京都市立学校・幼稚園
最新更新日:2019/03/29
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豊かな人間性の育成をめざし 互いの人権を尊重し合い「若き日に心を磨き」「若き日に身体を鍛え」「若き日に知識を広め」「若き日に友と交わり」 未来の糧を創ろう!         歩む道に迷いなし。このまま,まっすぐに・・・         3月29日(金) 離任式

『南風、吹かせ!』〜Hot wind from mukaijima〜

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「経験が判断材料になる」
 毎朝5時30分には愛犬檸檬(れもん)の散歩に出ます。帰宅時もそうですが、近頃では草むらから虫の声が聞こえます。また、同じ時刻なのにいつの間にか以前ほど明るくなくなりました。日中はまだまだ暑いですが、確実に秋が近づいてきていることを実感します。
 さて、学校では毎日色々なことが起こります。嬉しいことや楽しいこと、感動的なことばかりではありません。生徒同士のトラブルはよく起こります。解決に向けて、保護者の方と話をしなければならないことも多いです。生徒に危険が及ぶようなことや、場合によっては命の危険が伴うような事件も起こり、教師はその都度そのような事象に対応します。
 ほとんどの事件や事故、トラブルの解消に向けての動きは、学年や係りの先生の判断で動き、校長である私や教頭へは、方針や経過、結果が連絡・報告されるのが普通です。それでよいと思っていますし、そもそも、年度初めに教職員を信頼して各ポジションに配置しているのですから、各人が自覚と責任をもって判断し行動することに対して、先ずはじっと見守るべきであると思っています。
 しかし、学校として決断を下さなければならない場合があります。その場合には校長に判断が委ねられます。この場面は校長の仕事のなかで最も重要であるうちのひとつです。というのも、ここで判断を間違うと、生徒や保護者を傷つけたり、地域にご迷惑をかけたりすることに繋がるからです。また、教職員の信頼を失墜することになるかもしれません。
 校長になって7年になります。これまで何度も重大な決断を下さなければならない場面がありましたが、若い頃に厳しい時代を過ごした経験が少なからず役に立ちました。その時は確かに“しんどい”思いもしましたが、今となっては、この時の経験に感謝する思いです。
 校長に限らず、人は判断をしたり重大な決断を下す多くの場合、それまでの経験をその材料とします。『あの時、こうだったから…』上手くいったこともそうでなかったこともありますが、すべての経験が、今を生きる上で役に立っていると言えます。
 子どもや若い人たちには、できるだけ失敗をさせたくありません。しかし、失敗を恐れて経験する機会を奪っていくと成長することもできません。もって生まれた資質や能力には違いがあります。初めて出会う事象を難なく乗り越える人も居ます。また、経験したことをすぐに自分のキャリアに変えて成長していける人も居ます。これも資質です。経験したことは、その時の結果が良くも悪くも未来の糧になるはずです。
 結論を急ぎます。生徒諸君には思い切った行動をして、将来のために豊かな経験を積んでほしいと願っています。そして、先生方には生徒を信頼してそれをじっと見守ってやってほしいのです。見守られているという安心感と教師への信頼感があれば、生徒は思い切った行動はしますが、決して無茶はしません。

