ちょっといい話−17−
- 公開日
- 2011/01/16
- 更新日
- 2011/01/16
学校の様子
人には,「喜怒哀楽」という感情があります。その中で,“怒り・哀しみ”,そして“勇気”というものを同時に感じさせてくれたお話がありましたので,ここで紹介します。「たったひとつの命だから」(ワンライフプロジェクト編)という本の中にあった実話です。
『私の友人の娘は,少し知能の発達が遅く,小学3年の時から養護学校に行きました。最初は学校が変わっても,近所の友達が遊びに来ていました。ところが,ある日,一番仲の良かった子が,
「ゴメン,もう遊べないんだ。“遊んじゃいけない”ってママに言われたから・・・。“一緒にいると馬鹿になる”って・・・。」
と,その仲の良かった友達は,平然と言ったそうです。私の友人である母親は,少し離れたところで聞いていて,次の瞬間,娘の表情を見たそうです。娘は“じゃあ,またね”と言って,ニコニコして友達に手を振ったそうです。ああ。言葉の意味がわからなかったんだな・・・と,私の友人であるその子の母は思ったそうです。もう遊べないのに,この子は友達を失ったことすら理解できないんだと,悔しくて哀しくて泣いたそうです。
言われた言葉の残酷さにボロボロに傷つき,そしてこの子はこの先どこまで社会に適応できる力を養えていけるのかと,不安が恐怖になり,不眠症が始まったそうです。・・・(略)・・・。
それから,半年が過ぎた頃,娘の養護学校の授業参観で,子ども達が作文を披露したそうです。娘はこう書いていたそうです。
「○○ちゃんが,私を馬鹿だと言った。私はそれを聞いたママがかわいそうでした。私が馬鹿だから,ママが悲しみました。私のママはきれいで優しい人です。ママを悲しませないでください」・・・。
私の友人であるその子の母は,この日を境に強い母親になることを決めました。それまでのクヨクヨしていた自分と決別し,とにかく娘を宝物だと自慢して,行くところすべてに同伴させました。
あれから12年・・・。成人式を迎えいい人たちに出会って,現在,娘はパン屋さんで働いています。友人はこう言います。「この子は知能が遅れているんじゃない,怒りという感情を持ち合わせていないのと,人よりのん気なだけなんだと。娘の焼くパンは世界一おいしいんだ!」と・・・。
人生何がきっかけで,生きる勇気を与えられるかわかりません。そのことを教えてくれた,親友の親子にいつも感謝しています・・・。』
※人と人との関係を切っていく言葉のむごさに,怒り・腹立たしさを感じます。そして哀しみを覚えます。その逆に,偏見や差別に立ち向かい・抗う人たちの姿からは勇気をたくさんもらいます。そこでは,より豊かで確かな人と人とのつながりが生まれます。そんな関係がいたるところで生まれ,広がっていくことを切に願う「ちょっといい話」でした。