京都市立学校・幼稚園
最新更新日:2019/03/29
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豊かな人間性の育成をめざし 互いの人権を尊重し合い「若き日に心を磨き」「若き日に身体を鍛え」「若き日に知識を広め」「若き日に友と交わり」 未来の糧を創ろう!         歩む道に迷いなし。このまま,まっすぐに・・・         3月29日(金) 離任式

『南風、吹かせ!』〜Hot wind from Mukaijima〜

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「目標は最優秀賞、目的は…」
 立て続けに台風がやって来ては秋雨前線を刺激し、各地に大雨を降らせています。甚大な被害を出したところもあり、被災された地域や人たちには、一日も早い立ち直りを期待します。
 さて、10月になりました。いよいよ、最大の学校行事が行われる時期です。今週末には「学習発表会」と「音楽コンクール」、来週末には「体育大会」が計画されており、校内では、早朝から完全下校まで、生徒も先生もそれに向けて忙しく動きまわっているところです。
 先週末、3年の「音コン」のリハーサルを観に行きました。学年合唱の練習に続いて、本番通りに各学級の合唱を披露し合います。練習してきた成果を発揮して声高らかに歌い上げる中に、一つだけ様子のおかしいクラスがありました。全体的に声が小さく、頑張っていた人たちまでも徐々に士気を低下させ、最終的には、『おいおい、どうした?』と言いたくなるような状況になりました。指揮者は涙を流しながら腕を振っています。そう言えば、職員室前でこの生徒がべそをかきながら先生と話をしているのを見たこともあります。練習の時から上手くいっていなかったことが想像できました。それにしても、リハーサルでのこの状態は厳しいです。担任の先生の様子をそっと見ました。先生も指揮者と同様、泣き出しそうな、何とも言えない表情でじっと子どもたちを見つめています。情けなさ、憤り、悲しさ、ふがいなさ、寂しさ…etc、自分自身にも向けられたそのような感情を胸に押し込めての見守りであり凝視です。
 リハーサルの後の学活は、どのように進行したのでしょうか。
『自分が担任だったら…』何度もそんなことを思いました。
 昨月曜日の放課後、1年の学年練習を見終えて体育館を出た瞬間、そのクラスの歌声が第2音楽室から響いていました。大きく美しい歌声です。思わず階段を駆け上がりました。音楽室の扉を開けた瞬間、そこにあった光景が今も脳裏に焼き付いています。身体を前後にゆすって声を出す男子。掛け合いを楽しむかのように美しく歌い上げる女子。重くしっかりとした、それでいて弾むような伴奏、嬉々として腕を振る指揮。週末とは全く別の集団の姿がそこにありました。
 週末の学活の様子、生徒の思いと決意、担任の先生の熱い気持ちと呼びかけ、それを支える学年の先生方の姿、一気に想像した様々なものが、目の前の信じられない光景と重なって大きく心を動かされました。リハーサルの段階では誰の目にも最下位だった学級が、今、優勝候補に名乗りを上げたと言っても過言ではないかと思います。
 「結果」よりも「過程」が大事。この状況を見ると将にそうで、もう十分に「学級集団(仲間)づくり」という「目的」は達成しました。確かにそうですが、5クラスの力が拮抗しているこの状況まで来たからには、あと3日間、どのクラスも「最優秀賞」という「目標」に向かって、できる限りの取組をしてほしいと思います。

