顔見せ
- 公開日
- 2013/12/17
- 更新日
- 2013/12/17
校長室から
もう12月も半ばを過ぎたが,南座の前を通ったので,招きを見た。今年初めてであった。いわゆる勘亭流といわれる独特の字体である。文字の隙間が詰まっていて,詰まる,すなわち役席が詰まるにかかるといわれている。文字を内に内にとまげて書くのも,大入りを願ってのことであるという。また,招きというのも招き入れるという意味である。勘亭流は,江戸時代,江戸の書家である岡崎屋勘六(号 勘亭)が考案した字体である。
歌舞伎は,傾くという意味のカブクという言葉に語源があるという。カブクは,奇抜な身なりをするとか,勝手な振る舞いをするとかいうことで,流行の先端を行く人並はずれた風俗のことをさしたもので,16世紀のことである。
京都の南座に対応しての北座という芝居小屋もあり,お互いが競って顔見せをしたという。いわゆる新しい年の予告編ということであろうか,新しい顔ぶれで,口上を述べることを「顔見せ」といい,1年の歌舞伎役者のお披露目である。
ところで,四国の金毘羅には金丸座という芝居小屋があり,金毘羅歌舞伎というものがある。また,向かいの広島には,宮島歌舞伎というものもある。その両歌舞伎から生まれた言葉に「千両役者」ということばある。千両役者は,いわゆる一座の中心的な役割の役者で,格式的にも,技量的にも,人気が高い役者であるが,この役者が宮島の興行で五百両を得,向かいの四国の金毘羅の興行で五百両を得ることで,千両を得たことになる。千両を得た役者と認められれば,上方でやっと認められるということにつながるのである。そんな一説もあるように覚えている。
もう師走も半ばを超え,一気に年末になる。気ぜわしい季節ではあるし,師走の風物詩として顔見せもあるが,勉強は,落ち着いて頑張って欲しい。