『南風、吹かせ!』〜Hot wind from Mukaijima〜

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「死んだらアカン!」
ストレスでもう生きていけそうにないです。…さすがにもう耐えられません。…学校生活も散々だったし、…噂流したりそれを信じたりいじめてきたやつら、自分でわかると思います。もう二度といじめたりしないでください。…家族へ、先立つ不孝を許してください。…みんなに迷惑かけるし、悲しむ人も居ないかもしれないくらい生きる価値本当にないし、綺麗な死に方すらできないけれど、楽しい時もありました。本当に13年間ありがとうございました。【30日京都新聞朝刊から】
 読み進めるのが苦しくなります。25日に青森市で列車に飛び込んで自殺したとされる中学2年女子生徒の遺書が公開されました。遺書はスマートフォンに保存されていたようです。前日には、19日に青森県東北町の中学1年男子生徒が自宅の小屋で首をつって自殺を図っていたことが報道されたばかりです。「いじめがなければもっと生きていた」との趣旨の記述、いじめに関わったとする生徒の名前もその書置きの中にあったそうです。
 このような形で子どもを失った親の気持ち、遺書や書置きを見つけた時の気持ち、それを知らされた学校関係者の気持ちを綴る言葉を見つけられません。
 毎年、長期休業が終わる頃に自殺者が急増するそうです。亡くなった生徒たちのことは全く知りません。もちろんこの子たちを救うことができるはずもありませんが、教育に関わる者の一人として『自分に何か出来ることはなかったのか!』と考えてしまいます。そう考えながら報道に触れている教育関係者は多いのではないでしょうか。
 『死んだ方がまし…』『死んだらきっと楽になる…』そう思うほど苦しかったのでしょう。でも、本当にほかに方法はなかったのでしょうか。しんどい気持ちを誰かに打ち明けて、相談に乗ってもらうことはできなかったのでしょうか。「学校がしんどいなら、学校に行く必要はないよ。」誰かに相談をしていたらきっとその人はそう言っていたと思います。そして、じっくりと時間をかけて話を聴き、解決への道を一緒に探ってくれるはずです。子どもたちの周りには、学校の先生を初めてとしてそんな人がきっとたくさんいるはずです。
 この文章を読んでいる人たちは、おそらく向島中学校や私の関係者だろうと思います。だから、声を大にして言います。
「命を大切にしてください。死んだら絶対にアカンって!」
 ひょっとしたら、学校の先生は『しんどいことから逃げるな!』『立ち向かえ!』なんて言うと思ってへんか。そんなこと全然ないからな。人生80年、長いんやで。きっとこの先、楽しいことかって一杯あるって。もし、『死にたい』と思っている人が居るとしたら、徹底的に話を聴くから誰かに相談して。君のこと、一生懸命考えるから。
 私たち先生を頼ってみてぇや。絶対、悪いようにせんから。

『南風、吹かせ!』〜Hot wind from Mukaijima〜

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「エネルギー源はコミュニケーション」
 金魚すくいにおやつの時間、そして最後の福引きと、子どもの頃は「地蔵盆」が楽しみでした。宗教的な側面もありますが、町内安全や子どもの健全育成を願う地域の行事として京都の町に定着しています。21日(日)は、朝6時からその準備に駆り出されました。テントを建て、ガレージに茣蓙(ござ)を敷き、お地蔵さんの祠(ほこら)やテントを紫白幕や提灯(ちょうちん)で飾ります。
 帰って朝食をとり、身支度を整えて学校へと向かう頃、普段は見かけない子どもたちが集まって遊んでいました。他の地域へ嫁いだ人たちが、この際に子どもを連れて帰ってきているのです。最近はあまり聞かれなくなってしまいましたが、地域に子どもの賑やかな声がするのは良いものです。学校へ向かう途中でも、各所で地蔵盆が行われているのを観ました。子どもを真ん中に置いて地域の大人たちが笑顔で話しています。きっと子どもたちの存在を認め、行為や行動を褒めているのでしょう。「地域の子どもは、地域で育てる」これは京都市教育のキャッチフレーズの一つですが、改めてその具体物を見つけたように思いました。
 私の子どもの時分から、地蔵盆が終われば夏休みは終わりです。さて、33日間の夏休みが終わり、学校に子どもたちが戻ってきました。夏休み中も部活動に来る子どもたちに会ってはきましたが、制服を着て体育館や教室に集う生徒の姿は、夏休み中とは大きく異なります。
『ああ、やっぱりちょっとしんどいなぁ〜!』私たち教師も人間です。夏休み最終日の夜、『さあ、明日から頑張るぞ!』という気持ちと同じくらいそんな気分がありました。でも、そんな気分を吹き飛ばしてくれたのは、やっぱり生徒たちでした。朝の校門であいさつを交わしながら『しんどいなぁ〜』がドンドン小さくなっていって『頑張るぞ!』が大きくなっていきました。笑顔で会話(挨拶を含む)を交わす効果を実感した瞬間でした。同時に『子どもたちも同じように感じてくれていたらいいのに…』と思ったりもしました。
 全校集会では、行事の多い2ndステージを充実したものにして、心身共に大きく成長してほしいということを強調しました。最後にはメジャーリーガーのイチローとプロテニスプレーヤーの錦織圭両選手を話題に取り上げました。2人に共通していることとして、「夢」「信念」「継続力」「曲がったことが嫌い」という4点を挙げました。そして、次のようにまとめました。
 皆さんにメジャーリーガーを目指せとか、五輪でメダルを獲得できるような人間に成れと言っているのではない。夢や信念をもち、正しいことを持続できる人になって欲しい。そうすれば、きっと素晴らしい人生が切り拓ける。
 私のメッセージから“ヤル気”を起こした生徒たちが居てくれることを期待します。

