京都市立学校・幼稚園
最新更新日:2024/04/27
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風かおる 古き都 雲渡る比叡の峰は 千年の歴史を伝え 安らかに学び舎いだく 真理にいたる道遠くとも そびえ立つ山路たどらん 力強く あすに巣立ち 新しき時代をつくる われらの下鴨中学校

人権週間にちなんでもう一つ。

 下の文章は,今から約2500年前の中国春秋時代の思想家である孔子の言葉を集めた「論語」の一節です。

【論語 衛靈公第十五412】
        
 「子貢(しこう)問うて日(いわ)く,一言にして以て身を終うるまで之(これ)を行うべき者有りや。
   
 子(し=孔子)日(いわ)く,其れ恕(じょ)か。己の欲せざる所は,人に施すこと勿(なか)れ。」

 現代語訳は、だいたい次のようなものです。
 
 子貢(しこう=孔子の弟子)が先生の孔子(こうし)に聞きました。
 「先生から教えていただく一字を生涯守り通せば,人としての道をあやまたずに生き通せる言葉はありますか?お教えください。
 孔子が答えました。
 その字は「恕(じょ)」です。「恕」とは優しさ,思いやりです。そして,自分がして欲しくないことは他人にもしないことです。」と。
 
 最後の「己の欲せざる所は,人に施すこと勿れ。」は3年生の教科書にも載ったことがあります。
 人を傷つけないためには,相手の気持や立場に立って考えることが大切だと言いますが,この「自分がされて嫌なことは誰にもしない」ということこそ,相手の気持や立場に立った考えや行動の基本と言えるでしょう。気持ちや心は目には見えませんが,見えないからこそ慎重に推し量り大切に考えなくてはならないものです。そして,自分の気持ちをもとに相手の気持ちを察することができるということは,心の次元で優劣がなく,自他共に等質であり繋がっているとも言うことができるのです。だからこそ誰もがあきらめずに努力すれば,差別をなくすことも可能だと思います。
 まさにこれは人権尊重を端的に表現した一文と言えるでしょう。そして,その基盤となるものが「恕」であり,「恕」を体現して生きることが人として過たず人生を送ることができるとも言っています。
 さて,中学生の皆さんはどう思いますか?
 
 私たちはこの「恕の心」をもって,先ず,下鴨中学校から人権尊重の学校をつくり,みんなが互いを認め合い,共生の世の中を目指していきましょう。

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人権週間〜12月は人権月間〜

 国際連合は,1948年(昭和23年)12月10日の第3回総会において,第二次世界大戦の反省をもとに,世界における自由,正義及び平和の基礎である基本的人権を確保するため,全ての人民と全ての国とが達成すべき共通の基準として,世界人権宣言を採択したのに続き,1950年(昭和25年)12月4日の第5回総会においては,世界人権宣言が採択された日である12月10日を「人権デー」と定め,全ての加盟国及び関係機関が,この日を祝賀する日として,人権活動を推進するための諸行事を行うよう,要請する決議を採択しました。

 我が国においては,同宣言が採択されたことを記念して,1949年(昭和24年)から毎年12月10日を最終日とする1週間(12月4日から同月10日まで)を,「人権週間」と定めており,その期間中,世界人権宣言の趣旨及びその重要性を広く国民に訴えかけるとともに,人権尊重思想の普及高揚を図るため,全国各地において集中的な啓発活動を行っています。「思いやりの心」や「かけがえのない命」について,この機会にもう1度考えてみませんか?

 平成29年度の「第69回人権週間」では,啓発活動重点目標「みんなで築こう 人権の世紀 〜考えよう 相手の気持ち 未来へつなげよう 違いを認め合う心〜」を始め,17の強調事項を掲げ,啓発活動を展開することとしています。

平成29年度啓発活動強調事項
強調事項 17項目
( 1) 女性の人権を守ろう
( 2) 子どもの人権を守ろう
( 3) 高齢者の人権を守ろう
( 4) 障害を理由とする偏見や差別をなくそう
( 5) 同和問題に関する偏見や差別をなくそう
( 6) アイヌの人々に対する偏見や差別をなくそう
( 7) 外国人の人権を尊重しよう
( 8) HIV感染者やハンセン病患者等に対する偏見や差別をなくそう
( 9) 刑を終えて出所した人に対する偏見や差別をなくそう
(10) 犯罪被害者とその家族の人権に配慮しよう
(11) インターネットを悪用した人権侵害をなくそう
(12) 北朝鮮当局による人権侵害問題に対する認識を深めよう
(13) ホームレスに対する偏見や差別をなくそう
(14) 性的指向を理由とする偏見や差別をなくそう
(15) 性自認を理由とする偏見や差別をなくそう
(16) 人身取引をなくそう
(17) 東日本大震災に起因する偏見や差別をなくそう

