いや考えを互いに伝え合い,様々な考え方を自分の中に取り入れ, また, 協力してさまざまなことに取り組み, 共に充実した時間を共有することや, たくさんの本を読み, 豊かな感受性を養うこと,そういったことが, 皆さんの見方や考え方を拡げ,新たなものを創り出す力となっていくのです。
 三つ目は「協同する力」です。「協同」とは協力の「協」に同じと書く言葉で, 「力と心を合わせて一つのことにのぞむ」という意味です。一人ひとりの力は小さくても,同じ目的をもつ人がたくさん集まり,意見を出し合い,お互いの個性や得意な事柄を集めれば, 必ず目的を果たすことができるのです。一人ではできないことも, みんなで力を合わせることで大きな力となるのです。

 凌風学園の「凌風」には「風を凌ぐ」,つまり困難(風)を乗り越え進む,時には我慢し,耐えるという意味が込められています。人生は, 順風満帆な道ばかりではありません。「災難」「困難」「苦難」など,厳しい風に立ち向かう時が必ず訪れます。そんな時には, 九年間過ごした母校の名前「凌風」を思い出してください。学園での九年間の学びこそ, 自分自身の未来を切り拓き,どんな困難も乗り越えていける大きな原動力なのです。

 一昨年,NHKの合唱コンクールの高等学校の部の課題曲となったラッドウインプスの「正解」という曲の中にこんな歌詞があります。

 ああ,答えがある問いばかりを教わってきたよ
 だけど明日からは
 僕だけの正解をいざ 探しにゆくんだ また逢う日まで

 制限時間は あなたのこれからの人生
 解答用紙は あなたのこれからの人生
 答え合わせの 時に私はもういない
 だから 採点基準は あなたのこれからの人生

 「よーい,はじめ」

 なりたい自分への目標は,君たちの成長や時間の流れとともに変わっていくでしょう。それでいいのです。具体的な目標が変わっても,常に自分の求める目標に向かって精一杯生きることにこそ価値があるのです。意志あるところに必ず道は拓けます。
「探究する力」「創造する力」「協同する力」この三つの力を大切に,答えのない問いに向かって,自分らしい答えを探し続けることができる豊かな人生を送ってくれることを心から願っています。

 保護者の皆さまに一言お祝いを申し上げます。本日の,お子達の卒業,誠におめでとうございます。お子達の今日の姿に感慨もひとしおのことと存じます。凌風学園の名にふさわしく,「風を凌いで」進んでくれた学園生でした。このような出会いに心から感謝いたします。 
 結びに,ご来賓の皆さまにおかれましては,ご多忙の中ご臨席を賜り誠にありがとうございます。高いところからではありますが,厚く御礼申し上げます。今後も,凌風学園教育に対しまして,ご指導・ご支援のほど, よろしくお願いいたします。

 それでは,卒業生のみなさん,お別れです。自分の可能性を信じ,夢の実現に向けて,困難に立ち向かい,失敗や挫折をおそれず,凌風学園の校歌のごとく,風を凌いで高く高く,風を凌いで遠く遠く,未来に向かって大きくはばたいていくことを祈念し,式辞といたします。
                       令和3年3月15日
                       凌風学園
                       学園長 岩佐 武司