『南風、吹かせ!』〜Hot wind from Mukaijima〜

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「オリンピック選手から学ぶ」
 今日は16日。五山の送り火が行われる日です。ここ2〜3日は毎日のように強烈な夕立が降っています。今日の午後の天気予報は雨。送り火が行われるかどうかが心配です。私は、毎年この日に大文字山に登ります。今朝も登ってきました。3年前まではトレーニングのつもりで走って登ってたんですよ。2年前、教職員バレーボールの練習中にアキレス腱を痛め、それからウォーキングで登っています。それでもトレーニングの気持ちはもっており、家から1時間で大の字の交点まで行って帰ってきます。結構な速さです。登りで出会った人を下りで抜かすと決まって『えっ、もう行ってきはったの!?』という表情をされますが、これが快感になっています。
 また、今年もたくさんの知り合いに会いました。これも楽しみの一つです。近所の幼友達や教育委員会の関係者、退職校長や高校の先生、息子が世話になっている先生にも出会いました。その先生が小さなお子さんを連れて登っておられるのを観て、『早く孫と一緒に登りたいなあ』などと愉快に考えていたところです。
 さて、連日リオデジャネイロオリンピックが盛り上がっています。私も夢中でTVにかじりついて応援しています。時には夜中に起きてまで観ることもあって、少々寝不足気味になっています。
 日本は序盤に水泳、体操、柔道などで輝かしい成績を挙げました。特に内村航平選手の大逆転による個人総合の金メダルが印象に残っています。表彰式後にメダリストに対してインタビューが行われました。その時、ある外国人記者が内村選手に対して「あなたは審判から好かれていると思いますか?」というような質問をしました。その時、逆転され銀メダルとなった選手が次のようことを言いました。「それは無意味な質問だ。内村選手の演技は素晴らしいし、彼とメダル争いをできたことに感謝している。ジャッジは神聖なものだ。」この選手のスポーツマンシップに感動しました。
 また、柔道の金メダルを獲得できなかったメダリストの各選手が口々に「悔しい!」と言っていましたが、彼ら彼女らのこの大会にかけてきた思いの強さを感じました。しかし一方で、もう少し素直にメダル獲得に対して喜びを表現してもよかったのではないかとも思ったところです。
 錦織圭選手の銅メダル獲得にも心を動かされました。ここ何日かは卓球にはまっています。試合時間が短くルールが明快で、選手との距離感が近いことが、見る者を興奮させる原因ではないかと思っています。今晩もTVから離れられそうにありません。
 たかがオリンピック、されどオリンピックです。選手の一生懸命な戦いぶりに彼らの人生が観えます。それを自分の人生の糧とし、子どもたちに伝えて教育に活かしていきたいと思います。頑張れ、オリンピックの選手たち!

