学校日記

ちょっといい話—150—

公開日
2013/12/26
更新日
2013/12/26

学校の様子

 昨日はクリスマス。サンタさんから素敵なプレゼントは届きましたか?!さあ,今日の「ちょっといい話」は,子どもから父親への心温まるプレゼントのお話です。値段よりも思いがどれだけ詰まったプレゼントであるのかで価値が決まるのだと思います。小さな子どもの家族を思うその心遣いが,ぐっと胸に迫るお話です(「ちょっといい話」より)。
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                   『宝物』

 昨日、6年前に日本から持ってきた荷物を整理していたら、1対の手袋が出てきました。
これは私の「宝物」。特に高価なブランドものではありません。特売で1,000円位で売っているものです。でも、私にとってはどんな高級なブランドものより、価値のある大切な手袋です。

 さかのぼること15年前、私はある人材育成の会社に転職したばかりでした。その会社で各企業を周り、人材教育の研修を勧める営業をしていました。 もちろん、私もその会社の研修を経験してからの入社でした。この研修が、私の人生を大きく変えるきっかけにもなりました。
 それまでの私の人間像は,仕事だけに目を向けていて、家族の事にはほとんど関わっていなかったと言えるぐらい無関心でした。結婚して子供が生まれても毎日仕事、休みの日は自分の趣味や友達との付き合いを優先していました。帰宅も夜遅くいつも12時を回っていて、朝も早くから出かけてしまい、子供の起きている時の顔をほとんど見たことがありませんでした。今考えると、家庭を持つ資格がない人間だったと思います。

 転職した会社で半年が過ぎようとした12月のある日のことです。帰宅していつもの通りに着替えてから自分の机の上を見た時、包箱が置いてあるのに気付きました。
 妻に
 「この包箱なんだ」
と聞くと、
 「いいから開けて見なさいよ」
と促されて、包を開いて中の箱を開けました。中には1対の手袋が入っていました。茶色の柄の毛糸の手袋で、洋服屋の店先に1,000円均一で売っているような手袋です。1,000円くらいの手袋を箱に入れて包装までして、何のつもりなのかと不思議に思い
 「どうしたのこれ?」
と聞くと、妻はこう話し出しました。
 「あなた、去年の冬に手袋を無くしたわよね」
その前の年に私は、5年間愛用してきたブランドものの手袋を、酒に酔ってどこかに置き忘れてしまっていました。 それから特に新しいものを買うこともなく、過ごしていたのです。
 「その手袋は湧太からあなたへのプレゼントなの」
当時7歳だった、次男からのプレゼントでした。 それから妻はこう続けました。
 「湧太はあなたが手袋をなくした事を知って、毎月お小遣いの中から50円、100円と貯めていったの」
  次男の小遣いは月200円でした。 その半分近くを、私に手袋を買うために貯めていたのです。 最初は妻にも内緒にしていたそうです。 妻がそれを知ったのは、次男から、100円小遣いとは別に欲しいと言われた時だそうです。なんで必要か聞いたところ、私に手袋を買うためだと言ったそうです。
 「お父さんは僕たちの為にお仕事頑張っているんでしょ」
  「お父さんが寒い時に手が冷たくなったらかわいそうだから」
と。
そして、 妻は次男の貯金箱を見せてくれました。そこには「おとうさんのてぶくろ」と書かれていました。

 それを見た途端、涙が溢れてきて止まりませんでした。 自分のしてきたことを振り返り、妻や子供に申し訳なかったと心のそこから思いました。家庭をかえりみない夫や父親であったのに、子供は私の事を考えてくれていました。こんなに心の優しい子に育ててくれた妻にも、心から感謝をしました。 私は、本当になんて愚かだったのだろうと気づかされました。
 自分の事を想ってくれている心、身近な人が一番強いということを気づかなかったり、忘れてしまったりしがちです。 この手袋を見るたびに、その気持ちを思い起こします。 私にとってこの手袋は、どんな高価なものにも代え難い宝物なのです。

 「人はひとりでは生きていけない、人は決してひとりぼっちじゃない、感謝の心があれば・・・」