 *法務省ホームページより http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken03.html
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〜一枚のはがき〜 その続き・・・ 校長室より

 少し前の6月15日の話。 
 
 〜一枚のはがき〜のタイトルで本ホームページに記事が掲載されました。
 そこには,あるご高齢の女性から届いたハガキのもとに,本校の二人の男子生徒の心温まる行為について,女性からの感謝の気持ちが表された文面の紹介がありました。その二人の生徒は学校名だけを告げて,名乗らず女性のもとを去ったということでした。
 このハガキを読んだとき,温かいものが胸に広がり,ひどく心に感じ入り,この日の5・6限の生徒総会で全校生徒にこのハガキを紹介しました。
 その時,私からも彼らに礼が言いたくなり,本人たちの本意ではないかもしれませんが,ぜひ名乗り出てほしいと全校生徒に伝えました。
 
 6限が終わって放課後のこと。校長室の扉を叩く音がしたので行ってみると,二人の男子生徒がちょうど入ってくるところでした。その姿を見た瞬間に,私はこの二人に間違いないと直感しました。この二人の男子生徒は,ともに3年生のT君とH君。
 
 二人を招き入れソファーに通すと,改めて当時の様子を話してくれました。
 女性は横断歩道を渡りきったところで転倒され,先ず近くにいた男性が女性のところまで駆け寄られました。そして,ちょうどその場を自転車で通りがかり,その様子を見ていた二人は,迷わず自転車を降りて,女性のところへ近寄っていきました。男性は女性を二人に任せてその場から立ち去りましたが,二人は散乱した荷物を集めながら女性と言葉を交わしていると,女性の住まいが近くだということがわかり,荷物を持って女性宅まで送り届けたということです。
 女性は転倒した時に体を打ち付け,全身が痛くて立てなかったということでした(ハガキより)。

 人は予期せぬことに出会ったり,突然のことに出くわしたときに,その人のとっさにとった行動によって,本当の気持ちや人柄がわかるものだと思います。
 この二人は,お願いされたわけでもなく,女性が転倒している場面に遭遇した瞬間に,自分がどういう行動をとらねばならないかを即座に判断し,自ら行動しました。この場合,女性の近くに男性がいたわけですから,普通そのまま通り過ぎる人の方が多いのではないかと思われますが,そうできなかった彼らの判断や行動は,その目の前の女性の辛さや困っている気持を瞬時に理解し,理屈ではなく,体の内から突き上げた人間的な衝動に突き動かされた結果だったと言えるでしょう。それだけでも素晴らしいことだと思います。おそらく,彼らの行動の背景には,いつも人の気持ちをわかろうとし,困っている人がいれば,力になって助けてあげることが日常的にあったのではないかと思います。
 
 この女性の感謝と喜びの気持ちはハガキの文面にあふれています。しかし,単に手助けをしてもらったからではないでしょう。送り届けるところまで,最後まで女性の立場に立って行動してくれたこの二人の,優しく暖かい心を与えられたことに深く感謝していただいているのではないかと思います。
 どんな時にでもどんな人に対してでも,人の気持ちがわかり,とっさに迷うことなく人間として当然あるべきあり方を行動として示すことのできる人,そうせずにはいられない人,こういう人がこの下鴨中学校で学んでくれているということは,私たちの大きな誇りでもあり,喜びでもあります。
 
 この女性にとって,下鴨中学校の生徒はみんなこの二人のような生徒ばかりだと思ってくださっていることでしょう。その期待に応えられるように,全ての下鴨中学校の生徒が人として尊敬される一人一人になれることを信じ,また,そうであることを心から信じられるよう願って止みません。

 T君もH君も3年生で忙しい時ではありましたが,勇気を出して校長室を訪れてくれました。そして,短い時間でしたが良い時をともに過ごすことができました。改めて君たちの行為と,共に過ごしてくれたこの時間に礼を言いたいと思います。本当にありがとう。

 話を終えると,二人は飲み物を一気に飲み干し,挨拶をした後,さわやかな風を起こして校長室を去っていきました。二人が去った後の校長室には,温かな空気と穏やかな時間がまだしばらく続いていました。

 二人はラグビー部所属とのこと。みんなは一人のために・・・。
 
 「ALL FOR ONE,ONE FOR ALL」                         
                                   (山)

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