『南風、吹かせ!』〜Hot wind from Mukaijima〜

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「人の中で生きる」
 今日は「山の日」、今年新たにできた国民の祝日です。「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」ことを目的として平成26年に制定され、今年施行されたということです。さて、夏休みもあと2週間になりましたが、この1週間は生徒・教職員の皆さんも家族や地域の方々と共に過ごしてください。私の場合は、既に家庭や地域で多くの予定が入っていて、のんびり過ごすことはできそうにもありません。
 7月30日・31日の土・日に、父が外泊ということで一時帰宅してきました。家庭生活に対する意欲を高めることが目的で、医師とも相談の上のことです。命の心配をしたにも拘らず、ここまで回復させていただいたことに、感謝の気持ちを感じると共に医学の力に驚いてもいます。しかし、4か月の入院生活は、随分と父の体力を奪いました。世の中には、老人を介護しながら働いている人たちが多くおられるということを知ってはいましたが、その大変さを少しは知ることができたように思います。
 例年お盆に行っている親戚が集まっての会食もこの時に行いました。恒例の最後のスピーチでは父らしい力強い言葉を聞くこともできました。
「皆さんのおかげで、こうしてまた一緒に食事をすることができて大変うれしく感じています。一日も早く元気になって、元通りの生活ができるように頑張ります。せっかく生き延びたのだから、東京オリンピックを観に行くことを目標にリハビリにも頑張ります。」そんな内容でした。テーブルに手をついてはいましたが、最後まで立って話しました。聴いている者の目は真っ赤でした。
 31日の夕方、私と息子とで父を銭湯に連れて行きました。180センチを超える大男が二人でヨボヨボの老人を抱えて浴場に入っていくと、先に入浴していた人たちの視線が一気に集まりました。『なんで、そんな人を連れてくるんやな!』と迷惑そうな目もありました。骨と皮だけになってしまった父の身体を頭の先から足の指の間まで洗います。その間、息子が父の身体を支えます。ついこの間まで息子の体を洗っていたのに、父を風呂に入れていることに時の流れと世代交代について考える機会になりました。また、汗をかきながら父の身体を支え、優しく声を掛けて父の身体に湯をかける息子を誇りにも思いました。そのような光景を観ておられたからでしょうか。浴場内の雰囲気に変化が表れてきました。「この湯船の方が湯がぬるいし、こっちに入れたげたらええわ」「脱衣場の奥の方はクーラーの風が来ないので、そこで着替えさせてあげて」全く知らない人たちが親切にして下さいました。有難いことでした。
 介護老人(本人に聞かせたら怒るかもしれませんが…)を抱えて、「私たちは人の中で生きている」という意識を強く感じています。この文章を綴っているのは、そのことを中学生にも知ってほしいからです。家族と過ごす時間を大切にしてください。

『南風、吹かせ!』〜Hot wind from Mukaijima〜

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「努力は報われる」
 おめでとう!すごいやないか。金賞獲得だけでも「よくやった!」と言いたいところなのに、何と関西大会出場という大金星を挙げるとは。
 昨日の第53回京都府吹奏楽コンクールでの快挙です。午後7時05分、校区の小学校の校長先生方と食事をしているところへ顧問の先生から電話が入りました。「金賞獲得と和歌山での関西大会に出場することができました。」早速、校長先生方にも伝えました。私たちの席で拍手と歓声が起こり、周りの人たちは何事かと思ったことでしょう。また、今朝には地域の方からお祝いの電話を頂きました。「いつも地域の皆様方に応援して頂いているお陰です。こちらこそ有難うございます。」そうこたえました。地域のイベントにもよく参加する吹奏楽部は、地域の皆様から愛されてもいます。偽らざる気持ちです。
 小太鼓のソロから曲は始まりました。息を吸い込む際に出た小さな音が小太鼓のソロに重なりました。「アッ、やばっ!」メンバー全員の心に同時に湧き上がった感情が見えたようでした。そのことが緊張感をあおり、序盤は堅いイメージで進行しました。『リラックスやで。落ち着いて!』そう思いながら聴きました。やがてメンバーの身体がリズムに合わせて動き出します。トロンボーンが大きく動きます。トランペットがクラリネットがスイングを始めました。パーカッションが気持ちよさそうに音を刻みます。いつもの向島の演奏になってきました。会場を見ると、演奏に合わせて頭や体が動き始めています。観客にも音楽が伝わり始めました。
 後半に入ります。練習からよく聞いていた場面です。「ここからテンポをもっとあげるで!」直前に先生が演出を加えた場面からノリに乗ってきました。舞台と会場とが一体になります。『ええぞーっ、最後までこの調子でいけーっ!」抜群の緊張感とスイングの心地よさと力強い音量が最後まで続きました。
 演奏を終えた子どもたちが出てきます。満足そうな表情です。目を真っ赤にしている子たちも多くいます。相当の緊張感で演奏していたことが分かります。やり切った充実感に満たされていることも十分に伝わってきました。
 先輩の厳しい指導にしょっちゅう泣いていた子がいます。コンクール直前になって「辞めたい」と言い出した子がいたとも聞きました。部活動と勉強の両立が上手くいかず泣いた子もいます。友達や先輩後輩との関係で“しんどい”思いをした人のことは何度も聞いてきました。そんな経験がこの瞬間へとつながっていたのです。そのどれもがこの素晴らしい瞬間を生み出す重要なファクターだったということです。
 関西大会でも金賞を獲得し、全国大会へ進んでほしいものです。君たちは、努力は報われるということを証明しました。心から「おめでとう!」と言わせてください。

