学校日記

令和八年度 入学式

公開日
2026/04/08
更新日
2026/04/08

学校生活(授業・行事等の様子)

4月8日(水)午前10時より、令和8年度入学式を挙行いたしました。少し肌寒さを感じながらも、まぶしく、そして暖かい太陽の光がふりそそぐ一日となりました。

新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。今日から日吉ケ丘高校での新たな日々が始まります。これからの3年間が、みなさんにとって、大切な日々となりますよう、心から応援しております。


【太山学校長 式辞 全文】


式辞


今年は春の訪れが少し早く、本校の日吉坂の桜は、みずみずしい若葉とともに新入生の皆さんを歓迎しています。


ここに,令和八年度京都市立日吉ケ丘高等学校入学式を挙行するに当たり、多数の御来賓,保護者の皆様方の御臨席を賜り、心より、お礼を申し上げます。


ただ今、入学を許可いたしました新入生の皆さん、入学おめでとうございます。教職員一同、在校生とともに、皆さんを心から歓迎いたします。


さて、本校は昭和二十四年の創立以来七十六年の歴史を有する学校です。この間時代の変遷とともに、本校もまた変化を遂げてまいりました。平成七年度に京都府下で初の英語科を設置し、これを契機として、本校の特色ある英語教育や国際理解教育の礎が作られました。平成二十六年度からは、自らの興味・関心や進路希望に応じて主体的に学ぶことができる「進学型単位制普通科」となり、令和四年度からは、コースをグローバルコミュニケーションコースに一本化しました。


それと同時に、「自律」「協働」「創造」の学校教育目標を改めて整理し、本校が育てたい生徒像として「世界をつなぐ越境者」を掲げました。この「世界をつなぐ越境者」という言葉には、身の周りの社会や世界の中の様々な境の両側にある文化や歴史、価値観の多様性を理解した上でその境を越え,両側の世界をつなぐ架け橋のような人になってほしいという願いが込められています。あわせて自分の中にある壁や社会に存在する様々な境を越えて挑戦し、自分の世界を広げ、人とつながり、新しい価値を生み出す人に育ってほしいという願いも込められています。


そして、その「世界をつなぐ越境者」に必要な資質能力として、日吉ケ丘でつけたい七つの資質能力、HIYOSevenを定めています。「俯瞰力」「受信力」「適応力」「思考力」「発信力」「挑戦力」の六つに加え、生徒一人一人が自分で設定する力の七つです。日吉ケ丘高校ではこの七つの資質能力を育むことができるようあらゆる教育活動を行っているところです。


さて、新入生の皆さんは、HIYOSevenの7番目の自分で設定する力としてどのような力を掲げるでしょうか。これからの高校生活を思い描き、一人一人の希望や期待によって異なってくると思いますが、すぐに思い浮かばないという人は、「想像力」イマジネーションを一つの選択肢として考えてみてはどうでしょうか。


「想像力」とは、「見えないものを思い浮かべる力」「現実にはまだ存在しないことや未来の姿などを頭の中で思い描く力」のことです。人間は古来よりこの想像力を発揮し、新たな社会の仕組みや科学技術、芸術などを生み出し、文明社会を発展させてきました。人間が今日の社会を築いてきたのは、この想像する力が備わっていたからにほかなりません。


また、「想像力」は、自分が経験していないことやまだ起こっていない出来事を頭の中でシミュレーションする力でもあります。この行動をすればどのような結果につながるかを想像することで、自らの行動をコントロールしたり、危険を回避したりすることができます。このところ、SNSに何気なく投稿した内容が思わぬ反発を招き、取り返しのつかない事態になったという話を耳にすることがあります。これも、その内容を投稿したとき、誰かが傷ついたり嫌な思いをしたりするのではないかと想像する力があれば防ぐことができるものです。