『南風、吹かせ!』〜Hot wind from Mukaijima〜

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「行事で育つもの」
 “秋の日はつるべ落とし”昔の人は上手くいったものです。ところで、“つるべ”を知らない人が増えているのではないでしょうか。はて、うちの若い教員たちは知っているのでしょうか。昨日、国語の授業を観ていて同じようなことを思いました。慣用句やことわざの学習だったのですが、「ぬかに釘」「のれんに腕押し」を教える際に、先生が「ぬか」と「のれん」の説明をしていました。確かに、特に「ぬか」は具体物を見たことのある生徒が少ないかもしれません。
 秋分の日がすんで、昼の時間がドンドン短くなっていきます。ついこの間まで7時半くらいまで明るかったのに、今は6時で既にうす暗くなっています。
 さて、この時期の学校は活気に満ちています。特に放課後は生徒も先生も大忙しですが、イキイキと楽しそうに動き回っています。合唱の練習、学習発表会の練習、“めくり制作”などの音コンの準備、体育大会の準備などです。そうそう、4時以降は部活動を頑張る声も校内に響き出します。
 特に、夏休みで部活動を引退した3年生たちは、新しい活躍場所を見つけたとばかり積極的に動いています。元々、部活動に熱心な人たちは学校が大好きなので、何事にも一生懸命取り組みます。一生懸命に取り組むから楽しいし、楽しいから尚更頑張ります。一方私もこの活性化した学校のムードの中、子どもたちと劇づくりや展示作品づくり、合唱の練習に励んだ日々のことを毎日のように密かに思い出しています。
 行事の意味について、改めて考えてみました。行事の目的は、ひと言で言うなら「仲間づくり(=人間関係づくり)」です。PCやスマホ、SNSの発達によって一人で遊ぶ子どもたちが爆発的に増えました。それにつれて、人間関係をうまく結べない若者が増えてきたと言われています。若者のコミュニケーション力不足が国民的課題のように言われて、もう随分長くもなりました。
 行事を作り上げていく際には、自然とコミュニケーションが生まれます。時にはぶつかることもあるでしょうが、それもまた勉強です。どんな言い方や行動をすれば人は嫌がるのか、あるいは喜んで共に動くのか、経験しなければ分からないことがたくさんあります。対立したり共感したりしながら一つのものを作り上げるからこそ、出来上がった時に感動が生まれるのです。そして、その感動が子どもたちの心を育てます。教科の勉強が出来ることはもちろん大切ですが、豊かな感性と温かな心をもち、人と接することが上手な人って素敵ですよね。 
 保護者や地域の皆様、来月には様々な発表の場があります。子どもたちが仲間と協力しながら作り上げてきた有形・無形の作品を是非見にきてやってください。
 真剣な眼差しと心からの応援が、子どもたちをまた大きく成長させてくれます。

『南風、吹かせ!』〜Hot wind from Mukaijima〜

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「自信と誇り」
 1年間アメリカに留学していた下の息子が帰ってきました。食事のためか運動不足のせいかは分かりませんが、身体が一回り大きくなったように思います。出発するまでは
『1年は長いなあ。大丈夫やろうか』と心配もしていたのに、過ぎてみれば“あっ”という間でした。それにしても、近頃の留学は勉強しに行っているのか遊びに行っているのかよく分からないような内容です。サンフランシスコは東京と変わらないほど(あるいはそれ以上に)物価が高いということですが、たくさんお金もかかりました。巨額の投資をしたのだから、しっかりと学んでいてもらわないと困ります(笑)。
 見分は随分と広めたようです。話題は直ぐにアメリカのことになります。彼が語る内容を聞いていると、私もそこを訪れたくなります。自分の目で見、耳で聞き、香りをかぎ、そのものに触れ…、体験した者にしか理解できないことがあると思います。それを大切にして今後の人生に活かしてほしいです。帰国して、彼の将来への考え方が変化もしました。英語力を活かした職業に就きたいという気持ちが一層強まったようです。視野も広がりました。私などが想像もできないようなことを言ったりもします。また、世界各国から人々が集まるサンフランシスコにあっても、ヨーロッパ諸国からの留学生と比べると、アジア人は低く観られているといった差別感を感じたとも言っていました。我が子ながら、学び成長した姿を頼もしく思います。また、彼自身の人生において、少しばかり自信と誇りをもてたようにも感じています。
 昨日(22日)、二の丸北小学校の運動会を観に行きました。「跳びはねる」という表現がピッタリな、小学生の軽やかに走る姿に爽やかなエネルギーを感じました。その中でも特に、最後に行われた5・6年生の集団演技には感動を覚えました。
 「二の丸北小学校最後の運動会をよいものにしようと一生懸命取り組んできました…」代表児童による演技前のコメントの通り、今年度を最後に閉校となる自校での運動会を思いっきり楽しみ、盛り上げようとする児童と教職員の思いが溢れた演技でした。途中から激しい雨が降り出したのですが、子どもたちは全く気にすることなく演じ切りました。まるで、激しい雨が予め考えられていた“演出”であるようにさえ感じたくらいです。保護者や地域の方も彼らの姿にくぎ付けになって見守っておられました。私の横の清水校長先生は、何度も眼鏡の奥の目頭を押さえておられました。
 1年間の留学生活と運動会での集団演技。異なるものではありますが、共にやり切った満足感と自信、自分に課せられた責任を自覚しそれを全うした誇りを感じます。そして、それらが彼らを逞しく成長させました。
 自信と誇りを感じて行動する様は眩しいくらいに輝いています。