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「熱い涙」
 26日、神奈川県相模原市の障がい者施設で起こった殺傷事件には強い衝撃を受けました。近所の人によれば、容疑者は礼儀正しく人当たりの良い青年だったと言います。事件後度々、彼が移送される様子がTVで放映されていますが、不敵な恐ろしい程の笑いを浮かべ、正気ではないような様子が見てとれます。一体なぜ、何がきっかけで彼の人格は変わったのでしょう。徐々に明らかになるのでしょうが、容疑者に起きた事実を知る必要があるように思います。
 さて、夏休みに入って1週間が経ちました。本当にあっという間でした。この間の強く心に残っていることを幾つか記しておきたいと思います。
 先ずは24日。女子テニス部の団体戦。敗色濃厚となった時です。私の隣の3年生がシクシクと泣き出しました。「君らの部活動もこれで終わりやな」そう声をかけると、シクシクは更に大きくなって隣の生徒へと伝播していきました。最後の試合、彼女らはメンバーから外れて応援に回っていたのです。この涙の訳は深いです。感慨・悔しさ・安堵・寂しさ・充実感等が入り混じった涙だったのでしょう。美しい涙でした。
 2つ目は22日。バレー部のベスト8をかけた戦いです。力は相手が上だったと思います。チャレンジャーとして序盤から思い切って攻めました。それが上手くいきます。何度も序盤に失点を重ねる試合を観てきましたが、この一戦は序盤にリードしました。『こんな戦いができるのなら、もっと楽に勝てた試合があったのに…』いつもベンチで腕組みをしながら見守っている顧問の先生が興奮してコート付近まで躍り出て選手を激励するシーンもよかったです。最後にあのプレーが観られてよかった。
 3つ目は25日。テニスの表彰式です。前任校の男子テニス部のキャプテンに3位の賞状を渡し、講評を終えて閉会式を終えました。すると、3年生全員が私の前に集合し、コメントを求めます。「君たちが心身ともに逞しく育った姿を観られて、こんなに嬉しいことはない。府大会でも大いに頑張れ!」そんなことを言ったと思います。私へと真っ直ぐに注がれた子どもたちの目から涙が溢れていました。
 野球部、男女のバスケットボール部、サッカー部、バレー部、卓球部に男女のテニス部、本当にたくさんの最後の戦いを終えた後の涙を観ました。しかし、その時には掛ける言葉が見つかりませんでした。いえ、下手に声など掛けてはいけないのだと思いました。その場は選手と顧問の先生とだけの大切な時間です。暑い日も寒い日も、雨の日も風の日も、叱られたり褒められたり、感謝したり文句を言ったりしてきたけれど、長い時間を共有してきた者たちにしか分からない大事な大事な時間だからです。
 既に校長室の窓外では新チームでの熱い練習が始まっています。一年後、また熱い涙が見られると思います。教師の仕事って、なんて素晴らしいのでしょう!

