学校日記

ちょっといい話—40—

公開日
2011/10/20
更新日
2011/10/20

学校の様子

 秋がどんどん深まり始めています。食欲の…、スポーツの…、そして読書の…。今日はある本で読んだ「ちょっといい話」を紹介します。
(写真は、10月18日(火)に行われた「歩こう会」でのスナップ写真の1枚です。)
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 『ずいぶん前だが、テレビを見ていたら森繁久弥さんが、目の不自由な子どもたちの前で歌っていた。『七つの子』という童謡で、《♪からす、なぜ鳴くの、カラスは山に、かわいい七つの子があるからよ…》と歌っていく。二番は《♪山の古巣へ、行ってみてごらん、…》というのだが、森繁さんの表情が一瞬こわばった。セリフが思い出せずギクリとしたような顔だった。なぜそんな顔をしたかすぐわかった。森繁さんは『まあるい目をしたいい子だよ』という歌詞にぶつかって、困ったなと思ったのだろう。けれども、歌は、わずかなタイミングのずれはあったが、《♪まあるい顔したいい子だよ》と歌われたのである。(戸板康二著「ちょっといい話」文芸春秋社)』

 という話があります。
 戸坂さんは、古典芸能にもくわしく、いろんなジャンルの方々と親しく、『ちょっといい話』には、心温まる話がたくさんのっています。どれを読んでも味わい深く、あたたかい目で相手を見つめ、相手の心を大事にした内容で、考えさせられる話です。目の不自由な子どもの心情を思いやり、とっさに歌詞をかえた森繁さんも、それに気づいた戸坂さんも、相手の立場を考えてものを見ることのできる、人権感覚の鋭い方たちだと思います。
 私たちは、身の回りのできごとを、見聞きしても、そのすばらしさに気づかなかったり、大事なことを見過ごしていることがあります。特に、人権に関わることは、自分に関係がなければ見落としがちで、関心を寄せようとしません《♪まあるい顔したいい子だよ》の歌を、何も気づかず森繁さんに拍手を送った人もいたでしょう。「森繁さんともあろう人が歌詞を間違えて」と考えるのか、戸坂さんのように森繁さんの心情に拍手するのか、その人の人権感覚の分かれ道のように思います。森繁さんは、きっとその後も、この歌を《♪まあるい顔した…》と歌っておられるでしょう。
 相手の立場を考え、枠にはまらず、さりげなく相手の人権を尊重した言動をとることは難しいことだけれど、人として心がけていかなければならない大切なことだと思います。

 ※人権感覚は、最初から身についているものではありません。自らが、能動的に体も心も動かして磨いていくものです。そんなことを教えてくれる「ちょっといい話」でした。人と人とのつながりを、更に豊かに、更に確かなつながりにしていきたいと思いました。