『南風、吹かせ!』〜Hot wind from Mukaijima〜

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「適切な声掛け」
 9月に入って運動部の新人戦や文化部のコンクールなどが盛んに行われています。この時期も生徒たちの頑張る姿を見るのが楽しみで、手帳に予定をびっしりと書き込んでは可能な限り観に行くようにしています。試合やコンクールの場面では、学校生活ではあまり見られない子どもたちの表情や行動を見つけることがあります。
 野球部の新キャプテンは、部活動の際には普段の学校生活とは別人のような優れたリーダーになります。歯切れの良いよく通る掛け声と呼びかけでチームを引っ張ります。勉強で目立つ子ではありません(気を悪くしないでな)が、野球部のキャプテンとしての行動が活かされてきたようで、最近では、合唱の場面などでリーダー性を発揮しはじめています。先日、部活の中でうまくいかないことがあって随分と落ち込み、悔し涙を流したと聞きました。これもまたよい学習です。
 試合で大健闘したある女子テニス部員に、試合の翌日、次のように声を掛けました。「昨日はおめでとう! ええもん、観せてもろた。それにしても、凄い気合やったなあ。あの気合で授業を受けたらものすごく賢くなるんちゃうか!?」
「ぜったい、無理やし!」素っ気ない言葉が返ってきて苦笑しましたが、私の気持ちは伝わったと思っています。
 ブラスバンド部が、11日のマーチングコンテストでも金賞を獲得しました。今回は関西大会への出場はならなかったですが、素晴らしいパフォーマンスと演奏を披露しました。演奏後の清々しい涙の表情は、どの子をも輝かせていました。2年生の中に、時々授業中に“ボーっ”としていたり、居眠りをしそうになっている生徒がいます。満足感と安ど感、極度の緊張からの解放感からくる本番直後のあの美しい表情を、学校生活の他の場面でも多く観たいと思います。彼女が1年の頃、吹奏楽部を続けられるのかと心配したこともありましたが、部活動は見事に彼女を成長させてくれました。
 ひとつの成功体験は、貴重な“きっかけ”です。ある場面でできたことは、きっと別の場面でもできるはずだと信じます。いえ、させていかなければなりません。部活動や学校外のクラブチームで頑張っている経験を学校生活や日常生活にも活かしていかなければ、それらの活動の意味は随分と小さくなってもしまいます。
 「凄いなあ。よくやった!」と認めて、「上手になったね、感動したわ」と褒めて、「次も、別の場面でもがんばりや」と励ます。思えば、これは子育てと教育の基本姿勢なのではないでしょうか。
 子どもは、放っておいても成長はします。それは目には見えないほどのゆっくりとした速度かもしれません。でも、“今というその瞬間”を見逃さず、適切な声掛けをすることによって成長のスピードを速めることができると思うのです。
 そのことの上手な人が、よい親でありよい教師です。

