卒業によせて
- 公開日
- 2013/03/04
- 更新日
- 2013/03/04
校長室から
3月5日は啓蟄(けいちつ)です。24節気の一つです。田舎育ちの私にとって,なぜかこの言葉が好きです。3月のこの時期,少しずつ日差しが柔らかくなり,雪が降る日が少なくなり,小川の土手のネコヤナギが芽を出し,つくしが顔をのぞかせます。地面が太陽熱で暖まり,冬籠もりで地中に休眠中だった虫や動物たちが這い出し活動を始めます。このように啓蟄は,「これから始まるぞ」「出発だぞ」という躍動感を感じます。
3月15日の卒業式をもって,3年生196名の皆さんは9年間の義務教育が修了いたします。義務教育は終わりますが,同時に子どもから大人へとさらに成長しなければなりません。次の飛躍のためのスタートに立ちます。
この卒業の時期に思い出される言葉に啐啄(そったく)があります。あまり使われない言葉です。「啐」はニワトリの卵がかえる時,殻の中で雛がつつく音,「啄」は母鶏が殻をかみ破ることです。すなわち義務教育という卵の中から,卒業生は自らの力で殻をつつき,保護者は,その手助けをしています。そして,殻から出た卒業生は,「自立」という目標に向かって,雛から成鳥に,子どもから大人へとさらに一歩近づいていきます。
論語の中で孔子は「吾,十有五にして学に志す」と表しています。自立した大人になるためには,これまで以上の「知識」と「体験」が必要になってきます。ある哲学者は「体験のない知見は空虚である。しかしながら,知見のない体験は盲目である。」と言っています。
最後に,卒業生に送る言葉として「動かせ体を,働かせ心を,若き人よ」を送ります。頭だけで考える(知見)のではなく,額に汗するほど体を動かし(体験),人との関わりの中で,自分を伸ばし他者を気遣う心をもって,人生を送ってほしいと願っています。