『南風、吹かせ!』〜Hot wind from Mukaijima〜

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「熱く戦い続けろ!」
 「この一球は絶対無二の一球なり されば 心身あげて一打すべし この一球一打に 技を磨き 体力を鍛え 精神力を養うべきなり この一打に 今の自己を発揮すべし これを庭球する心という」
 1stステージ最後の日の全校集会で生徒に紹介した詩です。実は数日前、葉書にこの詩を書いて前任校でテニスを教えていた男子部のキャプテンに送りました。
 前任校ではその一年、テニス部の顧問の持ち手が調整できず、校長である私が男子部を指導しました。十分なことはできませんでしたが、それでも「何のために部活動をするのか」「どんな部にならなければならないのか」については繰り返し説いてきました。ラケットの握り方から教えた、当時1年生だったその子たちが最後の大会を迎えますので、本校生徒にと同様に詩を贈ったわけです。
 校長先生、熱いです。お手紙ありがとうございます。ブロック予選が終わってからお手紙を出そうと思っていたのですが、もう一度決意表明をさせて頂こうと思います。
「この一球は絶対無二の一球なり されば、心身あげて一打すべし …略…」
このことを校長先生からの伝言、アドバイスとしてみんなに言いました。やはり、一球に魂を込めないといけません。みんな、今死ぬ気でボールに食らいつき、「今」という時間を噛みしめています。心技体のすべてを僕たちは身に付けたのではないでしょうか。ブロック予選は通過点です。ビビらずに強気で挑みます。僕たちならできます。今まで教わってきたすべてのことを整理し、試合で実力が十分に発揮できるようにします。校長先生から賞状がもらいたくてたまりません。僕たちで掴み取ります。
 待っていてください。大事なのは声ですよね。精一杯大きな声を出して臨みます。僕たちのプライドが刻み込まれた日本一カッコイイユニフォームを着て、思い切り頑張りますので見ていてください。僕たちの有志を。        (一部改編)
 彼はブロック予選大会で優勝し、明日(24日)の個人戦全市大会へ臨みます。
 21日の団体戦では、チームがベスト4に入って府大会の出場権を得ました。これで、25日の閉会式では、確実に私の手から彼に賞状を渡すことができます。
 うちのバレー部が、ベスト8に手が届かず敗退しました。やはり8の壁は高かったです。でも、今までで一番内容の良い試合を見せてもらったように思います。全員が挑戦者として全力で試合に挑み、躍動していました。試合後、たくさんの涙の顔を見ましたが、『出来ることは十分にやり切った!』と晴れ晴れとした表情もありました。
 熱い戦いはまだまだ続きます。それぞれの試合に様々な背景があります。バレー部のあの戦いの裏にも、顧問の先生や保護者の方との私の知りえない様々なドラマがあったことでしょう。引退を迎えた選手諸君、気持ちはもう吹っ切れたかい。
 君たちが一生懸命に取り組んできたことに間違いはありません。お疲れ様でした。

『南風、吹かせ!』〜Hot wind from Mukaijima〜

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「家族との時間」
 小春・春美・奈々子・菜月・さくら、ここまでが春、鮎美が初夏で、なつみは盛夏、美月は秋を思わせます。(生年月日まで確認していないので、違っていたらごめんなさいね。)1年生の名簿から拾いました。近頃、キラキラネームが増えてきて、男女ともに読みづらい名前の生徒が多いですが、この子たちのは分かり易いです。キラキラネームは、聞くと納得しますが自力で読むのは難しく、特に賞状を渡す際などは、必ずルビをつけた付箋を貼ってもらうようにしています。いずれにしても、名前には親の期待と思いの大きさを感じます。
 1年生の入学から早4か月、季節も変わり、なつみちゃんの夏本番です。そして、もうすぐ夏休みです。
 生徒の皆さんは既に夏休みの計画を立てましたか。1・2年生は部活動中心の夏になるのでしょうね。3年生は勉強中心の夏休みを過ごすことになるでしょう。高校の体験入学などに参加する人もいると思います。ドシドシ積極的に行ってきてください。
 一方で、家族と一緒に時間を過ごすことも大切にしてほしいと思います。部活動や塾通い、習い事やクラブチームでのスポーツも盛んです。今の中学生は、普段みなさんとても多忙です。せめて夏休みに意識して家族と共に過ごす時間を作ってみてください。きっと家族の暖かさや有難さに気付く場面があると思います。
 5月24日付の『南風、吹かせ!』に父の入院のことを書きました。あれから約2か月が経過しました。一時はアメリカ留学中の息子を呼び戻したほど病状が悪化したこともありましたが、現在の父は退院へ向けてリハビリに励んでいる状況です。
 6月の“父の日”にはオークリーのキャップとTシャツをプレゼントしました。「これを着てウォーキングするのを目標にして!」息子たちがそう言って渡し、その日から病室の壁に掛けてあります。『本当に、そんな日が来ればいいのに…!』当時はそう思っていたのですが、この調子だと実現するのではないかと思うほどの回復ぶりです。
 前回も「気力が大事だ」ということを書きましたが、父のこの回復力の源は間違いなく“気力”です。最近では父らしいことばが聞かれるようにもなってきました。
「このままやったら、死ぬまでここに居んならん。お前たち家族に迷惑をかけることにはなると思うけども、家へ帰って生活しなアカンわ!」「近所の人らともいろんな話をして刺激を貰わなどんどんボケてしまう。」「家族に世話になったさかいお礼をせんならん。皆でごちそうを食べに行こ!ビールも飲みたい。」「家に帰ったら、先ずは銭湯に連れて行ってくれ!」「毎日、哲学の道を散歩するで!」
 子どもの頃は父が忙しく、父が暇になってからは私が忙しくなって、父と2人で過ごす時間はあまりありませんでした。今年の私の夏休みは、生涯で一番父と過ごす時間が多くなりそうです。いえ、今はそうなってほしいと心から願っています。