『南風、吹かせ!』〜Hot wind from mukaijima〜

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「経験が判断材料になる」
 毎朝5時30分には愛犬檸檬(れもん)の散歩に出ます。帰宅時もそうですが、近頃では草むらから虫の声が聞こえます。また、同じ時刻なのにいつの間にか以前ほど明るくなくなりました。日中はまだまだ暑いですが、確実に秋が近づいてきていることを実感します。
 さて、学校では毎日色々なことが起こります。嬉しいことや楽しいこと、感動的なことばかりではありません。生徒同士のトラブルはよく起こります。解決に向けて、保護者の方と話をしなければならないことも多いです。生徒に危険が及ぶようなことや、場合によっては命の危険が伴うような事件も起こり、教師はその都度そのような事象に対応します。
 ほとんどの事件や事故、トラブルの解消に向けての動きは、学年や係りの先生の判断で動き、校長である私や教頭へは、方針や経過、結果が連絡・報告されるのが普通です。それでよいと思っていますし、そもそも、年度初めに教職員を信頼して各ポジションに配置しているのですから、各人が自覚と責任をもって判断し行動することに対して、先ずはじっと見守るべきであると思っています。
 しかし、学校として決断を下さなければならない場合があります。その場合には校長に判断が委ねられます。この場面は校長の仕事のなかで最も重要であるうちのひとつです。というのも、ここで判断を間違うと、生徒や保護者を傷つけたり、地域にご迷惑をかけたりすることに繋がるからです。また、教職員の信頼を失墜することになるかもしれません。
 校長になって7年になります。これまで何度も重大な決断を下さなければならない場面がありましたが、若い頃に厳しい時代を過ごした経験が少なからず役に立ちました。その時は確かに“しんどい”思いもしましたが、今となっては、この時の経験に感謝する思いです。
 校長に限らず、人は判断をしたり重大な決断を下す多くの場合、それまでの経験をその材料とします。『あの時、こうだったから…』上手くいったこともそうでなかったこともありますが、すべての経験が、今を生きる上で役に立っていると言えます。
 子どもや若い人たちには、できるだけ失敗をさせたくありません。しかし、失敗を恐れて経験する機会を奪っていくと成長することもできません。もって生まれた資質や能力には違いがあります。初めて出会う事象を難なく乗り越える人も居ます。また、経験したことをすぐに自分のキャリアに変えて成長していける人も居ます。これも資質です。経験したことは、その時の結果が良くも悪くも未来の糧になるはずです。
 結論を急ぎます。生徒諸君には思い切った行動をして、将来のために豊かな経験を積んでほしいと願っています。そして、先生方には生徒を信頼してそれをじっと見守ってやってほしいのです。見守られているという安心感と教師への信頼感があれば、生徒は思い切った行動はしますが、決して無茶はしません。

『南風、吹かせ!』〜Hot wind from Mukaijima〜

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「死んだらアカン!」
ストレスでもう生きていけそうにないです。…さすがにもう耐えられません。…学校生活も散々だったし、…噂流したりそれを信じたりいじめてきたやつら、自分でわかると思います。もう二度といじめたりしないでください。…家族へ、先立つ不孝を許してください。…みんなに迷惑かけるし、悲しむ人も居ないかもしれないくらい生きる価値本当にないし、綺麗な死に方すらできないけれど、楽しい時もありました。本当に13年間ありがとうございました。【30日京都新聞朝刊から】
 読み進めるのが苦しくなります。25日に青森市で列車に飛び込んで自殺したとされる中学2年女子生徒の遺書が公開されました。遺書はスマートフォンに保存されていたようです。前日には、19日に青森県東北町の中学1年男子生徒が自宅の小屋で首をつって自殺を図っていたことが報道されたばかりです。「いじめがなければもっと生きていた」との趣旨の記述、いじめに関わったとする生徒の名前もその書置きの中にあったそうです。
 このような形で子どもを失った親の気持ち、遺書や書置きを見つけた時の気持ち、それを知らされた学校関係者の気持ちを綴る言葉を見つけられません。
 毎年、長期休業が終わる頃に自殺者が急増するそうです。亡くなった生徒たちのことは全く知りません。もちろんこの子たちを救うことができるはずもありませんが、教育に関わる者の一人として『自分に何か出来ることはなかったのか!』と考えてしまいます。そう考えながら報道に触れている教育関係者は多いのではないでしょうか。
 『死んだ方がまし…』『死んだらきっと楽になる…』そう思うほど苦しかったのでしょう。でも、本当にほかに方法はなかったのでしょうか。しんどい気持ちを誰かに打ち明けて、相談に乗ってもらうことはできなかったのでしょうか。「学校がしんどいなら、学校に行く必要はないよ。」誰かに相談をしていたらきっとその人はそう言っていたと思います。そして、じっくりと時間をかけて話を聴き、解決への道を一緒に探ってくれるはずです。子どもたちの周りには、学校の先生を初めてとしてそんな人がきっとたくさんいるはずです。
 この文章を読んでいる人たちは、おそらく向島中学校や私の関係者だろうと思います。だから、声を大にして言います。
「命を大切にしてください。死んだら絶対にアカンって!」
 ひょっとしたら、学校の先生は『しんどいことから逃げるな!』『立ち向かえ!』なんて言うと思ってへんか。そんなこと全然ないからな。人生80年、長いんやで。きっとこの先、楽しいことかって一杯あるって。もし、『死にたい』と思っている人が居るとしたら、徹底的に話を聴くから誰かに相談して。君のこと、一生懸命考えるから。
 私たち先生を頼ってみてぇや。絶対、悪いようにせんから。

