厳しい寒さが和らぎ、春の息吹が感じられる今日の佳き日に、京都市教育委員会、美工同窓会、美工校友会、京都パレスライオンズクラブ並びにPTA役員の皆さまをはじめ、ご来賓の皆さま、保護者の皆さまをお迎えして、京都市立美術工芸高等学校第3回卒業式を挙行できますことを、心より嬉しく思います。
本日、ご臨席を賜りました皆さま方には、日頃から本校の教育に深いご理解と温かなご支援をいただき、さらには巣立ちゆく卒業生を祝福していただきますことに深く御礼申し上げます。
先ほど、卒業証書を授与いたしました 88名の卒業生の皆さん、ご卒業、誠におめでとうございます。皆さんは、美術工芸専門学科である本校所定の教育課程を修了され、日々の学習や制作活動はもとより、ホームルーム活動や生徒会活動、部活動などを通して、人間力を磨き、かけがえのない青春の日々を過ごされ、本日、晴れて卒業の日を迎えられました。皆さんが本校で培ってこられた、弛まぬ努力と精進に対し、心から賛辞を贈ります。
本校は、明治13年京都御苑内に画学校として開校以来、美術学校、美術工芸学校、日吉ケ丘高校美術課程、銅駝美術工芸高校を経て3年前に現校名で移転開校いたしました。本日は本校として第3回の卒業式でありますが、皆さんは、本校が現校地に移転開校したときに入学した1期生です。皆さんの高校3年間は、新美工の新たな歴史とともにあります。本校は、創立145年の伝統を確かに引き継ぎ、時代にあわせ新たな歴史を紡いで未来へと発展し続けています。皆さんが切り拓いてきた新たな取組や地域をはじめとする様々な方とのつながりは、美工の新たな歴史や財産となり、これからも後輩たちに引き継がれていくことでしょう。
さて、皆さんの門出に際し、多方面から祝辞・祝電をいただいております。ここでは京都市長・教育長からの祝辞の一部を紹介します。
松井孝治京都市長からは、「京都は千年を超える歴史の中で、常に新しい息吹を生み出してきたまち」で「皆さんが高校生活で培った経験や学びもその豊かな流れの一部」であること。今後も「自分の経験を振り返り、社会の中で何を大切にしたいのかを考え続ける姿勢で臨むことで、彩り豊かな道が創られる」とのお言葉をいただきました。
稲田新吾京都市教育長からは「美術工芸高校は【美術で学ぶ】をコンセプトに、教科横断的な学びや多様な外部機関との連携、対話と協働の重視などに取り組まれ、創造性あふれる学びを通じて、まちの魅力や活力の創出に寄与してくれました。今日、アートそのものの価値が高まるとともに、アートの持つ、感性を磨くだけでなく、多様な課題に向き合い、新たな価値を生み出す力にも大きな期待が集まっています。皆さんがこの学び舎で培われてこられた感性や学びは、これからの社会において、ますます重要な強みとして評価されていくことでしょう。」と本校卒業生へ向けたメッセージをいただきました。
卒業生の皆さん。皆さんはこの3年間で何ができるようになりましたか? 後期始業式で皆さんに投げかけた問いでもあります。
少し考えてみてください。皆さんはこの3年間で何ができるようになりましたか?
本校卒業生の強みは、アイデアをカタチにできることだと思います。「そのワクワクがありたい未来をソウゾウする」イマジネーションの想像とクリエーションの創造。ありたい未来をイメージし、それをクリエイトする。まさしく想像から創造です。
本校には、8つの専攻があり、それぞれ特色ある取組が実践され、個性豊かな作品が日々生み出されています。他者の作品もさることながら、鴨川のせせらぎや東山連峰の景色といった本校の環境も、皆さんの感性を刺激し、自身の作品制作に生かされたことと思います。この地で育んだ豊かな感性や想像力を活かして、「わくわく」した気持ちを抱き続け、ありたい未来を創造していかれることを祈っています。
創造に関わって先週までイタリアで開催されていたミラノ・コルティナ冬季オリンピックのスノーボード競技から私は大きな感銘を受けました。選手たちは、誰もやったことのない技に挑み、自分だけの表現を追い求めていました。その姿勢は、競技を超えて「創造するとはどういうことか」を教えてくれます。
今回、金と銅、2つのメダルを獲得された村瀬心椛選手は、難度の高い技に挑むことについて「最初の一人が一番怖い。でも、今後も私はその最初になりたい」と言われました。この言葉には、挑戦することへの本質が凝縮されていると思います。恐れを消すのではなく、恐れとともに前へ進む。その先に、まだ誰も見たことのない景色が広がってくるのだと思います。
皆さんのこれからの道も、同じように“未踏の斜面”の連続です。そこには不安もあるでしょう。しかし、オリンピック選手たちが示したように、自分だけのラインを描く勇気が未来を切り拓きます。
創造性とは、特別な才能ではありません。日々の選択の中で、「もう一歩踏み出してみる」「自分の考えを形にしてみる」その積み重ねが、やがて大きな表現となって現れます。
皆さんがこれから歩む道が、誰かの敷いた跡をなぞるだけのものではなく、自分自身の意志で切り拓く道であることを願っています。
「恐れを抱きながらも前へ進む勇気を」
そして、「自分だけの創造性を信じる力を」
本日の卒業が、皆さんの新しい挑戦の始まりとなりますように。
最後になりましたが、保護者の皆さま、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。高校生活の様々な場面においてお子様は悩み、考え、決断してこられました。人は取組や経験を通して成長するものです。様々な困難を乗り越え成長し、本日晴れて高校卒業の日を迎えられました。教職員一同、心よりお慶びを申し上げます。また、これまでの本校の教育活動にご理解とご協力を賜りましたことに、深く感謝申し上げます。法律上は18歳で成年となり、この3月末ですべての卒業生が大人となります。皆さまも保護者ではなくなることとなりますが、親子であることは変わりません。今後ともお子様が、自らの未来を切り拓いていけるよう、見守っていただきますようお願いいたします。
結びに、卒業生の皆さんの前途に幸多かれと祈念して、式辞といたします。
令和8年3月2日
校長 大窪 英行