学校日記

暑おすな

公開日
2013/07/12
更新日
2013/07/12

校長室から

 今朝,校門で生徒たちと挨拶をしていると,ある生徒が3日間の休み中2回祇園祭にいくということを話していた。連休が終わるともう宵山なんだと思いながら聞いていた。
 今年は梅雨明けも例年になく早く,猛暑日が続いている。祇園祭は,八坂神社の祭礼で,疫病退散を祈願した祇園御霊会が始まりである。疫病ゆえに暑くないと祇園祭ではないということである。
 鉾町では,祇園祭になるとこんな挨拶が交わされる。「祇園祭どすな(祇園祭ですね)」と言われると,そこに住む町内の人は「暑おすな」といい,そこに住んでいない人は,「そうどすな」とこたえる。この会話は何を表しているかというと,声をかけた相手がこの祇園祭を行う町内の人かどうかを見分ける符丁のような役割を表しているのである。符丁とは,山と言えば川と応じるように,仲間だとわかる印のようなものである。だから,普通の人なら,祇園祭ですねと言われれば,当然,そうですね,祇園祭ですねとこたえる。こうして,身内か身内でないかをはっきりさせることで,その挨拶以降の話の内容が変わってくる。つまり,仲間内の話かそうでないかの話につながっていくのである。
 ところで,祇園祭といえば,宵山や山鉾巡行ばかりがクローズアップされるが,毎日のように何かが行われている。この7月,新聞のどこかには祇園祭の記事は必ず載っている。そんな1か月に渡る壮大な祭なのである。もし行く人があれば,室町や新町の町並みに沿って歩くと,その風情を味わってもらえるだろう。宵山の遅めになるが,南観音山の町内では,暴れ観音といって,ご神体の観音様を白い布で巻き,御輿に縛り付けて,町内を3往復し,町内の北と南の端で激しく揺らす儀式がある。もう25年ほど前に見たきりだが,こうした町内ごとに小さな儀式が行われるのを見るのも楽しみである。また,商家では,家々に伝わる屏風を格子を外して公開することから,屏風祭といわれてなかなかの風情である。さらに,この時季,京都では鱧を食べるので,祇園祭を鱧祭ともいう。
 鱧の語源は,古くは蛇のことを「ハミ」といったが,そのハミに似ていることから出たとも言われている。八坂神社は素戔嗚尊(すさおうのみこと)を祭っているが,この素戔嗚尊は,八岐(やまた)の大蛇(おろち)を退治した伝説で有名である。その大蛇が「ハミ」なのである。いろいろ書けば,書き切れないのが祇園祭である。祇園祭は「暑おすな」に象徴されるように,本来暑くなければならない祭なのである。