『南風、吹かせ!』〜Hot wind from Mukaijima〜

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「エネルギー源はコミュニケーション」
 金魚すくいにおやつの時間、そして最後の福引きと、子どもの頃は「地蔵盆」が楽しみでした。宗教的な側面もありますが、町内安全や子どもの健全育成を願う地域の行事として京都の町に定着しています。21日(日)は、朝6時からその準備に駆り出されました。テントを建て、ガレージに茣蓙(ござ)を敷き、お地蔵さんの祠(ほこら)やテントを紫白幕や提灯(ちょうちん)で飾ります。
 帰って朝食をとり、身支度を整えて学校へと向かう頃、普段は見かけない子どもたちが集まって遊んでいました。他の地域へ嫁いだ人たちが、この際に子どもを連れて帰ってきているのです。最近はあまり聞かれなくなってしまいましたが、地域に子どもの賑やかな声がするのは良いものです。学校へ向かう途中でも、各所で地蔵盆が行われているのを観ました。子どもを真ん中に置いて地域の大人たちが笑顔で話しています。きっと子どもたちの存在を認め、行為や行動を褒めているのでしょう。「地域の子どもは、地域で育てる」これは京都市教育のキャッチフレーズの一つですが、改めてその具体物を見つけたように思いました。
 私の子どもの時分から、地蔵盆が終われば夏休みは終わりです。さて、33日間の夏休みが終わり、学校に子どもたちが戻ってきました。夏休み中も部活動に来る子どもたちに会ってはきましたが、制服を着て体育館や教室に集う生徒の姿は、夏休み中とは大きく異なります。
『ああ、やっぱりちょっとしんどいなぁ〜!』私たち教師も人間です。夏休み最終日の夜、『さあ、明日から頑張るぞ!』という気持ちと同じくらいそんな気分がありました。でも、そんな気分を吹き飛ばしてくれたのは、やっぱり生徒たちでした。朝の校門であいさつを交わしながら『しんどいなぁ〜』がドンドン小さくなっていって『頑張るぞ!』が大きくなっていきました。笑顔で会話(挨拶を含む)を交わす効果を実感した瞬間でした。同時に『子どもたちも同じように感じてくれていたらいいのに…』と思ったりもしました。
 全校集会では、行事の多い2ndステージを充実したものにして、心身共に大きく成長してほしいということを強調しました。最後にはメジャーリーガーのイチローとプロテニスプレーヤーの錦織圭両選手を話題に取り上げました。2人に共通していることとして、「夢」「信念」「継続力」「曲がったことが嫌い」という4点を挙げました。そして、次のようにまとめました。
 皆さんにメジャーリーガーを目指せとか、五輪でメダルを獲得できるような人間に成れと言っているのではない。夢や信念をもち、正しいことを持続できる人になって欲しい。そうすれば、きっと素晴らしい人生が切り拓ける。
 私のメッセージから“ヤル気”を起こした生徒たちが居てくれることを期待します。