『南風、吹かせ!』〜Hot wind from Mukaijima〜

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「初心忘るべからず」
 拝啓 梅雨明けの待たれる毎日ですが、向島中学校の皆様にはいかがお過ごしでしょうか。私は教員採用試験に向け、勉強を頑張っております。
 まずは、三週間にわたり教育実習の機会を与えていただきましてありがとうございました。そして、校長先生、教頭先生、実習担当の太田先生、教科指導担当の中井先生はじめ皆様に大変お世話になりました。おかげさまで、無事実習を終えさせていただきましたこと、感謝申し上げます。
 実習では、本当に多くのことを学び、それと同時に多くの反省がありました。自分には、教師になる上で必要な部分がまだまだ足りていないということを痛感しました。本当に反省ばかりの三週間でしたが、そんな中で、授業や休憩時間、部活動を通じて多くの生徒たちと触れ合い、生徒たちから学ぶことも沢山ありました。特に、入らせていただいた三年四組では、暖かく迎え入れ、暖かく送り出してくれました。最終日の終学活では、黒板に大きく「先生ありがとう」の文字、クラスの皆と撮った写真、一人ひとりからのメッセージカードを受け取り、号泣してしまいました。
 多くの学びや反省、そして教師としての喜びなど、本当に様々な経験をさせて頂けたこの実習は、私にとって一生の宝物となりました。
 向島中学校で実習させていただいたことで、教師になりたいという気持ちはますます高まりました。先生方のご厚意や実習の教訓を生かし、これからも頑張っていきたいと思います。本当に有難うございました。
 皆様のご健康と向島中学校の発展をお祈り申し上げます。   敬具
 教育実習生からお礼の手紙が届いています。その中から、皆さんに紹介したいものを拾い、少々長いけれども全文を掲載することにしました。彼が3週間で様々な経験をしたことが読みとれます。『しんどい』『悔しい』と悩み、『自分は教師に向いているのか?』と自問自答する姿が見えてきます。一方で、感動と喜びに『教師になるぞ!』と意気込む様子も想像できます。思えば、私たちもこの経験を経て今日まできました。
 教育実習の思い出は、私にとっても礎になっています。「この指導案で、一体何を教えるつもりなんや!?」担当の先生にそう言って厳しく指導された仲間が、その後泣いて泣いて、皆で長いこと慰めたことも今思い出しました。
 教師という職業は、「楽しい」けれど、決して「楽」ではないと思います。時間も不規則で、手当なしの超過勤務は常態化しています。土曜日・日曜日も部活動です。相手が人間なだけに関係が上手くいかずストレスの溜まることも少なくありません。でも、感動して泣ける職業って、そうはないとも思うのです。
「なぜ、教師になったのですか。」「どんな教師になりたいのですか。」今一度、スタート地点に戻って自分自身を見つめ直してみるのもよいのではないでしょうか。

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