さらに、想像力は対人関係においても大きな役割を果たします。

この世の中には「考えや価値観が全く同じ」という人はいません。自分にとって当たり前のことが、他の人にとっては当たり前ではないこともあります。そんなとき、あの人の言動はおかしい、と一方的に否定するのではなく、その言動の背景を想像してみることで対話の糸口がつかめることもあります。


立場や経験が異なれば、同じ景色を見ていても、その意味はまったく変わってきます。例えば、雨が降らない日が続き、農作物の生育への影響を心配していた農家の人にとって、雨の景色は「恵みの雨」と映るでしょう。しかし、遠足を楽しみにしていた子供にとっては「残念な雨」と映るかもしれません。


このように立場や文化背景が異なれば、価値観も、見える世界も異なります。相手がどのような価値観の中で暮らし、なぜ、その言動に至ったのか、その背景を想像することによって相互理解は深まり、信頼が生まれます。そしてこの積み重ねこそが争いの少ない人間関係、平和な社会、平和な世界への第一歩ではないかと私は思います。


今、生成AIをはじめテクノロジーは目覚ましい進歩を遂げています。しかしその一方で、世界に目を向けると、人と人との分断は深まり、紛争や戦争は今なお絶えることがありません。もしかするとテクノロジーの進歩が、人間が想像する機会を奪い、想像力を少しずつ弱めている面もあるのかもしれません。


だからこそ今あらためて人間に本来備わっている「想像力」の価値を見直す必要があるのではないでしょうか。相手を理解しようとする想像力は、異なる立場の人を排除せず、対立を乗り越え、ともに未来をつくる大きな力となるのではないかと信じています。そして、先行きを見通しにくい、変化の激しいこれからの時代においてそれはますます重要なものになるはずです。


新入生の皆さんには、「世界をつなぐ越境者」に近づくためにも、「想像力」も大切にしてほしいと思います。 


この想像力を高める方法の一つが読書です。読書には、知識や教養が身につく、語彙が増える、他者の体験を疑似体験することで自分の経験の幅が広がるなど、様々な良さがあります。音も映像もない文字だけの世界だからこそ、言葉と言葉の間を自分の想像力で補いながら読むことになります。そうした営みの中で想像力は確かに磨かれていきます。新入生の皆さん、ぜひ本を読み、世界を広げるとともに、想像力をしっかり鍛えてください。


さて、本校には、「世界をつなぐ越境者」に近づくための越境の機会がたくさんあります。校内留学施設「HELLO Village(英語村)」をはじめ、英語教育や国際理解教育が充実しており、海外の文化に触れる機会、日本や京都の伝統文化を学ぶ機会、留学生など多様な背景を持った人との交流する機会、海外の姉妹校との交流など、多くの越境の機会があります。


また、総合的な探究の時間では、自己の生き方や社会との関わりを意識した探究活動を通じて、自分の世界を広げていくことができます。フィールドワーク等の学校外での学びの機会も数多くあります。さらにDXハイスクール指定を契機として生成AIの活用や、プログラミングなど、新たな世界に触れる学びも進めています。こうしたさまざまな越境の機会を最大限に活用し、新たな自分を発見し、より大きな世界に羽ばたいていくための土台を築いてほしいと思います。


最後に、保護者の皆様に一言御挨拶申し上げます。本日はお子様の御入学、誠におめでとうございます。私たち教職員一同は、お子様が自らの未来を切り開き、健全に成長できるよう,全力で支援して参ります。


そのためにも、学校と家庭がそれぞれの役割を果たしながら、相互に補完しあい、連携を密にしていくことが重要であると存じます。何卒、本校教育への御理解と御支援を賜りますようよろしくお願いいたします。


新入生二百四十名の皆さんが、本校での三年間の高校生活を通してこれからの時代を力強く生きていくことができるよう、大きく成長を遂げることを心から期待いたしまして、式辞といたします。


令和八年四月八日

京都市立日吉ケ丘高等学校長

太山 陽子