『南風、吹かせ!』〜Hot wind from Mukaijima〜

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「オリンピック選手から学ぶ」
 今日は16日。五山の送り火が行われる日です。ここ2〜3日は毎日のように強烈な夕立が降っています。今日の午後の天気予報は雨。送り火が行われるかどうかが心配です。私は、毎年この日に大文字山に登ります。今朝も登ってきました。3年前まではトレーニングのつもりで走って登ってたんですよ。2年前、教職員バレーボールの練習中にアキレス腱を痛め、それからウォーキングで登っています。それでもトレーニングの気持ちはもっており、家から1時間で大の字の交点まで行って帰ってきます。結構な速さです。登りで出会った人を下りで抜かすと決まって『えっ、もう行ってきはったの!?』という表情をされますが、これが快感になっています。
 また、今年もたくさんの知り合いに会いました。これも楽しみの一つです。近所の幼友達や教育委員会の関係者、退職校長や高校の先生、息子が世話になっている先生にも出会いました。その先生が小さなお子さんを連れて登っておられるのを観て、『早く孫と一緒に登りたいなあ』などと愉快に考えていたところです。
 さて、連日リオデジャネイロオリンピックが盛り上がっています。私も夢中でTVにかじりついて応援しています。時には夜中に起きてまで観ることもあって、少々寝不足気味になっています。
 日本は序盤に水泳、体操、柔道などで輝かしい成績を挙げました。特に内村航平選手の大逆転による個人総合の金メダルが印象に残っています。表彰式後にメダリストに対してインタビューが行われました。その時、ある外国人記者が内村選手に対して「あなたは審判から好かれていると思いますか?」というような質問をしました。その時、逆転され銀メダルとなった選手が次のようことを言いました。「それは無意味な質問だ。内村選手の演技は素晴らしいし、彼とメダル争いをできたことに感謝している。ジャッジは神聖なものだ。」この選手のスポーツマンシップに感動しました。
 また、柔道の金メダルを獲得できなかったメダリストの各選手が口々に「悔しい!」と言っていましたが、彼ら彼女らのこの大会にかけてきた思いの強さを感じました。しかし一方で、もう少し素直にメダル獲得に対して喜びを表現してもよかったのではないかとも思ったところです。
 錦織圭選手の銅メダル獲得にも心を動かされました。ここ何日かは卓球にはまっています。試合時間が短くルールが明快で、選手との距離感が近いことが、見る者を興奮させる原因ではないかと思っています。今晩もTVから離れられそうにありません。
 たかがオリンピック、されどオリンピックです。選手の一生懸命な戦いぶりに彼らの人生が観えます。それを自分の人生の糧とし、子どもたちに伝えて教育に活かしていきたいと思います。頑張れ、オリンピックの選手たち!

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「人の中で生きる」
 今日は「山の日」、今年新たにできた国民の祝日です。「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」ことを目的として平成26年に制定され、今年施行されたということです。さて、夏休みもあと2週間になりましたが、この1週間は生徒・教職員の皆さんも家族や地域の方々と共に過ごしてください。私の場合は、既に家庭や地域で多くの予定が入っていて、のんびり過ごすことはできそうにもありません。
 7月30日・31日の土・日に、父が外泊ということで一時帰宅してきました。家庭生活に対する意欲を高めることが目的で、医師とも相談の上のことです。命の心配をしたにも拘らず、ここまで回復させていただいたことに、感謝の気持ちを感じると共に医学の力に驚いてもいます。しかし、4か月の入院生活は、随分と父の体力を奪いました。世の中には、老人を介護しながら働いている人たちが多くおられるということを知ってはいましたが、その大変さを少しは知ることができたように思います。
 例年お盆に行っている親戚が集まっての会食もこの時に行いました。恒例の最後のスピーチでは父らしい力強い言葉を聞くこともできました。
「皆さんのおかげで、こうしてまた一緒に食事をすることができて大変うれしく感じています。一日も早く元気になって、元通りの生活ができるように頑張ります。せっかく生き延びたのだから、東京オリンピックを観に行くことを目標にリハビリにも頑張ります。」そんな内容でした。テーブルに手をついてはいましたが、最後まで立って話しました。聴いている者の目は真っ赤でした。
 31日の夕方、私と息子とで父を銭湯に連れて行きました。180センチを超える大男が二人でヨボヨボの老人を抱えて浴場に入っていくと、先に入浴していた人たちの視線が一気に集まりました。『なんで、そんな人を連れてくるんやな!』と迷惑そうな目もありました。骨と皮だけになってしまった父の身体を頭の先から足の指の間まで洗います。その間、息子が父の身体を支えます。ついこの間まで息子の体を洗っていたのに、父を風呂に入れていることに時の流れと世代交代について考える機会になりました。また、汗をかきながら父の身体を支え、優しく声を掛けて父の身体に湯をかける息子を誇りにも思いました。そのような光景を観ておられたからでしょうか。浴場内の雰囲気に変化が表れてきました。「この湯船の方が湯がぬるいし、こっちに入れたげたらええわ」「脱衣場の奥の方はクーラーの風が来ないので、そこで着替えさせてあげて」全く知らない人たちが親切にして下さいました。有難いことでした。
 介護老人(本人に聞かせたら怒るかもしれませんが…)を抱えて、「私たちは人の中で生きている」という意識を強く感じています。この文章を綴っているのは、そのことを中学生にも知ってほしいからです。家族と過ごす時間を大切にしてください。

