学校日記

法務大臣賞受賞!

公開日
2011/12/28
更新日
2012/01/05

学校の様子

 『「社会を明るくする運動」第8回右京地区作文コンテスト』において特別賞を受けた2年生の玉岡さんの作品が、さらに中央審査にのぼり、第61回「社会を明るくする運動」全国作文コンテストで日本で最優秀である法務大臣賞に選ばれました。
 自己有用感をしっかり受け止めて日常の考え方に生かされていることがとても嬉しいです。また、文章を上手に書くということだけでなく、西院フォーラムでの話から感じ学んだことや普段の家族とのやり取りが、玉岡さんの心に空気を吸っているように自然にしみ込んで人間性となっていることがそのまま文に表れています。
 12月26日東京霞ヶ関の法務省で法務大臣自らのご参列のもと、直々に表彰式も行われました。全文を紹介します。みなさんも読んでみてください。

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「犯罪者の心理と自己有用感」  玉岡 真希

 犯罪が起こった時、その犯人のことを考えることがある。どうしてそんなことをしたのだろう。そんなことをしたら自分の一生が台無しになる。家族が悲しむ。何より被害者、そしてその家族たちがどんなつらいか想像できなかったのではないか。
 もちろん突発的な事件もあるが、そうでない場合、犯人は自己有用感が持てなかったのではないか。
 「自己有用感」、校長先生がよく話して下さる言葉だ。難しく聞こえるが、私はそれを「自分が人の役に立っていると感じること」つまり「ありがとう」と言ってもらえるようなことができているかだと考えている。
 昨年、難病の大学生が私の中学校へ講演に来て下さった。彼女は中学の時にALS(筋委縮性側索硬化症)という進行性の病気を告知され、それまで普通にできていた日常のこと何もかもが人の手を借りないとできなくなった。ごはんを食べることも、水を飲むことも、涙をぬぐうことも・・。そしてそれを介助してもらう度、ありがとうと言う。してもらっているから当たり前のことなのだが、毎日小さなことで何回も何十回も、ありがとう、ありがとう、のくり返し。けれど彼女は、ありがとう、と言われることはなにもできない。そんな自分がとても情けなくなったそうだ。彼女はそんな日々の中で自分にしかできないことはなんだろうと考え、まだ口の筋肉が動くうちに、病気のことや障害をもつということを多くの人に知ってもらう活動を始めたという。
 その講演会の後、その話で勇気をもらった人からたくさんの「ありがとう」が湧き起こった。進行性の病気だから障害を乗り越えることはできないという。それでも障害をきちんと受け止めて、自己有用感を持っている彼女はすごいと思った。
 私はどんな時に自己有用感を感じているのだろう。吹奏楽部で毎日一生懸命練習し、地域の皆さんに聴いてもらった演奏会で「今日は本当に楽しかった。ありがとう」と言われた時などとても嬉しくなる。また、お墓参りに行ったときに頑張って綺麗にしたお墓の前で「ありがとう。助かりました。」と祖母が嬉しそうに笑うのを見ると、その日一日気持ちよく過ごせる。
 自己有用感は小さなことでも感じられると思う。例えば母は小さい頃、老眼になった祖母の縫い針に糸を通す度、「ありがとう。すごく助かるわ。」といわれるのが嬉しくて、何度も糸を通したそうだ。そんなささやかなことの積み重ねでもいい、自分は役に立っていると感じると、人は自己肯定し、自己有用感をもって生きていけるのではないだろうか。
 母の友人は誕生日がくると、自分の母親に電話し「産んでくれてありがとう。」と伝えるのだそうだ。すると母親は「生まれてきてくれてありがとう。」と応えるのだという。そんな「ありがとう」があるのかと新鮮だった。こんな身近なところに誰でも持てるはずの自己有用感がある。
 人の役に立とう。と改めて考えるのは難しい時もあるし、「ありがとう」と言われるようなことができないときもある。でも、そんな時でも親や家族から「生まれてきてくれてありがとう」と言われて育った人は、余程の事情がない限り犯罪者にはならないのではないか。
 自分を大切に思ってくれる人がいる。そう思うと心が強くなる。その人たちを悲しませるようなことはしたくないと思う。そして被害を受けるのがもし自分の大切な人なら…と想像さえできれば悪いことはしにくくなると思う。
 悲しい事件を減らし、社会を明るくするためには、ひとりひとりが自分が誰かに必要とされている人間だと思えること、自分がここに存在するだけで誰かが喜んでくれていると実感できることが大切ではないだろうか。
 「産んでくれてありがとう」
 そして
 「生まれてきてくれてありがとう」
 家族がそんな風につながっていければいいと思う。東日本大震災を経験した日本では今「家族が生きていてくれるだけでいい」と、命の大切さを痛感した人はとても多いと思う。
 私たちが大人になり親になったとき、自分の子どもたちに折にふれ「生まれてきてくれてありがとう。生きていてくれてありがとう。」と伝えることができたなら、それだけでも犯罪は減り、社会はきっと今より明るくなると信じている。