園だより 3月号より
- 公開日
- 2020/02/21
- 更新日
- 2020/02/21
園長室より
『拍手が起こる』
1月中旬ごろから生活発表会に向けての遊びや生活が続いていました。いろいろな絵本を読んでいく中で,子どもたちの興味に合わせて,劇遊びを決めていきます。つまり,始めから台本があり,このお話の劇遊びをするというふうに先生が決めていくわけではありません。そのストーリーの中で,この場面は身体表現をしよう,雰囲気作りのため,舞台となる背景はどのようにするのか,だれがどの役をするのか,など子どもたちと先生が劇遊びを一緒に創りあげていきます。絵本を読んで,リズムのある言葉や繰り返し出てくるフレーズなどに面白さを感じて,この場面ではこの言葉を言おう!と子どもたちがセリフも先生と考えていきます。
そのような遊びの場面のひとこまを紹介します。
年長,あお組の保育室。クラスのみんなが車座になっていました。誰が『三枚のお札』の劇遊びのどの場面のセリフを言うのか役割を分担している話し合いをしていました。
「これはどうする?」と先生が投げかけると,「僕が言いたい!」「私が言う」と次々と登場人物のセリフを言う役割がどんどん決まっていきました。
一通り,自分のセリフがわかり,ストーリーに沿ってその場で順番に自分のセリフを言っていました。〇ちゃんの番です。すっと立ち上がりました。何のセリフかは自分で決めたので,わかってはいたのですが,なかなか声が出ませんでした。みんなの前で話すというのは,勇気がいるのです。先生もにこやかに〇ちゃんの顔を見ています。“大丈夫だよ,ゆっくりでもいいよ!”という先生の気持ちが漂っています。クラスの子どもたちもじっと〇ちゃんを見ながら待っていました。すると〇ちゃんが恥ずかしそうに体をくねらせながらセリフを言いました。
それを聞いたクラスの子どもたちから拍手が起こりました。
『三枚のお札』の遊びの中で,先生と自分たちで劇を創るということがわかり,自分たちのものとしての気持ちが高まり,主体的に取り組んでいきます。その中で,役割を分担したり,力を合わせたりして一つのお話ができていき,クラスの一体感も高まります。
時には,思いがぶつかることもあったり,友達の意見を聞いて自分の考えを変えたり,…。さまざまな葛藤体験もします。2年間,一緒に遊んだり,生活したりする中で友達のことも分かり合える仲間関係も築けています。だからこそ,〇ちゃんの気持ちもわかり,〇ちゃんの言葉を待つことができます。無言の時というのはとても長い時間に感じますが,それをじっと待ち,そして,〇ちゃんが言えたことを自分のことのように喜び,思わず拍手をしたことやセリフを言った〇ちゃんの勇気がでたこと,そしてそのような場面に居合わせられたことがとてもうれしかったです。
『三枚のお札』の劇遊びの過程の中で子どもたちの心が豊かに育っていることが伝わってきました。