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「努力は報われる」
 おめでとう!すごいやないか。金賞獲得だけでも「よくやった!」と言いたいところなのに、何と関西大会出場という大金星を挙げるとは。
 昨日の第53回京都府吹奏楽コンクールでの快挙です。午後7時05分、校区の小学校の校長先生方と食事をしているところへ顧問の先生から電話が入りました。「金賞獲得と和歌山での関西大会に出場することができました。」早速、校長先生方にも伝えました。私たちの席で拍手と歓声が起こり、周りの人たちは何事かと思ったことでしょう。また、今朝には地域の方からお祝いの電話を頂きました。「いつも地域の皆様方に応援して頂いているお陰です。こちらこそ有難うございます。」そうこたえました。地域のイベントにもよく参加する吹奏楽部は、地域の皆様から愛されてもいます。偽らざる気持ちです。
 小太鼓のソロから曲は始まりました。息を吸い込む際に出た小さな音が小太鼓のソロに重なりました。「アッ、やばっ!」メンバー全員の心に同時に湧き上がった感情が見えたようでした。そのことが緊張感をあおり、序盤は堅いイメージで進行しました。『リラックスやで。落ち着いて!』そう思いながら聴きました。やがてメンバーの身体がリズムに合わせて動き出します。トロンボーンが大きく動きます。トランペットがクラリネットがスイングを始めました。パーカッションが気持ちよさそうに音を刻みます。いつもの向島の演奏になってきました。会場を見ると、演奏に合わせて頭や体が動き始めています。観客にも音楽が伝わり始めました。
 後半に入ります。練習からよく聞いていた場面です。「ここからテンポをもっとあげるで!」直前に先生が演出を加えた場面からノリに乗ってきました。舞台と会場とが一体になります。『ええぞーっ、最後までこの調子でいけーっ!」抜群の緊張感とスイングの心地よさと力強い音量が最後まで続きました。
 演奏を終えた子どもたちが出てきます。満足そうな表情です。目を真っ赤にしている子たちも多くいます。相当の緊張感で演奏していたことが分かります。やり切った充実感に満たされていることも十分に伝わってきました。
 先輩の厳しい指導にしょっちゅう泣いていた子がいます。コンクール直前になって「辞めたい」と言い出した子がいたとも聞きました。部活動と勉強の両立が上手くいかず泣いた子もいます。友達や先輩後輩との関係で“しんどい”思いをした人のことは何度も聞いてきました。そんな経験がこの瞬間へとつながっていたのです。そのどれもがこの素晴らしい瞬間を生み出す重要なファクターだったということです。
 関西大会でも金賞を獲得し、全国大会へ進んでほしいものです。君たちは、努力は報われるということを証明しました。心から「おめでとう!」と言わせてください。

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学校行事
10/6 学習発表会
10/7 音楽コンクール
京都市立向島中学校
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